ソーラーシェアリングに失敗はつきもの|理由と問題点を知っておく

B!
ソーラーシェアリング 太陽光発電

「営農型太陽光発電」とも呼ばれる、「ソーラーシェアリング」をご存知でしょうか。

農地の全てを太陽光発電として使うのではなく、今まで通りに農業を継続しながら太陽光発電も行います。

太陽光発電の固定買取制度、いわゆるFIT制度が2012年に始まり、翌年の2013年からは農地で太陽光発電を行うソーラーシェアリングが認められました。ソーラーシェアリングは農業だけではなく、太陽光発電で収入が増える画期的な方法です。

しかしメリットばかりではなく、失敗事例も増えています。ソーラーシェアリングが失敗するには理由があり、様々な問題点もあります。

成功させるためには、失敗する理由や問題点、失敗事例も知っておくべきでしょう。

今回は、「ソーラーシェアリングで失敗する理由と問題点」を中心に、成功させるために必要なことも解説していきます。

ソーラーシェアリングが失敗する理由と問題点

悩む 困る

初めに、ソーラーシェアリングが失敗する理由と問題点を見ていきましょう。単純な内容ですが、1つ1つを軽く考えてしまうと失敗に繋がります。

 

農業に力を入れなくなる

ソーラーシェアリングは、あくまで農業が主体の事業です。しかし太陽光発電は設置さえ終わってしまえば、半自動的にお金を稼いでくれます。

反対に農業は作業をしなければ収入に繋がりません。作業をしなくても収入になる太陽光発電に気持ちが傾き、農業をおろそかにすれば、失敗する可能性が高くなります。

ソーラーシェアリングは、農地を潰さずに太陽光発電をすればよいだけではなく、農業を継続することが条件です。ソーラーシェアリングを行うには、農地の一時転用が必要になります。

一時転用には条件があり、作物の収穫量が極端に減った場合には、転用許可が取り消されてしまいます。農業に力を入れなくなってしまった場合には、結果としてソーラーシェアリングの継続はできません。

ソーラーシェアリングの中心は農業であることを理解しておきましょう。

 

作物を適当に選ぶ

ソーラーシェアリングは農地の上空にソーラーパネルを設置するため、太陽光が遮られます。ただし作物の成長には影響がない程度の範囲で設置をするため、影響が出ることは少なくなっています。

まだ農業に関する知識が少ない場合には、太陽光が少なくても育つ作物を選ぶとよいでしょう。

場合によっては、作物がうまく育たずに出荷量が減って、ソーラーシェアリングが継続できなくなるかもしれません。

作物によって必要な光合成量は異なるため、始める前に育てる作物や、現在育てている作物の光合成量を調べておけば、失敗するリスクを下げられます。

 

周辺農家への配慮を怠る

農作業自体は1人や家族でできても、「農業」という意味では少し変わってきます。自分の農地でも、周辺には他の人の農地が隣接している場合も多く、ソーラーシェアリングは周辺農家への配慮も必要です。

ソーラーパネルは上空に設置するため、当然農地には影ができます。時期によって太陽の位置は変わるため、影ができる場所も異なります。

あまり考えずにソーラーパネルを設置した場合には、周辺の農地が影になってしまうこともあるでしょう。そういった場合に周辺農家から理解を得ていなければ、トラブルに発展する可能性があります。

ソーラーシェアリングを始める場合には、周辺農家への説明、できる限り迷惑のかからない設置方法を選ぶ必要があります。

 

導入費用が高額

ソーラーシェアリングは、太陽光発電のシステムを設置するため、当然ながら費用がかかります。特にソーラーシェアリングの場合は農地の上空に設置するため、通常の太陽光発電よりも導入費用が高額になりがちです。

また太陽光発電のシステムには、定期的なメンテナンスが必要になります。大規模なソーラーシェアリングであれば、メンテナンスは義務になるため怠ってはいけません。

こういったメンテナンス費用も実費になるため、ソーラーシェアリングは導入だけではなく、維持費もかかる方法です。無理をしてソーラーシェアリングに挑戦しても、高額な導入費用やメンテナンス費用で、経営がうまくいかなくなることもあります。

継続できなければソーラーシェアリングにメリットはありません。

 

事業の継承が難しくなる

例えば、20代や30代といった若い世代、企業としてソーラーシェアリングに取り組むのであれば、後継者の心配は少ないかもしれません。しかし、農業自体の引退を考えている年齢の場合、後継のことも考えてソーラーシェアリングを検討しましょう。

農業の継承だけではなく、ソーラーシェアリングとなると、教えていくのは難しいものです。農業と太陽光発電、両方のノウハウを継承するのは簡単ではなく、最終的に撤去するしかなくなることも多い失敗です。

ソーラーシェアリングで知っておくこと

ソーラーパネル 太陽光発電

ソーラーシェアリングを始める前に知っておくべきことも解説します。あらかじめ確認しておくことで、ソーラーシェアリングを始めるべきかの判断材料になるでしょう。

 

農地の一時転用が必要

ソーラーシェアリングには、「農地の一時転用」が必要です。例えば、一時転用許可を得ずにソーラーシェアリングを開始した場合には、罰則を受ける可能性があります。

農業委員会に申請をして許可を得る必要があり、どのような場合でも許可されるわけではありません。農地の転用よりも規制は緩いですが、ソーラーシェアリングは農業を中心としているため、確認される項目は多くなっています。

また、一時転用とある通り、許可が出れば永久的に継続できるわけではなく、定期的な再申請が必要です。基本は3年ごとの再申請となっており、状況が大きく変化していない限りは、再度許可されます。

また、更新は一定の条件を満たすことで、10年まで延長されます。

【一時転用期間が10年になる条件】

  • 認定農業者等の担い手が下部の農地で営農を行う
  • 荒廃農地を活用する
  • 第2種農地又は第3種農地を活用する

上記の3点いずれかに該当する場合、10年まで延長されます。難しい内容はないため、自身の農地が該当する場合にはソーラーシェアリングも行いやすくなるでしょう。

 

収穫状況の報告義務

ソーラーシェアリングには、収穫状況の報告義務が定められています。これは、農業部分に関するもので、毎年、農業委員会への報告が必要です。

農業部分での収入は、地域平均単収の8割以上を維持しなければいけません。あくまで、ソーラーシェアリングが農業を中心に考えられていることがよくわかります。

8割に満たない年が続けば、一時転用許可が取り消され、ソーラーシェアリングを中止されることもあります。初期費用が大きくかかっているため、一番避けなくてはいけないことです。

ソーラーシェアリングは農業を主体としているため、農業を怠ると収入が増えるどころか、設備に投資した費用が無駄になってしまいます。

 

設置費用の相場

ソーラーシェアリングを始める前に、設置費用の相場を知っておきましょう。費用の相場がわかっていると、「設置すべきなのか、しないべきなのか」を判断しやすくなります。

ソーラーシェアリングの場合には、上空に設置するための架台が必要なので通常よりも高額です。

【1kWあたりの平均設置費用】

  • 一般的な太陽光発電:20万円ほど(時期によって異なる)
  • ソーラーシェアリング:24万円から34万円ほど

容量50kWの太陽光発電を設置した場合には、1,200万円から1,700万円ほどになります。

通常の平均より数百万円ほど高くなる計算です。

 

金融機関からの融資が出にくい

ソーラーシェアリングは、融資を受けにくい事業です。

【金融機関からの融資が出にくい理由】

  • 初期費用が高く利益率は低い
  • 農地の一時転用

まず、太陽光発電自体、利益率が極端に高いわけではありません。さらに、初期費用としては高額なため、融資する側としては、「融資分を回収できないかもしれない」と考えます。

もう1つの一時転用はあくまで一時になるため、永久ではなく更新が必要です。

もし、更新が認められなければ、短くて3年、長くても10年でソーラーシェアリング事業は終了してしまいます。事業を継続できる年数が短くなる可能性もあるため、融資は難しくなっています。

ソーラーシェアリングの失敗事例

空

ソーラーシェアリングは、実際にどのような失敗事例があるのかも確認しておきましょう。

事例がわかれば、避けることも可能です。

 

収入の減少

ソーラーシェアリングの失敗事例で多いのは、単収の減少です。つまり、作物の育成不良や販売がうまくいかなかったということになります。

失敗事例では、全体の50%ほどが単収の減少によるもので、ソーラーシェアリングを継続できなくなっています。また、自然災害などによる単収の減少もあげられます。

ソーラーシェアリングは、地域平均単収の8割以上を維持しなくてはいけません。これらの例は、いずれも単収が2割以上、減少しているため、ソーラーシェアリングを認められなくなっています。

単純に単収が減少している場合は、営農者の力不足からくる面もあります。しかし、災害に関してはどうにもできない部分があります。

平均単収が8割に満たなかった場合にも、その年にソーラーシェアリングを撤去させられるわけではありません。

撤去を命じられるのは、数年に渡って減少が続いた場合です。まじめに農業に取り組んでいれば、ある程度は避けられる事例でしょう。

 

太陽光発電システム設置方法

そもそも設置方法がソーラーシェアリングに向いていなかった場合、作物の生育はうまくいきません。

遮光率が高すぎると作物は育たず、ソーラーパネルを載せる架台が適当に配置されていると作業が難しくなります。

太陽光発電システムの設置は安くないため、後から改修したくてもできないことが多くあります。

設置会社をしっかりと選ばなければ、後々問題につながり、ソーラーシェアリングが失敗してしまう事例も多いです。

ソーラーシェアリングを成功させるために必要なこと

太陽光発電

ソーラーシェアリングを成功させるためには、必要なことがいくつかあります。始める前の参考にしてみてください。

 

自家消費も視野に入れる

ソーラーシェアリングは、農業と売電で2つの収益を生むことに注目が集まっています。しかし、面積によっては想像しているほどの収益にならないのが太陽光発電です。

例えば、現時点での固定買取価格制度(FIT制度)では、1kWあたり11円から19円、一般の買取価格は7円から8円ほどが平均になります。規模にもよりますが、決して高い金額とは言えません。

初期費用がかかっている分、利益が気になるでしょう。そこで、1つの方法として注目されているのが、自家消費です。

発電した電力を売るのではなく、ハウスなどで利用する電力を太陽光発電で補います。また、農作業に関わる農機具や車両を電気式に変えていくことで、燃料費の節約にもなります。

自家消費は、新たな設備が必要になったりと大変なこともあります。しかし将来的には新しい農業の形として定着していくかもしれません。

太陽光発電の売電価格については、下記の記事を参考にしてみてください。


 

あくまで農業を主体に考える

ソーラーシェアリングを成功させるために一番大切なのは、農業を主体に考えることです。ソーラーシェアリングが失敗する原因で多いのが、農業をおろそかにした場合です。

まず、農地を一時転用してソーラーシェアリングを行うため、許可が更新できなければ継続はできません。いずれも、「農業に悪影響が出ている」と判断された場合、一時転用は取り消されてしまいます。

取り消されると太陽光発電のシステムも撤去しなくてはいけないため、初期投資した費用も無駄になります。太陽光発電はソーラーシェアリングの中心ではなく、農業を主体にしなくてはいけないことを忘れないようにしましょう。

 

設置会社の選び方

ソーラーシェアリングには、太陽光発電システムの設置が必須です。設置を行っている会社は多いですが、どこでも同じわけではありません。

設置の方法次第で、ソーラーシェアリングは成功にも失敗にも繋がります。

太陽光発電設置会社を選ぶポイント

太陽光発電 設置

太陽光発電システムを設置している会社は、どこを選んでもよいわけではなく、ソーラーシェアリングの取り扱いなども確認しましょう。費用がかかるからこそ、しっかりと調べてから申し込む必要があります。

 

ソーラーシェアリングの実績

ソーラーシェアリングのことを理解していない場合には、作物に必要な光量、周辺農地への影響などを考えて設計ができません。

適当な設計で設置された場合には、遮光率が高すぎて作物が育ちにくかったり、周辺農家とのトラブルにも発展してしまいます。

依頼する際には、ソーラーシェアリングを設置した事例を聞いてみましょう。実績があれば、写真などでも事例を見せてもらえるはずです。

 

サポート体制

太陽光発電は設置後にも定期的なメンテナンスをしなければ、正常な発電を続けられません。ソーラーシェアリングの場合には、特殊な架台を使用しているため、メンテナンスを怠ると事故につながる可能性もあります。

依頼する設置会社が、どのようなサポート体制を取っているのかは重要なポイントです。メンテナンスの方法や時期、料金などについても確認しておくことをおすすめします。

 

適正な価格

基本的には、一般的な価格よりも割高になるソーラーシェアリングですが、極端に高い価格であれば注意が必要です。

こういった依頼時には、相見積もりを取るようにしましょう。

3社ほどに見積もりを取れば、ある程度の相場がわかります。対応している会社が地元に少ない場合には、一括見積もりの利用もおすすめです。

太陽光発電の一括見積りは「タイナビ」

営農型太陽光発電を始めようと思っても、太陽光発電を取り扱う会社は多く、選ぶのは大変です。

タイナビでは一般住宅用以外にも、産業用太陽光発電の一括見積りもできます。また、蓄電池の導入を考えている方は、蓄電池のみの見積もりや、太陽光発電とセットで一括見積りができる、とても便利なサービスです。

全国150社以上の会社から最大で5社の見積もりがもらえるため、手軽に価格帯を知れるでしょう。流れとしては、見積もりフォームから申し込み後に、担当者から連絡が入り、数日後に現地調査となります。

タイナビは全国で産業用太陽光発電の見積もりを取れるため、営農型太陽光発電を始めるのであれば利用したいサイトです。小規模の営農者でもおすすめのサービスなので、ぜひ一度試ししてみてはいかがでしょうか。

まとめ

ソーラーシェアリングの失敗に注目して解説してきました。ソーラーシェアリングは失敗ばかりではなく、成功し、うまく継続している事業者の方が多いです。

2013年から開始されている事業になるため、成功事例だけではなく、失敗事例も知れるようになってきています。これからソーラーシェアリングを進める場合には、失敗事例を参考にし、成功するソーラーシェアリングを目指してみてください。