農地の売却にかかる税金はいくら?|税金の計算方法と特別控除について徹底解説!

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農地売却にかかる税金について

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農地は、農家を引退したり相続したりと、使わない状態になることもあります。
こういった状況になると、農地の売却を考えることもあるでしょう。

しかし農地を含む土地の売却は、誰でも簡単にできるわけではありません。
また、農地の売却には農地法に従うだけではなく、様々な税金の支払い義務が発生します。

使わなくなった農地を売却し、有効活用することは良いことですが、税金が発生することも知っておきましょう。

今回の記事では、「農地の売却にかかる税金」や「計算方法、特別控除」についても詳しく解説していきます。

農地を贈与、売買、転用する際のルールとなる農地法についてこちらの記事で詳しく紹介しています。参考にしてみてください。

農地売却にかかる税金

帳簿

農地売却にかかる税金は大きく分けて4つです。

譲渡所得税と住民税

農地を含んだ土地を売却し、利益が発生した場合には譲渡所得となります。

”給与以外の所得”になり、所得税と住民税が発生します。

課税所得税の計算方法

譲渡所得税は、農地を売却した場合、全てにおいて発生するわけではありません。
農地の売却金額が農地の取得金額や売却にかかった費用を超えた場合に、譲渡所得税が発生します。

反対に売却した金額よりも、売却にかかった費用が高かった場合には譲渡所得税は発生しません。
また、住民税に関しても、下記の表で解説します。

大体の譲渡所得が分かるように、計算方法を解説していきます。

収入金額-(農地取得費+売却にかかった費用)

上記の計算式で収入金額がプラスになれば、譲渡所得税が発生します。
もし農地の取得費用が不明な場合には、売却価格の5%を取得費とみなして計算しましょう。

他にも特別控除があった場合には、上記の計算式から控除金額をマイナスします。
また、農地の所有していた期間によっても税率が変わります。

長期譲渡所得は5年以上、短期譲渡所得が5年以下です。

所得税 住民税
長期譲渡取得(5年以上) 15% 5%
短期譲渡取得(5年以下) 30% 9%

所有期間は、土地を売却した年の1月1日現在で計算されます。

1,000万円の土地を売却した場合の税金

先ほどの解説を踏まえて、1,000万円の土地を売却したとし、税金を計算してみましょう。
譲渡費用に関しては、依頼する不動産会社や整地の有無でも変わるため、あくまで目安になります。

不動産会社の仲介手数料は法律で定められており、「売却価格×3%+6万円+消費税」が原則上限とされています。

売却価格 1,000万円
農地取得費用 50万円
譲渡費用 100万円(不動産会社手数料39万6,000円)
所有期間 長期譲渡取得(5年超)

農地の情報は上記の通りです。

  • 1,000万円−(50万円+100万円)

まず、上記の計算で、課税対象が850万円であることがわかります。

  • 850万円×20%(所得税15%・住民税5%)

最終的な税金は、”譲渡所得850万円に20%の税率をかけた170万円”です。

農地の所有期間や譲渡費用でも変わってきますが、大体は上記の税額が目安となります。

復興特別税

復興特別税は、2011年に発生した”東日本大震災による被災地復興のために制定されている税金”です。
税率は所得税や法人税に対して2.1%で、2037年の12月まで適応されます。

先ほどの計算で使った1,000万円で売却した農地であれば、2.1%をかけた21万円が復興特別税となります。

印紙税

印紙税は、農地を売却した後に発生する税金ではなく、契約書などの作成に必要となります。
1つの契約書ではなく、”売主と買主の2通に対して発生するため2倍の印紙税になる”と考えておいてください。

契約金額 税率(1通または1冊)
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万円から50万円 400円
50万円から100万円 1,000円
100万円から500万円 2,000円
500万円から1,000万円 1万円
1,000万円から5,000万円 2万円
5,000万円から1億円 6万円
1億円から5億円 10万円
5億円から10億円 20万円
10億円から50億円 40万円
50億円以上 60万円
契約金額の記載なし 200円

出典:国税庁

2022年の3月31日までに作成される「不動産譲渡契約書」に関しては、印紙税の”軽減措置”を受けられます。
軽減率は1億円までが50%、それ以上の金額は20%から40%です。

印紙税は全体で見ると高い税金ではありませんが、時期が合うのであれば利用しましょう。

登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記などの手続き時に必要な税金です。

税額は、土地を売却した価格の20/1,000が基本になります。
ただし、2023年の3月31日までは、軽減税率の15/1,000が適応されます。

農地売却で活用できる特別控除

電卓 計算

農地の売却では、利用できる控除がいくつかあります。
税金は、様々な費用を差し引いた後の金額に対して課税されるものです。

特別控除は所得から一定金額を差し引くため、結果として節税になります。
いくつか種類を分けて確認していきましょう。

農地として売却する場合

農業委員会や、農林水産省が管轄している農地中間管理機構の控除を解説していきます。

農業委員会

農地として利用する場合の特例として、800万円の特別控除が用意されています。

・農業委員会の斡旋により譲渡した場合
・農用地利用集積計画により譲渡した場合

上記の2つは、800万円の特別控除が受けられます。
誰にでもというわけではなく、”意欲のある農業者へ向けて農地を販売する場合に適用”されます。

ただし対象となる農地は、農用地区域内に限られるため注意しましょう。
農用地区域は生産性が高く、国にとって重要な農地と考えてください。

農用地利用集積計画は、国や農業委員会が主体となって農地を活用していく計画です。
つまり自らの売却ではなく、国などへ協力する形の売却が該当します。

農地中間管理機構(農地バンク)への譲渡

農地中間管理機構への譲渡は、1,500万円と2,000万円の2つが特別控除として用意されています。

  • 農業経営基盤強化促進法に基づく買入協議により買い取られた場合(1,500万円)
  • 農業経営基盤強化促進法の特例農用地利用規程に基づき買い取られた場合(2,000万円)

1,500万円の控除は農業委員会へ申し出をし、市町村長が間に入って買入協議の通知を行います。
最終的には、売主と農地中間管理機構が協議の上、売却を決定します。

もう1つの2,000万円控除では、最終の売却先は農地中間管理機構になるため同じです。
しかし、控除を受けるためには、特例農用地利用規程に基づくことが基本となっています。

農地は特例農用地利用規程の実施区域内に限られるため、一部の農家に限定された控除といえるでしょう。

農地以外に転用して売却する場合

農地以外に転用して売却する場合、土地収用法に基づいて買い取られると”最大5,000万円”の控除が受けられます。
土地収用法とは、”国の指定業者が公共事業のために土地を買い取る”場合の法律です。

公共事業になるため、こちらから売却を進めるわけではなく、買主から声がけがあった場合になります。
また、確定申告の際には施工会社から発行される、土地を買い取ったことの証明書添付が必須なので、失くさないようにしましょう。

農地を買い換えた場合の特例

計算

売却だけではなく、農地を買い換えた場合の特例も用意されています。

特例内容

対象者 個人:認定農業者か認定就農者
法人:認定農業者
対象となる買換え 市街化区域内:市街化区域外の買換え
(譲渡面積の10倍までが対象)

農用地区域内:農用地区域内の買換え
(農用地集積計画での取得。譲渡面積の5倍まで対象)

取得農地の要件 譲渡する農地よりも取得農地の面積が大きい
取得する農地が経営する農地と隣接している

対象は法人も個人も問われません。ただし、”市町村から認定農業者として認定”される必要があります。

対象となる農地は、市街化区域内と農用地区域内の2つです。基本的にはある程度の規模がある農地、と考えてもらえれば良いでしょう。

農業を発展させるために行なっている制度になるため、市街化区域内にように、都市化が進められている農地は区域外での買換えが求められます。

要件も似た内容で、現在の農地よりも面積が大きく、現在の農地や所有する他の農地から近い場所が条件です。

取得金額による課税ルール

取得金額によって、課税のルールが異なります。
売却する農地と買い換える農地の金額によって、課税の割合が決まります。

買換農地 > 売却農地

売却農地の収入金額よりも、買い換え農地の金額が高い場合には、”売却した農地金額の20%に対して課税”されます。

売却農地が1,000万円、買い換え農地が1,500万円であれば、1,000万円の20%になる200万円に対しての課税です。

買換農地 < 売却農地

売却農地の収入金額よりも、買い換え農地の金額が低い場合には、”買い換え農地の取得金額の80%を超えた部分に課税”されます。

ただし、単純に買い換え農地の80%以上ではありません。
買い換え農地の80%以上である20%に対してではなく、上限は売却農地の価格となるため注意しましょう。

売却農地が1,000万円、買い換え農地が500万円であれば600万円に対しての課税です。
買い換え農地が500万円であれば、80%以上の20%にあたる100万円に感じますが、実際には上限を売却農地の1,000万円に合わせます。

つまり、売却農地と買い換え農地の差が大きくなるほど、課税対象も増えることになります。

農地を相続した場合

農地

相続した場合には、”登記簿謄本の名義変更”をしておきましょう。

また、相続した農地で農業を行う場合などに対して、納税猶予があります。
相続税や贈与税の納税が猶予されますが、廃業したり売却する場合には支払い義務が生じます。

農地相続に関する税金については、下記の記事を参考にしてください。

農地を贈与した際にかかる税金についてはこちらの記事を参考にしてみてください。

農地の売却には確定申告が必要

電卓 確定申告

農地を売却した場合には、確定申告が必要です。
所得になるため、”農地の売却は課税対象”になります。

確定申告を行わなければ、罰則の対象にもなるため注意しましょう。

確定申告で必要な書類

確定申告に必要な書類はいくつかありますが、農地を売却した際に取得しておく書類もあります。

  • 確定申告書B(分離課税用の第3表も必要)
  • 譲渡所得内訳書(土地・建物用)
  • 本人確認書類

この3つが確定申告の基本となる書類です。
確定申告書Bは税務署でもらえます。国税庁のホームページからもダウンロードできます。

また、確定申告のソフトなどを使っての申告も可能です。

  • 売買契約書の写し
  • 農地取得時の売買契約書の写し
  • 使った費用の領収書
  • 登記簿謄本

農地の売買で必要となる書類は上記の通りです。
特に難しい内容はなく、農地を売買した際の契約書や、売買にかかった費用の領収書などが必要になります。

契約書や領収書などを失くさないように注意しましょう。

特別控除を受けるときに必要な書類

農地売却に関する特別控除を受けるためには必要書類の提出が必要です。
4つの特別控除に分けて必要書類を紹介します。

【800万円】農地利用目的の譲渡

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 農地保有の合理化等のために譲渡した場合に該当する旨を証する書類等

【1,500万円】農地利用目的の譲渡

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 特定住宅地造成事業等のために土地等の買取りがあったことを証する書類等

【2,000万円】特例農用地利用規定に基づいた譲渡

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 特定土地区画整理事業等のために土地等の買取りがあったことを証する書類等

【5,000万円】転用目的の譲渡

  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 収容等証明書(公共事業施工者から交付を受けたもの)
  • 公共事業用資産の買取り等の申出証明書(公共事業施工者から交付を受けたもの)
  • 公共事業用資産の買取り等の証明書(公共事業施工者から交付を受けたもの)

出典:国税庁

基本的に譲渡所得の内訳書や、買取りがあったことを証明する書類が必要です。

確定申告は時期が決まっているため、農地売却に関わる書類は大切に保管しておきましょう。

確定申告と納税のタイミング

確定申告は前年の1月1日から12月31日までの分を確定申告します。
農地を売却した翌年の2月16日から3月15日に申告してください。

また、納税のタイミングは現金であれば確定申告当日、銀行口座からの引き落としは4月下旬です。

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放置している農地の活用方法がわからない場合には、土地活用のプロに相談することも1つの方法です。

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まとめ

今回は、農地売却にかかる税金や計算方法、特別控除について解説していきました。
農地の売却は売って終了ではなく、翌年には確定申告を行って税金を納めなければいけません。

また、農地の売却方法によっては、節税になる特別控除が用意されています。当てはまれば利用をおすすめします。
複雑なことも多い農地の売却ですが、売却方法だけに目を向けるのではなく、税金に関しても理解しておきましょう。