里芋(サトイモ)の栽培方法・育て方|プランター栽培も可能!失敗しない作り方
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日本でも古くから親しまれている里芋。大きな畑がないと作るのは難しいイメージがありませんか?
実は、プランターなどを使った家庭菜園でも十分に栽培可能です。
栽培難易度も比較的低く、初心者でもたくさんの里芋が収穫できます。
本記事では、里芋の特徴や育て方、プランターでの栽培について、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。
家庭菜園初心者の方でも簡単に育てられるプランター栽培についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
目次
里芋の特徴
里芋はサトイモ科の根菜類です。東南アジアをはじめとする多くの熱帯地域で主食とされているタロイモの1種。
栄養素がとても豊富で、特に食物繊維が多く含まれています。
里芋に含まれるガラクタン・グルコマンナンという食物繊維は、高血圧や肥満を予防する働きがあり、身体の健康はもちろんダイエットにも効果的です。
栽培・収穫時期
里芋栽培では、3月頃から芽出しなどの下準備をはじめます。暖かくなってくる4月下旬〜5月上旬頃に種イモを植え付け、本格的に栽培がスタートです。
収穫時期は品種や地域によって異なります。早いものでは9月頃、基本的には10〜11月頃が適期です。
準備から収穫まで半年以上かかりますが、作業自体にはそこまで手はかかりません。
さらに、1株あたり30〜40個ほどと収穫量も多いので、家庭菜園にもおすすめです。
栽培環境
里芋の生育適温は25〜30℃ほど、熱帯地域原産のため高温・多湿環境を好みます。
暑さに強い反面、寒さや乾燥にはめっぽう弱いため、冬の寒さ対策と夏の乾燥対策は必ず行いましょう。
栽培場所には、水もちのよい土壌環境、日当たり・風通しのよい場所が理想的です。
また、連作障害が起きやすいため、同じ場所での連作は避けてください。
1度里芋を栽培した場所で、ふたたび里芋を栽培するには、最低でも3〜4年はあける必要があります。
種類・品種
里芋は、どこの部位を食べるかによって、大きく3種類に分けられます。
- 子イモ専用種
- 親イモ専用種
- 親子兼用種
子イモはコロコロとした小さめのイモがたくさん採れ、柔らかくなめらかな口当たりが特徴です。
親イモは子イモよりも数倍大きいため、身が詰まっていてアクが強く、すこし固めになっています。
どの種類でも、栽培工程は大きく変わりません。味や固さ、大きさなどの好みで選んでみてください。
下記の表に、それぞれの種類で代表的な品種をまとめたのでご覧ください。
種類 | 代表的な品種 |
---|---|
子イモ専用種 | 「土垂」「石川早生」など |
親イモ専用種 | 「たけのこいも(京いも)」など |
親子兼用種 | 「八つ頭」「えび芋」「セレベス」など |
八つ頭・えび芋などは、葉柄も食べられる品種です。
里芋はプランターでも栽培可能?
里芋のプランター栽培は可能です。
里芋は栽培期間が長く、地上部も地下部も大きく育つため、プランター栽培は難しい言われています。
ですが、深さ30cm以上の大型プランターや植木鉢を利用すれば、不可能ではありません。
むしろ少量の里芋栽培であれば、プランターや鉢を使ったほうが畑よりも手軽に栽培できるため、家庭菜園にはおすすめです。
なお、プランターでの栽培方法も、基本的な栽培工程は地植え栽培と変わりません。プランター栽培のポイントも次の「里芋の栽培方法」で解説しています。
里芋の栽培方法
里芋の栽培方法を、失敗しないためのポイントや注意点とともに解説します。栽培手順は9ステップです。
- 種イモの準備
- 芽出し
- 土作り
- 植え付け
- 芽かき
- 追肥・土寄せ
- 水やり・乾燥対策
- 収穫
- 貯蔵
1:種イモの準備
芽出しをはじめる3月中旬までに、里芋のもととなる種イモを準備しましょう。栽培時期になると、地域の種苗店やホームセンターで購入できます。
一般的には、子イモを種イモとして使うのが基本です。サイズを揃えて植え付けられ、芽も出やすく、なにより軽量のため作業が楽になります。
ホームセンターなどで簡単に手に入るので、はじめての里芋栽培にもピッタリです。
一方、親イモも種イモとして利用できます。
作業や量の確保が大変なため主流ではありません。ただし大きな親イモは貯蔵している養分が多く、たくさんの子イモ・孫イモが収穫可能です。
どちらにしても作業は大きく変わらないので、好みのほうを選んでください。
ただし、種イモの品質は里芋の生育や収量に大きく影響するため、慎重に選ぶ必要があります。
まるまると形の整った、芽が傷んでいないものを選びましょう。
2:芽出し
3月中旬頃になったら、里芋の芽をあらかじめ出しておく「芽出し」を行います。
発芽に1ヶ月以上かかる里芋栽培では、植え付け前に芽を出しておくことで、下記のようなメリットがあります。
- 株の大きさが揃い、管理しやすくなる
- 発芽せず、欠株になるリスクを回避できる
- 生育期間が伸び、イモの肥大がよくなる
- 暖かくなるまでの期間を有効活用できる
逆に芽出しを省くと、成長が揃わず管理が大変、芽が出ないまま種イモが腐るなど、リスクが大きくなります。安定した収穫量が必要ならば、必ず芽出しさせましょう。
- 培土を入れたプランターやポットを準備
- 種イモの芽を上向きにして植え付ける
- 土をかけ、水やりをして、仮植え完了
寒いと発芽しにくくなるため、トンネルやハウス内など暖かい場所で管理しましょう。
芽が出るまでは1ヶ月ほどかかります。それまでは土を乾燥させないよう、ときどき水をあげてください。
3:土作り
里芋は、pH6.0〜6.5ほどで、水もちのよい粘土質の土壌を好みます。
そのため、水はけが悪くほかの野菜には向いていない畑でも、里芋なら問題ない場合が多いです。
ただし、水はけが悪すぎても病気の原因になります。水が溜まるほど水はけが悪い場合は、高畝を立ててある程度の排水性を確保しましょう。
地植え栽培の場合、植え付け2週間前に苦土石灰を入れて耕し、1週間前に堆肥と元肥を入れてふたたび深く耕します。
【1平方メートルあたりの施肥量の目安】
- 苦土石灰:100g
- 堆肥:3kg
- 化成肥料:100g
株間30〜40cmほどを確保して、畝を立てれば土作り完了です。
プランター栽培の場合は、野菜用培土をプランターに入れて植え付けるのが簡単です。
里芋は地上も地下も大きく育つので、使うプランターや植木鉢は深さ30cm以上でなるべく大型のものを選びましょう。
こちらの記事では、苦土石灰について詳しく説明していますので、あわせて参考にしてください。
4:植え付け
4月下旬〜5月上旬頃になり、暖かくなってきたら種イモを植え付けましょう。
- 株間30〜40cm、深さ10cmほどの植え穴を作る
- 種イモを植え付ける
- 土で埋めて軽く表面を固める
- たっぷりと水をあげて植え付け完了
子イモの場合は芽を上向きに、親イモの場合は芽を下向きに植え付けてください。
プランター栽培では、1つのプランター・植木鉢につき1株が基本です。2株植えるなら、株間を30cm以上確保できる幅の広いプランターを使いましょう。
5:芽かき
植え付けからしばらくして本葉が3枚ほどになると、株のまわりに小さなわき芽が出てきます。
わき芽は放置しておくと、小さいイモや形の悪いイモが多くなってしまいます。見つけ次第、なるべく早くかき取りましょう。
実際に芽かきをする際は、引き抜くとイモごと抜けてしまう可能性があるので、ハサミで切り取ってください。
わき芽周囲の土を少し退けて、なるべく深い位置で切り、土を戻せば芽かき完了です。
なお、6月中旬以降に出てくる芽は土寄せと一緒に埋めてしまうので、芽かきの必要はありません。
6:追肥・土寄せ
里芋の本葉が5〜6枚になる6〜7月頃、追肥と土寄せをセットで2回ずつ行います。
追肥と土寄せは、里芋の収量・食味・品質に大きく影響する、栽培工程の中でもっとも重要な作業です。
【追肥と土寄せ】
- 1回目:6月中旬頃
- 2回目:7月中旬頃
1回目の追肥は6月中旬頃、畝の片側の下部(畝すそ)に、1株あたり化成肥料30gを目安に追肥してください。
その後、株元がしっかり埋まるように、高さ5cmほどの土を盛りましょう。
2回目は1回目と反対側の畝すそに、1株あたり化成肥料30gを目安に追肥し、高さ10cmほどを目安に土寄せしてください。
土寄せする際は、周囲に出ているわき芽も一緒に埋めてしまいましょう。
土寄せが不足していると、わき芽の成長が止まらずイモの肥大が悪くなり、細長いイモになってしまいます。
野菜作りに大切な元肥と追肥の正しい使い方についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
7:水やり・乾燥対策
里芋は湿度の高い環境で生育するため、水管理がとても大切です。
土が乾いた状態だと収量が激減し、慌てて水やりをしても、もとの元気な状態に戻るまでは時間がかかります。
特に暑くなる梅雨明け〜夏の時期は、土が乾燥しないよう注意が必要です。
水やりは、土の表面が乾いてきたタイミングで、たっぷりと行ってください。
また、乾燥が激しくなる7〜8月頃には株元にワラを敷いて乾燥防止に努めましょう。
8:収穫
里芋の収穫時期は、品種や地域によって異なります。基本的には10〜11月頃に収穫時期を迎えます。
葉が黄色く枯れはじめたら、収穫適期のサインです。土の水気が多いと作業しにくいため、天気のよい日を選んで収穫します。
また、霜に複数回当たると保存性が落ちるので、霜が降りる前には終わらせましょう。
- 茎を株元から刈り取る
- イモを傷つけないようにスコップで掘り起こす
- 余分な土と根を落とす
- 風通しのよい場所で1時間ほど乾燥させてから保存
年内に食べる場合は、親イモと子イモを分けて新聞紙で包み、冷暗所で保存してください。
翌春まで長期保存する場合は、イモを分けずに塊のまま、土に埋めて貯蔵しましょう。
9:貯蔵
里芋は5℃以下の寒さで腐敗しやすくなるため、ふつうの保存方法では越冬できません。
しかし、土に埋めて貯蔵することで、翌春までの保存が可能です。
- 水はけのよい畑に深さ60cmほどの穴を掘る
- 親イモに子イモが付いたままの状態で茎が下向きになるように入れる
- すべての里芋を詰めたら、稲ワラを厚く敷き、土を10cmほど被せる
- 雨の流入を防ぐために、ビニールなどを上から被せて完了
上向きで貯蔵すると、茎から水が侵入して腐敗したり、イモがバラけやすくなったりします。
貯蔵したイモは食用にはもちろん、翌年の種イモとして使うこともできます。
まとめ
里芋の特徴や育て方、プランターでの栽培について解説しました。
里芋栽培では、追肥と土寄せ、そして水管理が非常に重要です。
このポイントを押さえて栽培すれば、家庭菜園でも大きな里芋がたくさん収穫できます。
この記事を参考に、里芋栽培に挑戦してみてください。