かぶの栽培方法|時期や種類、プランターでの育て方を解説!
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春の七草「スズナ」としても古くから親しまれているかぶ。漬物に煮物、サラダに炒め物などさまざまな料理に使えて、非常に重宝する野菜です。
栽培期間が短く、管理も比較的簡単なため、プランターなどの家庭菜園でも手軽に楽しめます。
かぶの特徴や栽培方法、プランターでの育て方について、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。
目次
かぶの特徴
かぶはアブラナ科に属する、主に根を食べる根菜です。
根にはデンプンを分解するジアスターゼという消化酵素が含まれており、胃もたれや胸やけの防止・緩和に有効です。
葉は根よりも栄養豊富で、緑黄色野菜に分類されているほど栄養価が高くなっています。
カリウム・カルシウム・ビタミン類に、アンチエイジング効果のあるβ-カロテン、鉄分も含まれているため、貧血や便秘、骨粗鬆症予防にも効果的です。
ここでは、かぶ栽培の基礎を解説していきます。
栽培暦・時期
かぶの栽培時期は、春まきと秋まきの2通りがあります。
種まき | 収穫 | |
---|---|---|
春まき栽培 | 3月下旬〜5月上旬 | 6〜7月上旬 |
秋まき栽培 | 7〜9月頃 | 8〜12月頃 |
上記の栽培時期は品種や地域によって前後するため、目安としてください。
春まき栽培では、とう立ちや病害虫被害のリスクが高く、管理が大変になります。特別な理由がなければ、秋まきでの栽培がおすすめです。
栽培環境
かぶの生育適温は20〜25℃ほど、日当たりがよく、涼しい気候を好みます。
高温には弱く、30℃以上になると発芽しにくくなります。夏場の種まきは避けるのが無難でしょう。
また種まき時期が早すぎても低温に当たり、とう立ちリスクが高まります。できるだけ適温での栽培を心がけましょう。
- 土壌環境:pH5.2〜6.8ほど
- 保水性・排水性のバランスがよい土壌が理想的
極度の乾燥・多湿条件では、実割れなどの生理障害が起こるため、乾燥しすぎない一定の水分を保つことが重要です。
また同じ畑で連作すると、病気・害虫・生理障害の増加などの連作障害が起こります。1度栽培した畑では、1〜2年はアブラナ科野菜を栽培しないようにしましょう。
種類・品種
かぶの種類は、大きく分けて「小かぶ」「中かぶ」「大かぶ」の3種類です。それぞれ実の大きさや栽培期間に異なる特徴を持っています。
【種類ごとの特徴・品種】
種類 | 大きさ(直径) | 栽培期間 | オススメ品種 |
---|---|---|---|
小かぶ | 5〜6cm | 40〜50日 | 金町小かぶ・あやめ雪 |
中かぶ | 10cm前後 | 50〜60日 | スワン・耐病ひかり |
大かぶ | 15cm以上 | 60〜90日 | 聖護院大丸蕪・京千舞 |
中でも小〜中かぶは、栽培期間が短く比較的簡単に育てられるため、家庭菜園にもぴったりです。
ほかにも色や形の異なる変わり種も多くあるので、見た目や大きさ、栽培期間や育てやすさなどを考えて品種を選んでみてください。
また、スワン・耐病ひかりは栽培期間を変えることで、小〜大かぶとして収穫できる品種です。どの品種を育てるか迷ったら、スワンや耐病ひかりを選んでみてはいかがでしょう。
かぶの栽培方法・育て方
プランターでもできるかぶの栽培方法を、失敗しないためのポイントや注意点とともに解説していきます。
【栽培手順】
- 土作り
- 種まき
- 間引き
- 追肥・土寄せ
- 収穫
1:土作り
かぶ栽培をする畑・プランターを準備していきます。かぶ栽培では、pHは5.2〜6.8ほど、日当たりがよく保水性・排水性のバランスがよい土作りをしていきましょう。
地植えの場合
種まき2週間前に完熟堆肥と苦土石灰を入れて耕し、1週間前に元肥を入れて再びよく耕します。
【1平方メートルあたりの施肥量】
- 完熟堆肥:2kg
- 苦土石灰:100g
- 化成肥料:100g
大きな土塊や石は取り除き、土を細かくしておくことが、品質のよいかぶを作るポイントです。
よく耕したあと条間を確保し、高さ10〜15cmの畝を立てれば土作り完了です。
【種類ごとの条間】
- 小かぶ:15cm
- 中かぶ:20〜25cm
- 大かぶ:40〜50cm
プランターの場合
鉢底石を敷き詰め、野菜用培土を入れるだけで簡単に作れます。
なお、かぶ栽培に使うプランターは、深さ15cmもあれば十分です。幅60cmでのプランターで1条5〜6株が目安になります。
多く収穫したい場合は、大型のプランターを選び2条植えにしてください。
2:種まき
春まき栽培では、3月下旬〜5月上旬。秋まき栽培では、7〜9月頃に種まきを行います。
- 土作りで確保した条間通りに、深さ1cmほどのまき溝を作る
- 作った溝に1〜2cm間隔で種をスジ状にまっすぐまく
- 軽く土を被せ、おさえる
- たっぷりと水をやり、種まき完了
発芽までは5日前後かかります。それまで乾燥させないよう、よく観察して適宜水をあげましょう。
春まき栽培の場合は、幼苗期に害虫被害が出やすくなります。種まき直後に防虫ネットや寒冷紗を張っておくと安心です。
3:間引き
発芽後は、間引きを3回に分けて行います。まとめて間引くと根が急激に成長してしまい、実が割れる原因になるため注意が必要です。
【間引きのタイミング】
- 1回目:本葉1枚目が出た頃
- 2回目:本葉3〜4枚の頃
- 3回目:本葉5〜6枚の頃
3回目の間引きで、下記通りの株間になるように調整してください。
【種類ごとの最終的な株間】
- 小かぶ:約10cm
- 中かぶ:約20cm
- 大かぶ:約30cm
間引きの際は、生育のよい苗や傷・病虫害被害などの異常がない苗を優先して残しましょう。
間引きは、順調に実を太らせ、品質のよいかぶを収穫するために大切な作業です。
時期が遅れると、かぶ同士が傷つけ合い、水分や栄養を奪い合ってしまいます。適切なタイミングで間引くことが重要です。
4:追肥・土寄せ
追肥・土寄せは、2・3回目の間引きと同時に計2回行います。
小かぶは元肥のみで生育可能なため、追肥は必要ありません。間引き後に軽く土寄せだけしておきましょう。
2・3回目の間引きをした後、条間に1平方メートルあたり20gの化成肥料を追肥します。その後、条間を軽くほぐし、株元に土寄せしてください。
条間をほぐすことで、通気性の改善・雑草防止になり、土寄せすることで、肌のきれいなかぶに成長します。
5:収穫
【種まきから収穫時期】
- 小かぶ:40〜50日
- 中かぶ:50〜60日
- 大かぶ:60〜90日
地表に肩が出てきたら、種類ごとの収穫サイズを目安に、十分肥大したものから収穫していきましょう。
株元の葉茎をまとめて掴んで引き抜けば、簡単に収穫可能です。
【種類ごとの収穫サイズ】
- 小かぶ:5〜6cm
- 中かぶ:10cm前後
- 大かぶ:15cm以上
収穫が遅れて肥大しすぎてしまうと、実に空洞ができる・実が割れる・食味が落ちるといった原因になります。
おいしく品質のよいかぶを収穫するためにも、適期を逃さないよう、早めの収穫を心がけましょう。
かぶ栽培でよくある失敗
かぶ栽培でよくある失敗の原因・対策を解説していきます。
実に空洞ができる(スが入る)
収穫したかぶを切ってみると、中が空洞になっていることがあります。空洞ができる主な原因は、収穫遅れによる株自体の老化です。
成長のピークを過ぎても、地下部の根は肥大を続けます。しかし、老化した葉は十分に栄養が作れなくなります。
その結果、中に空洞が入った大きなかぶになるのです。そのため、タイミングを逃さず、適期で収穫することが大切です。
また、生育後半の高温・乾燥や、生育の早すぎも空洞の原因になります。春まき栽培後半の高温や水不足、元肥・追肥が多すぎないよう注意して栽培しましょう。
実が割れる(裂根)
かぶの実割れは、土壌水分・環境の変化が大きな原因です。
たとえば、乾燥気味だった畑に大雨や水のやりすぎで急激に水分が多くなると、かぶの実割れが起こりやすくなります。
そのため、生育初期から畑が乾燥しすぎないように注意し、水分をなるべく一定に保つことが大切です。
ただし水分が多すぎても実割れや病害の原因となるため、保水性・排水性のバランスのよい土壌で栽培しましょう。
そのほかにも、一度に間引きしたことによる急激な成長や、収穫遅れも実割れに繋がります。作業は適切なタイミングで行うことが大切です。
表面がザラザラ
真っ白でツルツル、非常に美しい肌がかぶの特徴です。しかし、表面がザラザラ・汚れがひどくなることもあります。
表面がザラザラになってしまうのは、キスジノミハムシの幼虫が主な原因です。
キスジノミハムシが食害するのは表面だけなので、家庭で食べる分には問題ありません。ただし商品価値はなくなってしまうため、農家であれば必ず対策を取りましょう。
【有効な防除方法】
- アブラナ科野菜を連作しないこと
- 種まき前に土壌処理剤を散布すること
また、土が粗い・石が多い畑ではきれいな表面になりません。種まき前に石を取り除き、畑をよく耕すことが重要です。
まとめ
かぶの特徴や栽培方法、プランターでの育て方について解説しました。
かぶ栽培では、畑の乾燥しすぎにさえ注意すれば、家庭菜園初心者でもおいしいかぶが収穫できます。
ぜひこの記事を参考に、かぶ栽培に挑戦してみてください。