太陽光発電の売電価格とは│設置のメリットや卒FIT後の運用を解説
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太陽光発電の注目度は年々増しています。
住宅や土地に太陽光パネルを設置することで、発電した電力を販売、自家消費を行えることから、検討している人も多いでしょう。
しかし、設置費用がかかることから、太陽光発電の売電価格は気になる部分です。
また、固定買取価格制度(FIT)も、太陽光発電を行う上で忘れてはいけません。
一般的にも広く認識されている太陽光発電ですが、設置を考えるのであれば、知っておいたほうがよいことも多くあります。
今回の記事は、太陽光発電の売電価格や設置のメリット、卒FIT後の運用方法も解説します。
営農型太陽光発電の収益計画などについてはこちらの記事で紹介しています。是非参考にしてみてください。
目次
太陽光発電の売電価格推移(FIT制度)
太陽光発電の売電価格は、下落方向へ推移しています。現在、設置を考えている人にとっては大きな問題でしょう。
ただし下落は、固定買取価格制度(FIT)による価格の話です。
現在の売電価格や今後、推移していく価格の予測を見ていきましょう。
2021年の太陽光の売電価格
太陽光発電は、大きく住宅用と産業用に分けられます。
一般住宅に設置されるものが住宅用、大規模なソーラー畑や農地に設置されるものが産業用です。
また、システム容量は10kW未満が住宅用、10kW以上が産業用として分けられています。
次の項目で解説するFIT制度の価格として、2021年の売電価格は、10kW未満が19円(税込)/kWh、10kWから50kWまでが12円/kWhとなりました。
さらに、もう一段階大きい容量となる、50kWから250kWでは、11円/kWhです。
規模 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|
10kW未満 | 21円(税込) | 19円(税込) |
10kW〜50kW | 13円(税抜) | 12円(税抜) |
50kW〜250kW | 12円(税抜) | 11円(税抜) |
前年2020年の売電価格と比べると住宅用では2円、産業用では1円の値下げとなりました。
直近では少ない変動に感じますが、9年前の2012年と比べると半分ほどの買取価格となっています。
2022年以降の売電価格予測
これから太陽光発電を始める人にとって、今後の価格帯がどうなっていくのかは気になる部分でしょう。
固定買取価格制度(FIT)が始まったのは2012年です。ここまでの価格推移を見て予測します。
※全て1kWh当たりの価格
10kW未満(税込) | 10kW〜50kW(税抜) | 50kW〜250kW(税抜) | |
---|---|---|---|
2012年 | 42円 | 40円 | 40円 |
2013年 | 38円 | 36円 | 36円 |
2014年 | 37円 | 32円 | 32円 |
2015年 | 35円 | 27円〜29円 | 27円〜29円 |
2016年 | 33円 | 24円 | 24円 |
2017年 | 30円 | 21円 | 21円 |
(2,000kW以上は入札制度) | |||
2018年 | 28円 | 18円 | 18円 |
(2,000kW以上は入札制度) | |||
2019年 | 26円 | 14円 | 14円 |
(500kW以上は入札制度) | |||
2020年 | 21円 | 13円 | 12円 |
2021年 | 19円 | 12円 | 11円 |
住宅用の10kW未満に関しては、「出力制御対応機器設置義務あり」に価格を合わせています。
FIT制度が始まった2012年からの価格推移は、1円から5円ほどの下落が毎年続いています。現在では、当初の半分ほどの売電価格となりました。
この傾向は今後も続くと予測され、国も引き下げる考えを公表しています。
住宅用となる10KW以下に関しては、2027年ごろまでに1kWh当たり11円まで下げる方向です。
産業用に関しても、同様に値下げが続くと予測されます。
固定買取価格制度(FIT)の変更
固定買取価格制度(FIT)は2012年に施工された制度で、2017年4月に改正されています。
また2020年にも改正されていますが、売電単価の引き下げが中心です。
FITの基本や、2017年の変更点を解説しましょう。
固定買取価格制度(FIT)とは
固定買取価格制度は「FIT」とも呼ばれ、住宅用では10年間、産業用では20年間、電力事業者が電気を買い取るように義務付けた制度です。
再生可能なエネルギーを普及させる目的で制定された制度であり、太陽光だけではなく、風力や水力といった発電も含まれます。
太陽光発電を行うのであれば、固定買取価格制度(FIT)の申請は必須です。
申請は50kWh未満はWeb上で完結します。
変更された理由
固定買取価格制度が変更されたことには、主に2つの理由があります。
それぞれ確認していきましょう。
国民の負担が増えたため
固定買取価格制度は、電力会社が一定期間、買い取ることを義務付けた制度になっています。
しかし買い取りにかかる費用は、国民の電気料金に上乗せされています。
この負担額が増加してきたため、制度の内容を変更することとなりました。
再生可能エネルギー導入の偏り
再生可能エネルギーは、太陽光発電だけではありません。
他にも、「風力・水力・地熱・バイオマス」の4つを含めたものです。
しかし、太陽光発電が一番取り掛かりやすかったため、結果として太陽光に需要が偏ってしまいました。
こういった偏りを解消するためにも、制度を変更しています。
変更点
新たな変更点は、主に5つです。
1.新認定制度の創設
- 未稼働案件の排除と、新たな未稼働案件発生を防止する仕組み
- 適切な事業実施を確保する仕組み
2.コストの効率的な導入
- 大規模太陽光発電の入札制度
- 中長期的な買取価格目標の設定
3.リードタイムの長い電源の導入
- 地熱、風力、水力等の電源の導入拡大を後押しするため、複数年買取価格を予め提示
4.減免制度の見直し
- 国際競争力維持の強化、省エネ努力の確認等による減免率の見直し
5.送配電買取りへの移行
- FIT電気の買取義務者を小売事業者から送配電事業者に変更
- 電力の広域融通により導入拡大
中心となってくるのは、新しい認定制度です。
認定する時点から適切性などを見極めることで、未稼働の施設を減らし、長期的な稼働を目指しています。
また、今後も改正される可能性があり、内容は変更されるかもしれません。
固定買取価格制度(FIT)終了後はどうするのか
固定買取価格制度(FIT)は、永遠に利用できるわけではありません。
一般用では10年間、産業用は20年間と決まっています。
では、固定買取価格制度が終了した後は、どうしていくのがよいのかを解説していきます。
FIT制度終了後の売電価格
FITは国の制度で、本来の売電価格に上乗せした価格で買い取っています。
その分、買取価格は高くなりますが、制度が終了すれば極端に価格が下がり値落ちに感じます。
しかし、実際には正規の市場価格に戻るだけです。
買取義務の期間が終了すれば、現在の電力会社に契約を解除される可能性もあります。
まずは、FITの期間終了後に買取りがどうなるのか、電力会社に確認しておくべきです。
そしてFITの期間が終了するまでに、新たな買取会社を探しておきましょう。
新電力業者への売電
FITの期間が終了した後には、新しい電力会社へ売電する方法があります。
中でも、電力小売事業者のスマートテックは、FIT終了後の買取に力を入れています。
買取価格(最高) | 11.5円/kWh |
---|---|
契約・解約料金 | 0円 |
買取価格は最高で11.5円と、他の事業者と比較しても高い価格帯です。
多くの事業者は1kWh当たり7円から8円ほどになるため、スマートテックの買取価格の高さがわかるでしょう。
また、契約や解約にかかる費用もないため、安心して契約が可能です。
卒FIT後は自家消費にする人が多い
FIT制度の終了後には新しい電力会社と契約して、そのまま売電を続ける方法が中心に見えます。
しかし、卒FIT後には、自家消費する人も多いです。
FIT制度が終了してからも売電を続けても、今までのような収益にはなりません。
自家消費をした場合には毎月の電気代が安くなるため、そちらのほうが得になる場合もあります。
ただし自家消費するためには、電気を貯めておくための蓄電池を設置しなくてはいけないため、注意しましょう。
太陽光発電のメリット
ここまでFITの売電価格が下がってきていることを解説したため、太陽光発電にメリットはないと思われているかもしれません。
しかし、FITの価格設定には理由があり、太陽光発電には十分なメリットがあります。
太陽光発電のメリットを見ていきましょう。
太陽光発電の初期費用が下がっている
太陽光発電の初期費用が下がってきているのは、FITの価格が下がっていることも関係しています。
FITは、初期費用の回収が目的です。
毎年、新規参入者向けに買取年数を調整するのではなく、価格で調整しています。
つまり、年々売電価格が下がっているのは、初期費用が比例して下がっているということです。
初期費用が下がることで、昔よりも導入のハードルは低くなっています。
補助金制度が受けられる
太陽光発電には、補助金制度が用意されています。
補助を受けるためには、定められた条件を満たす必要があります。しかし、申請する価値はあるでしょう。
国から太陽光発電のみに絞った補助金はありません。
しかし、ZEH(ゼッチ)という、ゼロエネルギーハウスに向けた補助金があります。
- 高効率なシステムの導入
- 大幅な省エネルギー
- 再生可能エネルギーを導入
上記の条件を満たしている住宅が、ZEH、ゼロエネルギーハウスです。
太陽光発電は再生可能エネルギーにあたるため、補助金制度が利用可能になります。
ZEHの補助金は環境省などが共同で行なっている取り組みです。また各地方の自治体も、独自に補助金を用意している場合があります。
地域によって異なりますが、まずは在住地域の自治体にも確認してみましょう。
副収入が得られる
太陽光発電は、電気を電力会社に販売することで収益を得られます。
ここまでに解説した通り、極端に高い価格での買取にはなりません。しかし、電気代の節約にもなります。
自家消費や余った分を売電するなど、設置するだけで副収入や節約につながる方法です。
ダブル発電で電気代をさらにお得に
ダブルという名称は売電量を2倍にするというわけではありません。
ダブル発電は、太陽光発電と蓄電池などを組み合わせた方法です。
蓄電池自体は発電しませんが、一定数の電力を蓄電池に貯めておいて、日中に使用します。
蓄電池の電気を日中に使用することで、太陽光発電の分を全て売電できます。
またエネファームであれば、ガスで発電を行うため、夜間や悪天候時にも発電が可能です。
蓄電池に電気を貯めておくか、エネファームで発電を行うかの違いはありますが、どちらもダブル発電になります。
太陽光発電を設置するポイント
最近では、太陽光発電を住宅に設置することも一般化してきました。
しかし、設置前に知っておく、考えておくべきこともあります。
太陽光発電の設置するポイントを解説していきます。
蓄電池を設置しておく
初期費用は高くなりますが、蓄電池の設置はおすすめです。売電だけを考えるのであれば、蓄電池は必要ありません。
しかし、将来的な自家消費を考える場合、蓄電池は必要です。
また、電気を貯めておけば、災害時にも役に立ちます。
蓄電池がなければ電気を貯めておけないため、災害時に電気が使えません。
FITの期間が終了してから自家消費に切り替える予定があれば、最初から設置しておいてもよいでしょう。
システム容量の単価を把握しておく
太陽光発電を導入する場合には、何kWhのシステム容量にするのかを考えなくてはいけません。
容量が大きくなれば、その分設置費用も高くなります。
現在の相場としては、1kWh当たり20万円から40万円ほどです。
これからも太陽光発電の普及が続けば、さらに価格は下がってくるでしょう。
ソーラーパネルのメーカーによっても大きく変化します。設置する前に相場を調べておけば、失敗する可能性が低くなります。
年々相場は変化するため、太陽光発電の導入するのであれば、直前に相場を調べておきましょう。
こちらの記事では、ソーラーシェアリングに失敗事例について紹介していますので、参考にして備えておくのがおすすめです。
太陽光発電の施工店を探す
太陽光発電は住宅の屋根などに設置するため、誤った取り付け方をすると事故につながる可能性があります。
取り付けは信頼できる施工店へ依頼しましょう。
一括見積りなら『タイナビ』
出典:タイナビ
太陽光発電の設置を考えるのであれば、まずは一括見積りのサイトをおすすめします。
地元の施工店だけでは限りがありますが、タイナビは全国の施工店を探せます。
350社以上が登録しており、最大で5社からの見積りが可能です。
また、家庭用と産業用で窓口が分けられているため、一般でも企業でも対応可能になっています。
難しいことの多い太陽光発電だからこそ、まずは一括見積りを利用してみましょう。
まとめ
太陽光発電を設置する1番の理由は、電気を売る「売電」でしょう。
固定買取価格制度(FIT)が用意されており、住宅用では10年間、産業用は20年間の買取が補償されます。
売電価格は年々下がっていますが、太陽光発電の初期投資費用も同様に下がっっているため、実質大きな差はありません。
また、卒FIT後にどうするかも1つの問題です。
卒FIT後には売電を続けるか、自家消費に切り替えるかの選択になるでしょう。
太陽光発電を設置済みの方もまだの方も、今回の記事を参考にしてみてください。
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