玉ねぎの栽培方法・育て方を徹底解説|失敗しないコツや収穫時期も紹介
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食卓に欠かせない玉ねぎですが、栽培に失敗しやすいイメージがあるかもしれません。ですが、コツさえ分かれば意外に簡単、家庭菜園でも無理なく栽培可能です。
本記事では、玉ねぎの種類や栽培方法、失敗しないためのコツなどを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説いたします。栽培のポイントを押さえて、美味しい玉ねぎを栽培しましょう。
家庭菜園初心者の方でも手軽なプランター栽培についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
目次
玉ねぎの種類
玉ねぎには1年中スーパーで買える一般的なものや、春先に並ぶ新玉ねぎなど、いろいろな種類があります。
その種類は、玉ねぎの成長速度によって大きく3つに分けられ、具体的には以下の3種類です。
- 早生(わせ)
- 中生(なかて)
- 晩生(おくて)
成長速度や味以外にも、それぞれ異なる特徴があります。順番に見ていきましょう。
早生品種
早生品種は、一般的に「新玉ねぎ」として知られています。
短期間で栽培するため、とう立ちするリスクが低く、初心者でも栽培しやすいのが特徴です。
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3種の中では収穫時期がもっともはやく、3〜4月には収穫できます。
その反面で、貯蔵可能な期間はかなり短く、最長で収穫した年の8月までしか保ちません。
なお、早生品種の中でもさらに細かく「超極早生」「極早生」「早生」の3つに分類されます。
中生品種
中生品種は名前のとおり、早生と晩生の中間品種です。
収穫時期は早生よりも遅く、晩生よりもはやい5〜6月に迎えます。
早生よりも栽培期間が長いため大玉で収穫しやすく、貯蔵期間も格段に伸び、収穫年内まで保存できます。
収穫してすぐなら、新玉ねぎとしても食べられる、まさに美味しいとこ取りのような品種です。
晩生品種
スーパーでよく見る、乾燥された玉ねぎは晩生品種がほとんどです。
寒冷地での栽培によく使われる品種で、暖かい地域ではとう立ちしやすくなるため、温暖地での栽培には向いていません。
収穫時期はもっとも遅く、6〜7月までかかりますが、その分もっとも長く貯蔵が可能です。最長で、収穫翌年の3月まで保ちます。
なお、晩生品種の中でもさらに細かく「晩生」「中晩生」に分類されます。
玉ねぎの栽培時期・収穫時期
栽培方法 | 種まき | 定植 | 収穫 | |
秋まき | 早生 | 9月上旬 | 11月上旬 | 3〜4月 |
中生 | 9月中旬 | 11月中旬 | 5〜6月 | |
晩生 | 9月下旬 | 11月下旬 | 6〜7月 | |
春まき | 2〜3月 | 4〜5月 | 8〜9月 |
上記は、秋まきと春まきの栽培スケジュールです。栽培する地域や品種によって変わるため、あくまで一例としてお考えください。
玉ねぎの栽培方法は、基本的には秋まき春夏どりが主流です。
春まき栽培はとう立ちするリスクが高いため、一般地や温暖地での栽培には向いていません。
逆に北海道などの寒冷地では、越冬が困難なため春まき栽培が主流となっています。
栽培方法を選ぶ際は、はやく収穫したいなら早生、長期間貯蔵したいなら中生・晩生、寒冷地での栽培なら春まきというように、環境や条件に合わせて選んでみてください。
玉ねぎ栽培の手順8ステップ
それでは、玉ねぎの栽培方法を解説していきます。手順は以下の8ステップです。
- 苗床作り
- 種まき
- 育苗管理
- 畑作り
- 定植
- 栽培管理
- 収穫
- 貯蔵
なお、購入した苗で栽培する場合は、①〜③を飛ばして④畑作りからご覧ください。
①苗床作り
種をまくための苗床を作ります。種まきの3週間前から準備を始めましょう。
苗床は基本的に畑の空きスペースに作りますが、少数なら育苗箱やプランターでも大丈夫です。
まずは、培土に1㎡あたり2kgの堆肥入れてよく耕します。
畑ならば畝を作り、表面を平らにして苗床準備完了です。
②種まき
種まきは苗床を作ってから3週間後におこない、まき方は条まきです。
まず、条間8cmの溝を作り、5〜10mmほどの間隔で播種します。
軽めに覆土してしっかりと鎮圧、その後たっぷり水をあげてください。
土が乾燥すると発芽不良になりやすいため、新聞紙や不織布などで覆い、発芽するまで保湿します。
5日前後で発芽するので、それまでは乾燥しないようによく観察して、ときどき水をやりましょう。
③育苗管理
発芽後は、間引きや追肥などの育苗管理をおこないます。育苗期間は約2ヶ月です。
間引きは草丈が7cmほどまで伸びてから始め、本葉の3枚目が生じる前に終わらせます。
最終的に、株間が1〜1.5cmになるまで調整しましょう。
追肥は間引き完了後におこない、1㎡あたり30gほどの化成肥料を入れます。
また、追肥と同時に、倒伏防止のための土寄せをしておきましょう。この手間を加えることで強い苗に育ち、ついでに雑草も防除できます。
④畑作り
畑作りは、苗を定植する2週間前に開始しましょう。
まずは堆肥を入れて耕し、定植1週間前になったら石灰と元肥を入れて、ふたたび耕します。
1㎡あたりの追肥量は、下記を目安としてください。
- 堆肥 3kg
- 石灰 150g
- 化成肥料 100g
- リン酸 30g
よく耕したら、株間15cmほど確保して畝を立てます。
畝には雑草防除と生育促進を兼ねて、黒マルチを張りましょう。玉ねぎ用の穴あきマルチが便利でおすすめです。
⑤定植
育苗・畑作りが完了したらいよいよ定植です。
定植では、苗選びに注意しましょう。苗が小さすぎると肥大しにくく、大きすぎるととう立ちしやすくなります。
以下の目安をしっかり確認し、適切サイズの苗を選んでください。
- 草丈が20〜25cm
- 本葉が3〜4枚
- 茎が鉛筆ほどの太さ
- 茎の白い部分が伸びている
マルチの穴1つにつき1本、白い部分が半分見える程度に浅植えしていきます。
この時、深植えすると縦長の玉ねぎになってしまうので、必ず浅く植えましょう。
その後、たっぷりと水をあげて定植完了です。
⑥栽培管理
定植後から収穫前までの栽培管理では、2回の追肥がメイン作業です。
1回目は12月下旬頃に、根張りを良くするために、2回目は2月下旬頃に、とう立ち抑制のためにおこないます。
追肥量は、マルチの穴ごとに化成肥料ひとつまみが目安です。
追肥と同時に、雑草やネギ坊主が発生していたら、見つけ次第取り除きましょう。
雑草は玉ねぎの生育を阻害し、ネギ坊主は玉ねぎを食べられないほど固くしてしまいます。
⑦収穫
玉ねぎが順調に肥大していくと、茎の内部が空洞になり、地上部が自然に倒れていきます。
この倒伏が収穫適期のサインです。畑全体の8割ほどが倒伏した、天気の良い日に収穫しましょう。
また、葉が完全に枯れた状態で放置してしまうと、貯蔵中に腐敗が生じるなどの原因となります。葉に青みが残っているうちに収穫しましょう。
なお新玉ねぎの場合は、畑の2割ほどが倒伏すれば収穫可能です。
⑧貯蔵
収穫後は、雨が当たらない場所で2〜3日乾燥させてから貯蔵します。
玉ねぎの貯蔵方法は、つるし貯蔵またはコンテナ貯蔵が一般的です。
つるし貯蔵は、葉がついた状態で4〜5個ずつ束ねてつるす方法、コンテナ貯蔵は、葉茎を切って風通しの良いコンテナで保存する方法です。
基本的には、玉ねぎ同士が密着しないつるし貯蔵がおすすめですが、つるせる場所がない場合は、網カゴなどのコンテナを使います。
どちらの方法でも、雨や直射日光の当たらない、風通しの良い場所に置いておきましょう。
最長で、早生品種は8月、中生品種は年内、晩生品種なら翌年3月まで貯蔵可能です。
失敗しない玉ねぎ栽培のコツ
玉ねぎ栽培を失敗しないためのコツは「種まきの時期を守り、良い苗を作ること」です。
というのも、種まきの時期がずれると、それに伴い定植時期や収穫時期などにもずれが生じるからです。
特に定植への影響が目立ちます。
定植では、適切な時期に適切なサイズの苗を植え付けることが、なにより重要です。
種をはやまきすると、苗が大きくなりすぎてとう立ちしやすくなります。
逆に遅まきだと、苗の生育が間に合わず、肥大しない・越冬できないといった症状に見舞われかねません。
作の始まりである種まきは、その後の全工程に影響を及ぼします。
品種ごとの種袋に記載されている栽培スケジュールを守り、適正サイズの健全な苗作りを目指しましょう。
玉ねぎがかかりやすい病気
玉ねぎでは、たとえば以下のような病気が代表的です。
- べと病
- さび病
- 萎黄病
- 軟腐病
- 苗立枯病
玉ねぎ栽培では、降雨や排水の悪さ、土壌中の病原菌が原因で発生・拡大する病気がほとんどです。
畑の排水性や風通しの改善、輪作や土壌消毒を実施し、病気の原因となるものをできる限り排除していきましょう。
また農薬散布をする際は、雨が降る前日に散布しておくと、より高い予防効果が期待できます。
玉ねぎに発生しやすい害虫
玉ねぎに発生しやすい害虫は、以下の5種類が代表的です。
- ネギアザミウマ
- ネギコガ
- タネバエ
- アブラムシ
- ヨトウムシ
これらの害虫は1度畑に侵入・発生すると、あっという間に増えて、作物に被害を与えます。そのため、害虫の発生前からの予防が重要です。
基本的には、定期的な農薬散布で防除していき、それと同時に以下4つの対策をおこなうと、より高い予防効果が期待できます。
- 見つけ次第捕殺する
- 防虫ネットや寒冷紗を張る
- 風通し・水はけを良くする
- 雑草や枯葉を放置しない
上記ポイントは必ず実施して、害虫被害を最小限にとどめましょう。
病害虫予防にはコンパニオンプランツも有効的な手段です。こちらの記事で相性の良い野菜などを紹介しているので是非参考にしてみてください。
まとめ
以上、玉ねぎの種類や栽培方法を解説しました。
玉ねぎ栽培で1番大切なのは「種まきの時期を守り、良い苗を作ること」です。
このポイントをしっかりと押さえれば、家庭でも美味しい玉ねぎが収穫できます。
是非この記事を参考に、玉ねぎ栽培に挑戦してみてください。