新規就農者が独立して農業を始めるためにやること|儲かる農業や資金の集め方について

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農作業する人

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農業に関わるニュースでは、「後継がいない」「担い手不足」という問題を定期的に耳にします。
しかし、20代から30代といった、若い年齢層が新規就農をして、農業を始めることも少なくありません。

実家が農家であれば、農業を始めることも簡単でしょう。
反対に、サラリーマンから脱サラして農業を始めるのであれば、考えなければいけないことが多くあります。

新規就農は簡単にできませんが、順番に進めていけば不可能なことではありません。
今回の記事では、「農業を始めるために必要なこと」を中心に、新規就農について詳しく解説していきます。

新規就農とは

初めに、新規就農について解説します。
簡単には農業を始めることですが、方法によっては新規就農に含まれません。

詳しく見ていきましょう。

新規就農は起業すること

新規就農は「起業する」ということです。
ただし、法人としてという意味ではなく、個人事業主でも新規就農になります。

農家へ就職したり、実家の農業を継ぐ場合は、新規就農になりません。
あくまで、自分で農業を主体的に始めることが新規就農です。

新規就農者が資金調達やノウハウを習得するために必要なことはこちらの記事を参考にしてください。

農業法人への就職は新規就農に入らない

少し触れましたが、農業法人への就職は新規就農になりません。
就職すれば農業に従事することになりますが、一般的に新規就農とは捉えないため、分けて考えましょう。

しかし、農業を始めるためには農業の知識が必要なので、新規就農の前に農家へ就職するのも1つの方法です。

農業の法人化についてはこちらを参考にしてみて下さい。

就農情報の取得方法

新規就農のために就農情報の取得は必須です。
情報もない状態で就農することは難しいため、最低限の情報は確保しておきましょう。

主な方法を2つ紹介します。

新規就農相談センター

新規就農相談センターは、就農に対する疑問点を相談できます。
農業を始めるための基礎的な部分から支援まで、疑問が大まかでも問題ありません。

窓口は2つあり、「全国」と「都道府県」に分かれています。
全国新規就農相談センターでは、具体的な就農イメージがない場合におすすめです。

事業所は東京にしかありませんが、電話やメール、Zoomを使ったオンライン面談が可能です。
もう一つ、都道府県別の相談センターがあります。

こちらは、就農する地域や作物が決まっている場合におすすめです。
都道府県ごとに相談窓口を設置しているため、具体的に就農を進められます。

全国就農相談センター

都道府県別相談窓口

日本農業新聞

日本農業新聞は日本で唯一の日刊農業専門紙です。
また、紙面だけではなく、WEB上でも情報を公開しています。

新規就農に特化した内容ではありませんが、農業の現状を知るためにも、読んでおくことをおすすめします。

新規就農に必要な手続き

スマート農業

新規就農に必要な手続きは多くありません。
主な2つを解説します。

開業届けか法人設立

手続きという面では、開業届けか法人の設立になります。
農業を始めるという場合の届出などはないため、事業を始めるという点で開業届けや法人の設立になるでしょう。

もし、個人事業主として農業を行うのであれば開業届け、法人は設立の手続きが必要です。
「農業を始める」ということに関しては、法的な手続きは必要ありません。

しかし、農地は必要になるため、その手続きは後の項目で解説します。

自動車運転免許は必須

新規就農に必要な手続きとは少しずれますが、自動車運転免許は必須です。
農業では、収穫や畑の整備など、至る所で軽トラックやバンといった作業車が必要になります。

また、普通自動車免許を所持していれば、トラクターを車道で運転できます。免許を所持していない場合には、あらかじめ取得しておきましょう。

トラクターの公道走行についての免許区分はこちらの記事で詳しく説明しています。

農地の取得方法

農業を始める上で一番必要になるのが、農地の取得です。
農地の取得は、一般的な土地の貸し借りや売買のようにはいきません。

しっかりと確認しておきましょう。

条件を満たす

農地を取得するためには、複数の条件を満たす必要があります。
まず、農業に従事している人でなければ、農地は取得できません。

他にも、農地の面積などがありますが、次の項目で解説する「農業委員会」で条件を満たしているか審査されます。

農業委員会への申請

農地の取得には、農業委員会や就農支援機関へ相談すると協力してもらえます。
ただし、放置されている農地が多い地域でも、所有者が貸したり売却する気がない場合には取得できません。

農業委員会への申請も必要なので、まずは、新規就農したい地域の農業委員会に相談してみましょう。

農地を別の目的使用する農地転用についてはこちらの記事を参考にしてください。農地転用ができない土地もあるので必ず確認して下さい。


新規就農時に苦労すること

農家の男性

農業は自然の中で働くため、ストレスも少なく、自由なイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には新規就農時に苦労することもあります。

多くの人が新規就農時に苦労していることを紹介していきます。

農地の確保

前述しましたが、農地の取得は新規就農者にとって苦労する部分です。
今までにも農業に携わっていた人であれば、繋がりから農地の確保は難しくありません。

しかし、新規参入者に対しては、あまり貸したがらないものです。
農地を確保するためには、資金だけではなく、関係性や信頼度が重要になります。

新規就農者にとっての農地確保は、苦労が多いでしょう。

資金調達

農地の確保と並んで苦労することが、資金の調達です。
新規就農する場合には、農地や農機具、住居など、様々な費用が必要になります。

また、農業は始めてすぐ収入には繋がりません。
作物の収穫までは無収入になるため、生活費も必要です。

新規就農のための資金は、会社員時代の貯金や、金融機関からの借入れが多くなるでしょう。
資金調達は農地の取得と並ぶほど苦労することです。

技術の習得

新規就農するためには、農業に関わる技術が必須です。
技術を持たずに就農しても、成功はしません。

農業は家庭菜園などと違い、見よう見まねでは難しいものです。
野菜などの作物を生産して販売するため、プロの技術が必要になります。

例えば、毎年の天候は異なるため、上手く育たない年に直面してしまうと、技術不足を感じる人が多いです。
前もって農家などに就職してからの新規就農であれば、相談相手や技術もありますが、いきなりの新規就農では技術不足に苦労するでしょう。

新規就農にかかる初期費用

アカウント お金

新規就農にかかる初期費用は、作物による違いもありますが、まとまった資金が必要です。
初期費用の平均額を見ていきましょう。

平均額は569万円

新規就農相談センターの調べでは、就農1年目に必要だった費用は、平均で569万円です。
ただし、土地の費用は含まないため、実際にはもう少し必要です。

また、収穫までの生活費も考えると、1,000万円ほどは必要になるでしょう。
全ての作目というわけではなく、露地栽培を中心にし、トラクターを借りたり中古で購入する場合には、もっと低い金額で始められます。

新規就農が簡単になる流れ

ひまわり畑

新規就農の流れについても確認しておきましょう。
少し前述していますが、この流れで進めると、新規就農が簡単になります。

農業法人へ就職

一番の近道は農業法人への就職です。
個人の農家でも問題はありませんが、新規就農を目指すのであれば、多少は規模の大きい農業法人をおすすめします。

また、自分が就農したい作物を育てている農家を選びましょう。
農業法人へ就職するメリットは3つです。

・技術を身につける

新規就農するためには、農業に関わる技術を持つことは必須条件です。
技術がなければ作物を育てられず、不測の事態にも対処できません。

最低でも、1年、できれば3年ほどは農業法人で技術を学びたいところです。
3年ほど学べば、自分1人でも作物が育てられるようになります。

・経営のノウハウを得る

新規就農すると自分で経営することになります。
収支計算だけではなく、開業や法人化など、想像している以上に農作業以外の作業に追われるでしょう。

農業法人で経営に触れておけば、新規就農後もスムーズに進められます。

・農地が探しやすくなる

度々、前述していますが、新規就農の大きな壁となるのが、農地探しです。
新規就農者が絶対に農地を探せないわけではありませんが、難しいのは事実です。

農業法人に就職すれば、その地域にいる他の農家との繋がりもできますし、農地を紹介してもらえるかもしれません。

人によっては、最初から全て自分で新規就農したいかもしれませんが、農業法人に就職することのメリットは大きいものです。
独立するまでの年数を決めて、勉強のためにも農業法人へ就職することをおすすめします。

1つ注意点ですが、何年後に独立したいという内容は伝えておきましょう。
農家によっては跡取りを探していることもあるため、「新規就農したい」ということを隠していると、トラブルの元になりかねません。

就職先の探し方

農業法人への就職を勧めてきましたが、具体的な就職先の探し方も解説します。
農業関係の求人も一般的な転職サイトなどに掲載されますが、数は多くありません。

有名な農業専門の求人サイトは2つです。

・農家のおしごとナビ
・あぐりナビ

どちらも農業や酪農といった、一次産業に特化した求人サイトになっています。
また、ハローワークや、地元の求人誌に掲載されることもあるため、定期的に確認しておきましょう。

他にも、就職したい地域のJAでも求人の斡旋を行っていることがあるので、確認してみてください。

知っておきたい補助金・助成金制度

新規就農を含む農業には、国の補助金や助成金の制度が用意されています。
全員が使えるわけではありませんが、申請してみる価値はあります。

農業従事者が受けられる補助金制度をこちらの記事でまとめています。参考にしてみてください。

返済不要の農業補助金・助成金まとめ!返済不要で新規就農や農家経営に活用!

農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)

農業次世代人材投資資金は準備型と、経営開始型に分けられます。
それぞれの特徴を解説します。

準備型

期間 2年間
交付金額 年間最大150万円

準備型は、都道府県が認める農業大学など、研修機関で研修を受けている就農希望者向けの交付金です。
交付対象には条件があり、49歳以下という年齢制限や、前年の年収が600万円以下といった内容があります。

また、交付を受けた後でも条件を満たさない場合には、返還の可能性があるので注意しましょう。

経営開始型

期間 5年間
交付金額(1〜3年目) 最大150万円
交付金額(4、5年目) 最大120万円

経営開始型は新規就農する人向けなので、先ほどの準備型よりも幅が広がります。
準備型と同じように条件はありますが、満たせる場合には、新規就農の大きな味方になります。

ただし、交付が始まってからも、条件によっては交付の停止や返還の可能性があるため、準備型と同様に注意しましょう。
詳しい内容や申請様式は農林水産省の公式サイトから確認できます。

農林水産省:農業次世代人材投資資金

経営所得安定対策

経営所得安定対策は、農産物の標準的な価格を下回った場合に、差額分を交付してもらえる制度です。
対象者は、認定農業車と集落営農、認定新規就農者の3つになります。

ただし、一般的な交付金ではなく、加入者は積立金を納付しなければいけません。
積み立ては減少率が10%と20%に分けられており、選択した割合で計算されます。

ただ交付されるだけの制度ではなく、保険に近いと考えてもらうとわかりやすいでしょう。

農林水産省:経営所得安定対策

青年等就農資金

青年等就農資金は補助金や助成金ではなく、日本政策金融公庫が行っている融資です。
借り入れにはなりますが、新規就農に特化していることや、無利子となっていることが特徴になります。

新規就農はトラクターや、資材などの設備費用が必要です。
資金調達が1つの課題になるため、無利子での融資は、新規就農に大きく近づくでしょう。

日本政策金融公庫:青年等就農資金

農家の平均年収

農業とお金

平成28年の統計になりますが、農家の平均年収は649万円です。
日本全体の平均年収と比べても大差がない数字ですが、実際には作物や、施設などで大きく差が生まれます。

どのような農業や作物が稼ぎやすいのか、見ていきましょう。

農家の年収はいくら?品目別の農家収入ランキングや専業や兼業など儲かる農業を徹底解説

儲かる農業・作物

「儲かる」という点では、施設栽培になります。
施設栽培はビニールハウスを使った野菜などの栽培で、年間を通し、安定して作物が育てられることがメリットです。

品質や収穫量が安定するため、比較的、利益率の高い農業になります。
ただし、ビニールハウスの設置やメンテナンスなど、初期投資と定期的にかかる経費は高いです。

それでも、施設栽培のトマトやなす、いちごなどは露地よりも利益を出しやすくなります。
必要経費が多くなりますが、儲かる農業や作物を考えるのであれば、施設野菜が良いでしょう。

農家の平均年収や儲かる作物などは、下記の記事で詳しく解説しています。
「農家の年収はいくらぐらい?品目別の平均収益を解説!儲かる農業で計画的に始めましょう。」

農機具をお得に購入する方法

中古農機市場UMM

新規就農する場合には、農機具などが必須です。
しかし、全てを新品で揃えた場合には多額の資金が必要になり、資金繰りが厳しくなるでしょう。

UMMが運営する「中古農機市場」では、中古農機の販売を行っています。
全国の販売者が様々な農機具を販売しているため、必要な農機を見つけやすくなっています。

また、メーカーや用途で絞り込み検索ができるので、スムーズに探せるでしょう。
出品される農機は定期的に更新されるため、会員登録とメール通知の設定をおすすめします。

中古農機具を探す

まとめ

脱サラして農業を始める方は少なくありません。
農業は若い年齢層の起業としても注目を集めています。

しかし、農業を始めるためには、必要なことが多くあります。
開業届けや法人設立など、事務的な手続きは他の業種と変わらず、さらに農地の取得も必要です。

新規就農は大変なことも多いですが、全国には新規就農者を支援する窓口が設置されています。
まずは、新規就農や農業に関わる情報から集めていきましょう。

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