キュウリの育て方・栽培方法を解説!5つのポイントをおさえて失敗を予防しよう
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サラダにサンドイッチに漬け物に、毎日の食卓に欠かせない野菜きゅうり。本来の旬は夏で、プランターでも栽培ができる野菜です。最近では食べるためだけでなく、夏の暑い日差しを遮ってくれる「緑のカーテン」としても活躍しています。
しかし、きゅうりは初心者が栽培に失敗しやすい野菜のひとつです。栽培を始める前に、特に重要なポイントはおさえておきましょう。この記事では、これから庭やベランダできゅうり栽培を始めようと考えている人向けに、基本的なきゅうり栽培の知識をまとめました。
初心者でも簡単なプランター栽培についてはこちらの記事で紹介しています。是非参考にしてみてください。
目次
初心者は苗から育てよう
種を買って育てるのは難しい
種を買って育てることもできますが、初心者にはおすすめしません。きゅうりは土壌中の病原菌による「蔓割病(つるわれびょう)」という病気にかかりやすい植物だからです。多くのきゅうり農家は、根の部分を耐病性のあるカボチャなどに付け替えた「接ぎ木苗」を使用しています。
しかし、種からきゅうりを育てることが不可能というわけではありません。栽培上級者の中には、きゅうり自身の根で育った”自根きゅうり”の味を好んで育てている人もいます。
初心者は購入苗で露地栽培が安心
きゅうり栽培初心者におすすめの育て方は、接ぎ木苗を買って土に植え替えて育てる方法です。きゅうり苗が手に入るのは、4月頃から。ホームセンターや種苗店で購入できます。
早く収穫したいならトンネル栽培
4月に苗を定植すると、5月頃から収穫が可能です。しかし、4月はきゅうりにとっては気温が低く生育が難しい時期なので、植え付けた苗にトンネル状に寒冷紗(かんれいしゃ)をかけて保温しておく必要があります。この方法は「トンネル栽培」と呼ばれます。
簡単なのは露地栽培
被覆用の資材を用意して苗の管理をするのは、初心者には荷が重いかもしれません。特に収穫を急がないなら、「露地栽培(ろじさいばい)」と呼ばれるごく一般的な栽培方法で、6月初旬頃に苗を買い定植をするほうが良いです。収穫は7月頃からできるようになります。
基本のきゅうり露地栽培は6月からスタート
この章では、基本的なきゅうり栽培の手順をまとめました。初心者は種まきの項目は飛ばして、苗を買うところから始めましょう。
種まき:露地栽培なら5月ごろ
トンネル栽培用の種まきは3月ごろ、露地栽培用の種まきは5月初旬頃に行います。
育苗用のポットに種を3粒播き、本葉が1枚でてきた頃に最も生育の良い1本だけを残し、他の芽は間引きます。その後、本場が3〜4枚になるまで育てたら、畑への移植時期です。
育苗中は温度に気を付けてください。種の発芽温度は25~30℃です。不織布や寒冷紗(かんれいしゃ)で被覆して保温するとともに、暖かい日には換気して暑くなりすぎないように注意してください。
苗を作らずに種を畑に直に播いて育てる場合は、暖かくなった4月から7月頃に行ってください。朝晩の温度が低い時期には、種を植えた場所に不織布をベタがけしたり、ホットキャップをかぶせたりして保温する手段もあります。
苗の定植:露地栽培なら6月ごろ
畑の準備
畑の準備は、定植の2週間前ごろから始めます。90cm幅の土に堆肥や化成肥料などを撒いてよく耕し、土を盛り上げて平らにし高さ20cmほどの畝を作ります。畝に50〜70cm間隔で支柱を2列立て、逆V字になるようにして先端を紐で結びます。
プランター栽培の場合はなるべく深いものを選び、野菜用の培養土を入れて、プランターのサイズに合う数だけ支柱を立ててください。
苗の購入
苗を購入して育てる場合、購入時には葉の状態をよく見てください。葉が青々として厚みのあるもの、先端の葉が勢いよく上を向いているもの、節の間が短くがっしりとしているものが良い苗の目安です。
苗には「接ぎ木苗」と「自根苗」があります。初心者は病気に強い接ぎ木苗を選ぶのが無難ですが、出来栄えにこだわらない場合や、スーパーに売っていない自根きゅうりを食べてみたい場合などもあると思います。好みに合わせて検討してください。
苗の定植
支柱の根元に育苗ポットが入るくらいの穴を開け、育苗ポットを外したら、根を崩さずにそのまま土ごと移植します。根元に土をかぶせておさえて、たっぷりと水をあげます。植え付けから1週間程度は毎日水を与えてください。
枝の誘引と摘心は随時、入念に
きゅうりの生育はとても早く、蔓をどんどん伸ばします。主枝となる太いつるを「親づる」、側枝を「子づる」「孫づる」と呼びます。親づるは支柱に沿わせて上へ、子づるや孫づるは支柱の間に紐やネットを張って横へ伸ばします。毎日様子を見て、こまめに誘引してあげましょう。
親づるが1.5mほどまで伸びたら先端の芽を摘み取ります。この作業を「摘心(てきしん)」と呼びます。子づるや孫づるは本葉2枚を残しその先で摘心します。
2週間おきに”追肥”をする
定植から2週間後に1回目の追肥(ついひ)を行います。根が伸びている範囲の外側くらいに肥料をまき、軽く土と混ぜます。以降、2週間に1回を目安に追肥して、肥切れさせないように注意します。
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収穫:露地栽培なら7〜8月
きゅうりは種をまいてから収穫可能になるまで約70日です。どんどん成長するため、誘引や追肥の作業と収穫は並行して行います。
一般的なきゅうりは長さ22cmほどで収穫されますが、もっと小さくても、もっと大きくても食べられます。実がつき始めてからの2~3個や、一斉にたくさん実る時期などは、積極的に花付きの幼果を収穫するとよいです。着果負担が減り、株が長持ちします。
収穫タイミングを逃すとあっと言う間にヘチマのように大きくなりますが、皮を剥いて炒め物などにして食べられます。幼果や大果は自家栽培ならではのものです。ぜひいろいろな料理を試してください。
きゅうり栽培初心者の失敗ポイント5つ
写真:ベと病が出ているきゅうりの葉
キュウリ栽培は、難易度B!
この章では、きゅうり栽培で失敗しやすいポイントをまとめます。
きゅうり栽培は、野菜栽培の難易度にするとBランク。思っているよりも実際は難しいものです。独学では不安な人は、栽培方法を教えてくれる市民農園を利用するのもおすすめです。
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栽培開始時期が早すぎても遅すぎても失敗しやすい
きゅうりの生育に適した温度は20~25℃で、発芽に適した温度はそれよりやや高めの25~30℃です。寒い時期だけでなく、種まきや定植が遅すぎて猛暑にぶつかってしまうのも失敗の要因となります。
水が足りないと失敗しやすい
きゅうりの果実は95%以上が水分でできていると言われます。作物自体も乾燥に弱いので、栽培中は水不足を起こさないように気をつけましょう。水分が足りないと、実が曲がったり、先が細くなったり、中が空洞になったりすることもあります。
水やりは、夜に行うと徒長しやすくなるため、夜や炎天下の日中を避け、朝に行いましょう。きゅうりの根は浅く、土表面の乾燥がダイレクトに根の働きに影響します。まめにチェックすることが大切です。
土を使い回すと失敗しやすい
きゅうりは「連作障害(れんさくしょうがい)」を起こしやすい作物です。連作障害の原因は、土中の微量な栄養素の欠乏や、病原微生物や害虫の増加と言われています。
畑や庭で2年連続できゅうりを育てる場合、前作と同じ場所を使うと連作障害を起こし、うまく育たないことがあります。できるだけ、植える場所は毎年変えましょう。プランター栽培の場合は、毎年培養土を新しいものに交換するのが最も確実な対策です。
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連作障害についてもっと詳しく知りたい人は連作障害について原因や対策をまとめた記事をご覧ください。
土が合っていないと失敗しやすい
きゅうりの生育に必要なのは、保水性にも水はけにも優れ、有機質をたっぷりと含んだ土です。また、土のpHが酸性に傾いているとうまく育ちません。
畑の場合は冬の間に土づくりをしておきましょう。プランターの場合は、育てる野菜に適した培養土を選ぶように注意してください。
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土づくりに関しては、こちらの記事でより詳しく知ることができます。
病虫害で失敗しやすい
きゅうりは「うどんこ病」や「べと病」「蔓割病」などの病害や、「ウリハムシ」「アブラムシ」による虫害を受けやすい作物です。
対策としては、まずは病気に強い品種や苗を選ぶことです。栽培中はこまめに手入れをして、様子を観察することが重要です。葉に斑紋などの異常が見られたらすぐにその葉を除去してください。
蔓割病やモザイク病がでてしまうと、その株が感染源となって病害を広めてしまいます。周囲の株も一緒に除去して、次作の前には土壌消毒をする必要があります。蔓割病は接ぎ木苗を選ぶことで予防し、モザイク病は媒介するアブラムシがつかないようにすることで予防します。
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きゅうりの病気対策についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
農薬を使わずに害虫防除をしたい人には、コンパニオンプランツの解説記事を参考にしてみてください。
「袋栽培」や「地這い栽培」もおすすめ
写真:きゅうりの仲間シマウリの地這い栽培
きゅうりの育て方には、いろいろな方法があります。基本の露地栽培やプランター栽培よりも手軽に確実に栽培できる方法もあります。
「袋栽培」は入門編にイチオシ
「袋栽培」は、大きく丈夫な袋の中に入れた土で育てる方法です。袋入りの培養土の封を開けてそのまま苗を植え付けて育て、栽培が終わったら袋ごと捨てられるので、集合住宅のベランダのような汚せない狭い場所で育てる場合に向いています。水分管理がしやすく、毎年新しく培養土を買えば土づくりや土壌消毒の手間がないので、初心者には特におすすめの方法です。
「地這い栽培」は自家用の畑がある人におすすめ
畑に広いスペースを確保できる人は、「地這い栽培」に挑戦することもできます。一般的な支柱栽培ではきゅうりを上に伸ばしますが、地這い栽培ではカボチャのようにつるを地面に這わせて育てます。乾燥や暑さの影響が支柱栽培よりも少ないので、7月頃に種をまく場合にも比較的育てやすいです。
地這い栽培では種から畑で育て、品種は古くから使われてきた固定種である場合が多いです。柔らかく味わいの良い自根きゅうりを食べたい人におすすめの栽培方法です。
まとめ
きゅうり栽培はすこし難しいですが、それだけに、自宅で採れたてのきゅうりを食べられる喜びはひとしおです。初心者向けの栽培キットや、作り方を教えてくれる市民農園なども活用して、楽しく栽培にチャレンジしてください。