ニンジンの栽培方法・育て方を紹介|栽培や収穫時期、プランター栽培のコツを解説
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1年中スーパーで購入でき、食卓に欠かせないニンジン、実は栽培自体そこまで難しくありません。
しっかりと手順を踏み、発芽さえ上手くいけば後は簡単なので、家庭でも美味しいニンジンが栽培可能です。
本記事では、ニンジンの基礎知識や栽培方法、注意すべき病害虫などを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説しています。
家庭菜園初心者の方でも簡単に育てられるプランター栽培についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
目次
ニンジンはどんな野菜?
ニンジンは緑黄色野菜の1種で、その栄養価の高さが特徴的です。
β-カロテンやカリウム、食物繊維、ビタミン類などが豊富で、中でもβ-カロテンは、ニンジンの英名「キャロット」が由来になるほど含まれています。
β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、免疫力を高めたり、老化防止したりと人体にさまざまな良い影響を与えます。
また、カリウムには余分なナトリウムを排出する作用があり、高血圧やむくみなどの予防・改善にも効果的です。
こういった栄養は、ニンジンの皮部分に多く含まれています。食べる際には皮ごと調理して、栄養を余すことなく摂取しましょう。
ニンジンの栽培時期・おすすめの品種
ニンジンの栽培はそこまで難しくなく、しっかりと手順を踏めば、家庭菜園でも無理なく栽培可能です。
ここではニンジン栽培の基礎知識である、栽培時期とおすすめの品種について、詳しく解説していきます。
栽培時期
ニンジンの栽培時期は「春まき夏どり」と「夏まき秋冬どり」の2期に分けられます。
ただし、農家や家庭菜園にかかわらず、夏まき秋冬どりで栽培するのが基本です。
というのも春まき栽培では、とう立ちのリスクが高く失敗しやすいからです。
とう立ちとは、花芽のついた茎が伸びることを指します。
ニンジンがとう立ちすると、花に栄養がいってしまうため、根が肥大しない、内部に空洞が入るといった障害が起こります。
対して夏まき栽培は、比較的栽培しやすく安定した収量も見込めるので、特別な理由がない限りは夏まき秋冬どりで栽培しましょう。
おすすめの品種
ニンジン栽培では、春まき栽培ならとう立ちしにくい品種、小さめのプランター栽培ならミニニンジンのように、栽培環境にあわせた品種選びが大切です。
おすすめの品種を5つほど紹介するので、あなた自身の栽培環境に適した品種を選んでみてください。
- 向陽二号
- Dr.カロテン5
- 恋ごころ
- ベーターリッチ
- ピッコロ
上記の品種は、畑での栽培はもちろん、プランター栽培などの家庭菜園でも栽培可能です。
もし春まきで栽培する場合は、とう立ちしにくい品種である向陽二号やDr.カロテン5をおすすめします。
ピッコロという品種は、小さなプランターでも栽培しやすいミニニンジンです。
普通サイズのニンジンには大きいプランターやスペースが必要ですが、広いスペースがなくても栽培しやすく、家庭菜園にぴったりの品種です。
ほかにも変わり種のカラフルニンジンなどもあるので、あなたが食べたいと思う品種を選んでみてください。
ニンジン栽培の手順5ステップ
それでは、ニンジン栽培方法を解説していきます。手順は以下の5ステップです。
- 土作り
- 種まき・発芽
- 間引き
- 追肥・中耕・土寄せ
- 収穫
順番に見ていきましょう。
①土作り
まずは栽培準備として、土作りをしていきます。
ニンジンは耕土が深く、pH5.5〜6.5の弱酸性で、水もち・水はけのバランスが良い土で栽培するのが理想です。
- プランター栽培
- 地植え栽培
上記2つの栽培方法ごとに、土作りを詳しく解説します。
なお、土作り以外はプランター栽培も地植え栽培も、基本的に同じ手順です。
野菜作りで重要な土作りについては、こちらの記事でも詳しく説明しています。
プランター栽培
プランター栽培では、種まきの2週間前に準備を始めます。
まずはニンジンのサイズに適した、鉢底ネット付きのプランターを準備してください。
水はけを良くするために、鉢底石または赤玉土をプランターの底に敷き詰め、その上から培養土を入れます。
培養土はなるべく、水もち・水はけ・保肥性の良いものを選びましょう。
肥料は入れなくても栽培可能ですが、ぼかし肥料を混ぜるとさらに生育が良くなります。
雨が当たる場所に置いて、プランターの土作りは完了です。
地植え栽培
地植え栽培では、種まきの2週間以上前に準備を終えるようにしましょう。
完熟堆肥と石灰、元肥を入れて、深さ25cmほどでよく耕します。1㎡あたりの施肥量は、下記を目安にしてください。
- 完熟堆肥 3kg
- 苦土石灰 100g
- 化成肥料 100g
つぎに畝を立てます。1条植えなら幅40cm、2条植えなら幅60cmで畝を立てて、地植え栽培の準備完了です。
苦土石灰や化成肥料についてはこちらの記事で詳しく説明しています。併せて参考にしてみてください。
②種まき・発芽
種まき・発芽は、ニンジン栽培の全工程でもっとも難しく「発芽すればほぼ成功」と言われるほど重要な工程です。
乾燥条件下で発芽不良になりやすいため、雨が降った翌日に種まきするのが理想です。
雨がふらない場合は、種まきの前日にたっぷり水をまきましょう。
ニンジンは密集状態で発芽しやすいため、条まきが基本です。
まずは条間20cmを確保して、深さ1cmほどの溝を作ってください。
作った溝に1cm間隔で播種し、5〜10mmほどの厚さで土をかぶせ、しっかりと鎮圧します。この時、以下のポイントを意識して作業しましょう。
- 覆土が厚すぎると光不足で発芽しない
- 鎮圧がゆるいと土が乾燥しやすくなる
覆土・鎮圧まで完了したら、乾燥しないようにワラや不織布などをベタ掛けし、1回目の間引きまでかけておきます。
発芽までの日数は7〜10日ほど、それまでは絶対に水を切らさないよう、よく観察してときどき水やりをしてください。
③間引き
条まきしたニンジンが成長してくると、お互いの株を傷つけ、病気などの原因となります。
生育の良いニンジンを守り、スムーズに育てるためにも、間引きは欠かせない工程です。
間引きは2回に分けておこない、1回目は本葉が2〜3枚の頃に、混み合った箇所を間引き、2〜4cmほどの間隔を作ります。
2回目は本葉が5〜6枚の頃におこない、10cm前後の株間を確保しましょう。株間が広いほど、肥大がはやくなります。
なお、間引きしたニンジンの根や葉っぱは、問題なく食べられます。
④追肥・中耕・土寄せ
追肥・中耕・土寄せは、2回目の間引きが終わったタイミングにまとめておこないます。
まずは追肥と中耕です。1㎡あたり50gほどの速効性肥料を追肥し、畝の表面を軽く耕しましょう。
雑草防除すると同時に、土の通気性や水はけの改善効果が期待できます。
また、ニンジンの肩が地表に出過ぎている場合は、中耕と同時に土寄せもおこないましょう。
肩部分が地表に出ていると、根が光合成して緑化し、青首の原因となります。
きれいなオレンジ色が変色しないよう、しっかりと土で隠してあげてください。
野菜作りに大切な元肥と追肥の正しい使い方についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
⑤収穫
種まきから4ヶ月前後でいよいよ収穫です。夏まきなら11〜2月、春まきなら7〜8月が収穫時期になります。
通常サイズのニンジンなら、根元部分の直径が4〜5cmあれば収穫可能です。
土をどけて大きさを確認し、まだ収穫できないニンジンは、青首にならないよう土寄せしておきます。
また、極端に肥大しすぎると根割れを起こしやすいため、収穫は遅れないように気を付けましょう。
ニンジン栽培で発生しやすい病気・害虫
ニンジンなどの野菜栽培では、病気や害虫による被害が付いて回ります。
そこで重要になるのが、病気・害虫被害を最小限に抑えるための予防です。
ここでは、ニンジンを栽培するうえで欠かせない病害虫の知識を解説していきます。
- 病気の種類と対策・予防方法
- 害虫の種類と対策・予防方法
順番に見ていきましょう。
病気の種類と対策・予防方法
ニンジンに発生しやすい病気では、以下の4つが代表的です。
- うどんこ病
- 黒葉枯病
- 軟腐病
- 根腐病
野菜の病気は1度発病すると、完全に止めるのは難しいため、発生させないよう予防に力を入れていきます。
予防方法としては、発生前からの農薬散布が基本です。
特にうどんこ病や黒葉枯病といった、葉に発生する病気は初期防除が大切になります。
トリフミン水和剤やダコニール1000など、病気に適した農薬を用いて徹底的に防除していきましょう。
軟腐病や根腐病などは、土壌中の病原菌から伝染する病気です。土壌伝染病は、連作や排水の悪い土で発生しやすくなります。
輪作や作ごとの土壌消毒、水はけを良くするなど、根本的な土壌環境の改善に努めましょう。
害虫の種類と対策・予防方法
ニンジンに発生しやすい害虫では、以下の4種類が代表的です。
- アブラムシ
- キアゲハの幼虫
- ヨトウムシ
- ネキリムシ
病気と同じように、1度発生するとまたたく間に増加していくので、発生・侵入させないことが重要です。
害虫も農薬散布で予防していきます。発生していなくても定期的に散布して、畑に寄せ付けないようにしましょう。
ニンジンの殺虫農薬では、モスピラン顆粒水溶剤やコテツフロアブルなどが代表的です。
また、農薬散布とあわせて以下4点も実施し、害虫の発生・侵入・増加を最小限に抑えましょう。
- 防虫ネットや寒冷紗を張って侵入を防ぐ
- 湿気を好むので水はけ・風通しを良くする
- 害虫が隠れる雑草や枯葉はすぐに除去する
- 害虫を見つけ次第テープなどで捕殺する
まとめ
以上、ニンジン栽培の基礎知識や栽培方法を解説しました。
ニンジンは発芽までは大変ですが、その後は比較的簡単なため、初心者でも栽培しやすい野菜です。
お子さまの食育にもおすすめで、一緒に育てればニンジン嫌いも克服できるかもしれません。
是非この記事を参考に、美味しいニンジンを栽培してみてください。