きゅうりの摘心のやり方!失敗しないポイントやよくあるトラブルも解決
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よいきゅうりをたくさん収穫するためには、必要不可欠な作業である「摘心」。実はプロにとっても簡単ではなく、きゅうり栽培でつまづきやすいポイントです。
本記事では、きゅうりの摘心のやり方や失敗しないポイントについて、元種苗メーカー勤務の筆者がわかりやすく解説します。
なぜ摘心するのか、しないとどうなるのかなどを知り、きゅうり栽培に対する理解を深めていきましょう。
目次
きゅうりの摘心とは
摘心とは、植物の生育をコントロールするために、生長点を摘み取る作業です。
「ピンチ」「整枝」「芯止め」など呼び方はさまざまで、どれも摘心作業を指しています。
きゅうり栽培には「摘心栽培」のほかに、摘心をしない「つる下ろし栽培」もあります。少量生産の場合は摘心栽培が一般的です。
ここでは、摘心の基礎知識を2つ解説します。
摘心をする理由
きゅうり栽培で摘心する理由は、実を付けさせる「つる」を伸ばすことが主な目的となります。
親づるを摘心するのは、小づるを生長させて実を収穫するため、子づるを摘心するのも、孫づるを伸ばして実を収穫するためです。
具体的にやることは生長点を切るだけです。しかし、きゅうりの生長促進・抑制、収穫量や品質などに大きく関わっています。
そのため、きゅうり栽培において、もっとも重要な作業と言えるでしょう。
摘心しないとどうなる?
きゅうりは放任でもぐんぐん生長し、実もある程度は収穫可能です。
しかし、好き放題に生育したきゅうりは「つるばかり伸びて実が付かない」「実ばかりに栄養が取られ株が大きく育たない」などの問題が多く発生します。
結果的に収穫量が大幅に減る、品質の悪いものが多くなることに繋がるのです。
またきゅうりは、放っておくとつるや葉があっという間に伸びて、風通し・日当たりの悪いジャングル状態になります。
この状態では、収穫などの作業も一苦労です。病気や害虫なども多発するため、余計に手間がかかってしまうでしょう。
きゅうりの摘心時期・管理方法
きゅうりは品種や作型などによって、生育スピードが大きく異なります。
そのため摘心に明確な時期はなく、きゅうりの「節数」を目安に摘心するのが基本です。
同じ株でも節数ごとに、段階的な摘心管理が必要になります。基本的な管理方法はしっかり理解しておきましょう。
1:株元から5〜6節までの子づる・孫づる管理
株元から5〜6節(高さ30cmほど)までの子づると雌花は、小さいうちにすべて摘み取りましょう。
この高さで実を付けてもよい実は採れないうえ、親づるの生育が遅れてしまいます。
よい実を収穫するためにも、この段階では親づるに栄養を集中させ、株を強くしていきましょう。
子づる・雌花を摘み取る際には、同じ場所から出てくる葉は摘み取らないよう注意してください。葉も摘んでしまうと、生育が極端に悪くなります。
2:6〜10節目までの子づる・孫づる管理
6〜10節目(高さ60cmほど)からは、雌花は摘まずに実を付け、子づるも伸ばしていきます。
伸ばした子づるは1節で摘心するのが基本です。子づるなどの節には、親づる同様に花・葉・わき芽が出てきます。それらが付いている少し先で摘心してください。
また子づるから出てくる、孫づるも同じように1節で摘心し、実を収穫しましょう。
孫づる以降もつるが出てきます。6〜10節の高さでは地面に付いてしまい、よい実はなりません。
そのため、孫づるまでのきゅうりを収穫したら、つるごと取り除いてしまいましょう。
3:11節目以降の子づる・孫づる管理
11節目以降の子づるは、基本的には2節で摘心し、上から2〜3節は1節で摘心します。
孫づるからは半放任で育てていき、混み合ってきたと感じたら、つるの先端で摘心する程度の管理で大丈夫です。
ただし、すべての孫づるを摘心してしまうと、栄養や水分を吸い上げられなくなり、生育が著しく悪くなります。
そのため、常に2〜3本の太く元気な孫づるを、摘心せずに確保しておきましょう。確保したつるが栄養・水分を吸い上げるポンプとして働き、健康な株を保ってくれます。
4:親づるの管理
親づるも、子づる・孫づると同様に、ある程度の高さまで生長したら摘心します。
親づるを摘心しても枯れることはないので安心してください。親づるの生育はそこで止まります。
その分、子づるや孫づるの発生・生長が促され、結果的に収穫量を増やせるのです。
親づるの摘心は、節数よりも高さを目安にして行います。あまり高く伸ばすと、収穫などの管理が大変になるため、自分の目線よりも少し上くらいで摘心しましょう。
きゅうりを摘心する時のポイント
摘心作業は、きゅうりに対してかなり大きな負荷を与える作業です。
そのため間違ったやり方をすると、生育が悪くなり、ひどい場合はそこで終わってしまう可能性も。
きゅうり栽培に失敗しないためにも、摘心時のポイントをしっかりと押さえておきましょう。
手で摘める大きさで摘心する
摘心する時はなるべくハサミを使わず、手で摘み取れる大きさのうちに摘心しましょう。
つるがまだ小さく柔らかいうちに摘心する場合と、大きく硬くなってから摘心する場合では、きゅうりにかかる負荷がまったく違います。
何度も大きいつるを摘心すると、負荷が重すぎて株を弱める原因になるため、手で摘める大きさで摘心するのがベストです。
タイミングを逃してしまい、手だときれいに折れない場合はハサミを使って摘心してください。
ただし、不衛生なハサミで摘心すると病気の原因になります。摘心の前後にはしっかり洗浄し、清潔なハサミで摘心しましょう。
摘葉で風通し・日当たりをよくする
きゅうりは風通しや日当たりが悪いと病気が発生しやすくなり、株も元気に生育せずよい実がなりません。
摘心や摘葉は、主にきゅうりの生育・実のために行う作業です。ほかに、株の風通し・日当たりをよくすることも目的の1つです。特に摘葉は、風通し・日当たりをよくするうえで非常に重要です。
【優先して摘葉したほうがいいもの】
- 黄色くなった古い葉
- 混み合ったり重なり合っている葉
- 日を遮っている大きな葉
摘葉する時は、1日に集中して摘葉しすぎないこと、摘葉しすぎて株がスカスカにならないよう注意してください。
摘心・摘葉は1日2〜3本にとどめる
摘心や摘葉は、きゅうりにとって非常に大きな負荷・ストレスになる作業です。
よい実を収穫するためにも摘心は不可欠な作業です。ただし、1日で大量に摘心・摘葉すると、株を弱める原因となり、最悪の場合生育が止まってしまいます。
健康な株を保ち、よい実を収穫するためにも、摘心・摘葉は1日あたり2〜3本程度にとどめましょう。
なお摘心・摘葉作業は、育てるきゅうりの数が多ければ多いほど、当然時間がかかります。そのため、大量生産の場合はこまめな管理が重要です。
今日は摘心の日、明日は摘葉の日などのように決めておくと、効率的に管理できるでしょう。
きゅうりの摘心でよくあるトラブル
きゅうりの摘心は、技術と知識が必要になる作業です。たとえプロでも失敗することがよくあります。
初心者であればなおさらトラブルは付きものでしょう。ここでは、きゅうりの摘心でよくあるトラブルと、その解決方法をまとめました。
間違えて親づるを摘心してしまった
「子づると間違えて親づるを切ってしまった。」これは初心者ならよくある失敗です。
この場合は、子づるが残っているか、残っていないかで対処法が異なります。
子づるが残っていれば、残った子づる1〜2本を伸ばし、親づると同じように管理していきましょう。
子づるを親づる代わりに、孫づるを子づる代わりに育てていくイメージです。実際にこういった子づるメインの仕立て方はあるため、まだまだ挽回可能です。
ただし子づるが1つも残っておらず、新しく伸びてくる様子もないなら、残念ながら収穫は望めません。あきらめて、素直に植え替えましょう。
わき芽(子づる)が出ない
極まれに、わき芽が出ないこともあるようです。4つの原因が考えられます。
- 節なり性品種を使っている
- 適温で栽培していない
- プランター・株間が狭い
- 水・肥料・日照不足
「節なり性」と記載されている品種は、親づるから確実に収穫するのが目的となる品種です。その性質上、子づるが出ないことも珍しくありません。
節なり性にも子づるが出やすい品種もあります。摘心栽培なら、子づるが発生しやすい「飛び節なり性」品種や「中間タイプ」の品種が適しています。
ほかには、きゅうり栽培に適した環境になっていない可能性があります。気温は適しているか、プランター・株間は十分な広さか、水・肥料・日照不足になっていないかチェックしてみてください。
▼きゅうりの育て方・栽培方法については以下の記事でまとめています。
まとめ
きゅうりの摘心のやり方や失敗しないポイントについて解説しました。
きゅうりの摘心は、よいきゅうりをたくさん収穫するためには不可欠な作業です。
簡単な作業ではありませんが、摘心のタイミングや基本的なやり方、ポイントをしっかり押さえれば、大きな失敗は防げます。
ぜひこの記事を参考に作業を進めて、おいしく立派なきゅうりをたくさん収穫しましょう。