腐葉土の作り方・使い方|ビニール袋で簡単!ほぼ無料・短期間の自作方法を徹底解説
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畑やプランターの微生物を増やし、土をフカフカにしてくれる土壌改良材の腐葉土。落ち葉を使えば、自分でも簡単に作れます。
本記事では、簡単な腐葉土の作り方・使い方を、元種苗メーカー勤務で普段から土作りをしていた筆者が解説します。
自分で作る楽しみを味わいながら、ほぼ無料で高い土壌改善効果が期待できます。
目次
腐葉土とは?
腐葉土とは、土を植物栽培に適した土へ改良するために使われる、土壌改良材の1つです。
落ち葉を主原料として作るため、土壌改良材の中でも植物性堆肥に分類されます。雑草を使った堆肥と混同されがちですが、効果・用途などが異なる全くの別物です。
腐葉土の効果
腐葉土は数ある土壌改良材の中でも汎用性が高く、様々な効果が期待できます。
【腐葉土の効果】
- 土壌微生物の活性化
- 土の通気性・排水性の改善
- 土の保水性・保肥性の改善
- マルチとしての保温・保湿効果
特に植物栽培に重要な、微生物の活性化・土質の改善には高い効果を発揮します。
そのため、水はけや水もちが悪くなった畑はもちろん、痩せた土や新しく作付けする畑など、どんな土壌にも利用できる汎用性の高さが特徴的です。
たくさん使うなら自作がお得!
腐葉土はホームセンターや園芸店などでは、1リットルあたり40〜80円ほどで購入できます。少ししか使わないなら、市販で購入するのがおすすめです。
しかしたくさん使うのであれば、自作が断然お得です。
特別準備すべき材料は落ち葉と米ぬかのみなので、作り方は意外に簡単。米ぬかが無料でもらえる精米所が近所にあれば、米ぬか代もかかりません。
自分で作る楽しみを味わいながら、ほぼ無料で上質な腐葉土を手に入れられます。
こちらの記事では、米ぬか肥料について紹介していますので、あわせて参考ににしてください。
腐葉土と堆肥との違い
土壌に必要な栄養素を届ける堆肥は、動物の糞や骨や、もみがら、樹木の皮などから作られています。堆肥は原料を完全に発酵させるため、完成した際、サラサラしているのが特徴です。
一方腐葉土は、あえて完全に発酵させず、葉の形を残しているという違いがあります。
腐葉土とバーク堆肥との違い
腐葉土と似ている「バーク堆肥」があります。バーク堆肥は、樹木の皮をしっかりと発酵させて作ります。植物に栄養を与える以外にも、土壌の水はけをよくする効果や、土をフワっとさせる効果があります。
腐葉土は落ち葉から作られており、バーク堆肥は樹木の皮から作られているので、原料や効果が違います。
また、バーク堆肥は「バークチップ」とも似ているため混乱する方も多いのですが、バークチップは発酵はしていません。
腐葉土作りに必要な材料
- 落ち葉
- 米ぬか
- 容器
- 水
落ち葉・米ぬか・容器は、腐葉土作りに適した条件や代用品などもあるので、それぞれ簡単に解説します。
腐葉土作りに適した落ち葉
腐葉土に使う落ち葉はなんでもいいわけではなく、腐葉土作りに向いているものと向かないものがあります。
腐葉土作りには、落葉広葉樹の落ち葉が最適。針葉樹や一部の広葉樹など、油分が多い葉は向かないとされています。
【腐葉土作りに向いている葉・向かない葉】
向いている葉 | 向かない葉 |
---|---|
・クヌギ ・ナラ ・ケヤキ ・ポプラ ・カシワ ・ナナカマド ・ホオノキ |
・スギ ・マツ ・クリ ・ヒノキ ・サクラ ・カキ ・カシ ・イチョウ ・クス |
向かない葉でも腐葉土は作れます。ただし分解するのに長い時間を必要とし、完成まで長期間かかるためおすすめしません。
上記の表を参考に、腐葉土作りに適した落ち葉を用いて、短期間で腐葉土を作りましょう。
米ぬかは窒素分が含まれるもので代用可能
腐葉土作りにおいて、米ぬかは「含まれる窒素分により微生物を活性化させ、落ち葉の分解・発酵をスムーズにする」役割をもっています。
そのため、窒素分さえ含まれていれば米ぬか以外でも代用可能です。
【米ぬかの代用品】
- 油かす
- 鶏ふん
- 畑の土・培養土
- 野菜・果物のくず
- 茶葉・コーヒーかす
また窒素分とは異なりますが、落ち葉を分解・発酵してくれる「ミミズ」を入れるのも効果的です。
本記事では、扱いやすい米ぬかを使って解説しています。上記の代用品でも使用方法は変わりません。
地域によっては米ぬかが無料でもらえる精米所もあります。ぜひ一度、近所の精米所を訪ねてみてください。
容器はビニール袋以外でもOK
腐葉土作りに使う容器は、フタができて水が抜ければビニール袋以外でも大丈夫です。
【腐葉土作りによく使われる容器】
- ビニール袋
- コンポスト
- プランター
- コンテナ
- バケツ
- ダンボール
- 木枠
- 土のう袋
穴を掘ったり、ブルーシートを使ったりする方法もあります。
本記事では、ビニール袋を使った腐葉土の作り方を解説しています。
ビニール袋を使う場合は、発酵に必要な熱を逃がしにくい黒色のビニール袋がおすすめです。
腐葉土の作り方
ビニール袋を使った腐葉土の作り方を、失敗しないポイントや注意点とともに解説します。
- 落ち葉を集める
- ビニール袋に材料を入れる
- 2週間おきに混ぜる
- 腐葉土完成の見極め方
完成までの期間は約3ヶ月が目安です。使う落ち葉や環境によっても前後するため、あくまで目安としてお考えください。
1:落ち葉を集める
腐葉土の原材料となる落ち葉を集めます。ほうきや熊手などを使うと簡単です。
落ち葉はなるべく落葉広葉樹かつ、よく枯れたものを使ってください。
落ち葉がまだ青い場合は分解に時間がかかります。全体が茶色く枯れるまで、透明な袋に入れて置いておきましょう。
またこの時、落ち葉を細かく砕いておくと、より速く分解が進み、完成までの期間も短縮できます。
2:ビニール袋に材料を入れる
ビニール袋は破れないように2重にしておきましょう。黒いビニール袋を使うと熱を逃がしにくく、発酵が速くなります。
準備したビニール袋に、「落ち葉→米ぬか」の順で層になるように入れてください。1握りの米ぬかを4〜5層ほど入れれば十分です。
ぎゅうぎゅうになるまで落ち葉を詰めたら、袋の両端をカットして水のはけ口を作ります。
カットした両端から水が出てくるまでたっぷりと水を入れ、袋の口を閉じれば準備完了です。
その後は、なるべく日当たりの強い場所で管理しましょう。
3:2週間おきに混ぜる
ここからは、腐葉土作りでもっとも重要な工程に入ります。
完成するまでの間、2週間に1回程度のペースでビニール袋の中身をよくかき混ぜてください。
定期的に混ぜることで、葉全体に空気が行きわたり、まんべんなく発酵が進みます。混ぜる際に葉が乾燥していたら、たっぷり水を足してあげましょう。
いい腐葉土を作るには、空気と水分を調整するこの作業が非常に大切です。この作業が抜けると完成までの時間が伸びたり、失敗につながる可能性もあるため、やり忘れがないよう注意しましょう。
4:腐葉土完成の見極め方
3ヶ月ほどで腐葉土が完成します。使った落ち葉や管理、環境などによっても、完成までの期間は前後します。
発酵途中の腐葉土を使うと、発熱や糸状菌によって植物に悪影響が出る可能性があるため、しっかりと腐葉土完成の見極め方を覚えておきましょう。
【完成した腐葉土の特徴】
- 大地のようないい香りがする
- 葉が黒くなり、こまかく崩れている
上記2点に当てはまれば、腐葉土は完成しているので問題なく使えます。
反対に、不快な匂いがする・葉の形が残っている場合はまだ完成していません。その場合はもう少し発酵が必要です。完成までもう少し様子を見ましょう。
こちらの記事では、家庭菜園で大事な土作りを紹介していますので、あわせて参考にしてください。
腐葉土の使い方
腐葉土には2通りの使い方があります。
- 土に混ぜて土壌改良
- マルチとして株元に敷く
土に混ぜて土壌改良
腐葉土は土壌中の微生物を増やし、排水性・保水性などを改善してくれる補助用土です。
そのためそのまま使うのではなく、赤玉土などの基本用土や畑に混ぜて使います。
畑や庭などの場合は、1平方メートルあたり10リットルを目安に混ぜてください。
プランター・鉢植えなどの場合は、「基本用土7:腐葉土3」の割合で混ぜるのが基本です。
「基本用土7:腐葉土3」の割合は、幅広い植物の栽培に使える配合割合なので、覚えておくといいでしょう。
マルチとして株元に敷く
腐葉土は土壌改良材としてだけでなく、植物の株元に敷くことでマルチング材としても使えます。
保温・保湿力を高める効果があるため、冬の防寒対策・夏の乾燥対策として非常に有効です。
また、病気の原因となる泥はね防止や雑草防止にもなり、使い終わった後もすき込むことで土壌改良ができます。
上記のようにメリットが多くとても便利なので、あまった腐葉土はマルチとして活用してみてください。
まとめ
簡単な腐葉土の作り方・使い方を解説しました。
腐葉土作りでは、空気と水が特に重要です。しっかりと定期的にかき混ぜていれば、初心者でも大きな失敗なく良質な腐葉土が作れるでしょう。
この記事を参考に作った腐葉土で土壌環境を整え、よりよい健康的な植物栽培をしてください。
こちらの記事では、化成肥料について紹介しています。特徴や種類を詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。