じゃがいもの芽かきとは|間引きと土寄せでおいしいじゃがいもを育てよう
※当記事はアフィリエイト広告を含みます。
じゃがいもの芽かきと土寄せ、これらはじゃがいも栽培において、非常に重要な作業です。
特に芽かきは、じゃがいもの収量・品質に大きく影響するため、栽培成功の鍵を握っています。
本記事では、じゃがいもの芽かきや土寄せ・追肥について、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。
なぜその作業をするのか、しないとどうなるのかを知り、栽培に対する理解を深めていきましょう。
ジャガイモの栽培方法についてはこちらの記事でも紹介しています。是非参考にしてみてください。
じゃがいもの「芽かき」とは
じゃがいもの芽かきとは、発芽した芽の中から生育のよい芽を2〜3本選抜し、それ以外の芽を抜き取る作業です。
名前は異なりますが、作業自体は間引きと同じです。
芽かきは収量や品質に大きく影響するため、じゃがいも栽培には欠かせない工程となっています。
ここでは芽かきの基礎知識について、順番に解説しましょう。
- 芽かきの時期・タイミング
- 芽かきをする理由
- 芽かきをしないとどうなる?
芽かきの時期・タイミング
芽かきは種イモ植え付けから2〜3週間後、もっとも大きい芽が10〜15cmほどに伸びたタイミングで行います。
【芽かきの時期の目安】
- 春植え栽培:ら4月頃
- 秋植え栽培:9月下旬〜10月上旬頃
ただし、品種や地域によっても前後するため、草丈10〜15cmを基準に芽かき時期を調整してください。
芽かきをする理由
芽かきは、イモの数を制限して大きなイモを収穫するために行います。
なぜ芽かきがイモの大きさに関係するのかは、イモができる仕組みを理解しなければなりません。
種イモを植えてしばらくすると、地上部には芽が、地下部には「ストロン」と呼ばれるわき芽が伸びてきます。
じゃがいもはこのストロンの先端に作られ、ストロンの数は地上の芽に比例して増えていきます。
つまりは地上の芽が多いほどストロンも多くなり、その分イモの数も増えるのです。
「イモの数が増える」というとよいことに聞こえますが、イモの数だけ栄養が分散するため、小さなじゃがいもしか収穫できなくなってしまいます。
そこで重要になるのが、芽かきです。
芽かきをするとイモ数の制限ができ、イモ数を制限すると十分に肥大したじゃがいもが収穫できるようになるのです。
芽かきをしないとどうなる?
芽かきをしないと、小さなじゃがいもしか収穫できなくなり、最悪食べられなくなります。
芽が多いとストロンも多くなり、イモの数も増加します。
すると、イモ1つ1つに供給される栄養が分散してしまい、十分に肥大せず小さなじゃがいもしか収穫できません。
そのため、ある程度の大きさに揃えたじゃがいもが必要ならば、芽かきは絶対に必要な工程です。
また小さすぎるイモには、有毒物質である「ソラニン」が多く含まれます。
ソラニンが多く含まれたじゃがいもを食べると、吐き気や下痢、腹痛などの食中毒症状が起こります。
この場合、1つも食べられるじゃがいもがない状況になりかねません。
そのため「家庭で食べるだけ・サイズが小さくても気にしない」という場合でも、芽かきは行うのが基本です。
ジャガイモがかかりやすい病気・害虫についてこちらの記事で紹介しています。併せて参考にしてみてください。
じゃがいもの芽かきのやり方
じゃがいもの芽かきは、植え付けから2〜3週間後、もっとも大きい芽の草丈が10〜15cmほどまで伸びたタイミングが適期です。
芽の選び方や具体的な手順など、具体的な芽かきのやり方について解説します。
- 残す芽の選び方
- 芽かきの手順
- 芽かきが遅れた場合
残す芽の選び方
芽かきは、健全で生育のよい芽を2〜3本残し、ほかの芽を引き抜く作業です。
そのため、まずは残す芽を選抜しましょう。
【健全で生育のよい芽】
- 葉が大きく開いている
- 茎が太くがっしりしている
- 茎に傷がついていない
中には、条件があまり当てはまらない株もあるでしょう。
その場合は、茎がヒョロヒョロとした細い芽から抜き取り、残った2〜3本を育てていきましょう。
芽かきの手順
残す芽を選んだら、いよいよ芽かきをしていきます。
芽かき作業は、種イモからしっかり抜き取る必要があるため、ハサミではなく手で行いましょう。
抜き取る芽の地面と接している部分を持ち、ゆっくりと横に引っ張って引き抜きます。
この時、種イモごと引き抜かないよう、かならず株元の土を押さえながら行いましょう。
うまくできれば、ブチッという音とともに種イモからきれいに外れます。
途中で茎が折れてしまった場合は、抜けそうなら引き抜き、無理そうであれば伸びてくるのを待ってふたたび芽かきをしてください。
芽かきを終えた後は、芽がまっすぐ立つように、株元に土寄せしてあげましょう。
この土寄せが、1回目の土寄せにあたります。
ちなみに、かき取った芽を土に植えて育てると、小さめのじゃがいもが収穫できます。欠株が出た時や、空きスペースがあれば植え付けるのも1つの手です。
芽かきが遅れた場合3>
芽かきは基本的に10〜15cmのタイミング、遅くても20cmほどまでに行います。
ただ、芽かきのタイミングを完全に逃して、草丈が30cm以上になってしまった場合は芽かきをしないで育てましょう。
草丈30cm以上ともなると、すでにイモが付きはじめているはずです。
この状態で芽かきをすると、収穫時にほとんど肥大していないイモが混じってしまいます。
芽かきをしないため、小さなイモになるのは避けられません。しかし少し多めに追肥すれば、食べられるサイズまでは肥大させることが可能です。
具体的には、本来は1回のみの追肥ですが、2回目の土寄せと同じタイミングに2回目の追肥を行います。
ただし、肥料が多すぎると味が落ちるため、追肥のしすぎには注意してください。
芽かきなど栽培する際に必要なグッズは、アイリスプラザがおすすめです。品揃えが豊富で、土や肥料からプランターなどまで取り揃えていますので、見てみてください。
じゃがいもの土寄せ・追肥
じゃがいも栽培では、芽かきと同時期に2回の土寄せ・1回の追肥を行います。
特に土寄せは重要で、イモの肥大促進と同時に、雑草や倒伏、直射日光による緑化を防ぎます。立派なじゃがいもを収穫するためには欠かせません。
【土寄せのタイミング】
- 1回目:芽かきと同時に
- 2回目:最初の土寄せから2〜3週間後、草丈が30cmほど
1回目の土寄せは芽かきをした後、株元に5cmほどの土を盛りましょう。また、1回目の土寄せ後に追肥をします。
じゃがいもの食味を高めてくれるカリウムを中心に、1株あたり10gほどの肥料を株元に追肥してください。
2回目の土寄せは最初の土寄せから2〜3週間後、草丈が30cmほどになったら行います。株元が10cmほどの山状になるよう、土寄せしましょう。
家庭菜園初心者でも取り組みやすい野菜について紹介しています。こちらも併せて参考にしてみてください。
まとめ
じゃがいもの芽かきや土寄せ・追肥について解説しました。
じゃがいもを肥大させるためには、芽かきや土寄せが欠かせません。
作業1つ1つの意味をしっかり理解すれば、トラブルがあった時にも対処でき、なにより栽培が楽しくなるはずです。
この記事を参考に作業を進めて、立派なじゃがいもをたくさん収穫してください。