鹿沼土の使い方とは?特徴や赤玉土との違いを知って使い分ける
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鹿沼土は園芸店やホームセンターなどで見かける機会も多く、一般的に知られている土です。しかし鹿沼土には特徴があり、どのような場面でも活躍する土ではありません。
鹿沼土を使う場合には、特徴や使い方、向いている用途を理解して使いましょう。「鹿沼土の使い方や特徴」「赤玉土との違い」を中心に解説します。
これから園芸を始める方、鹿沼土の利用を考えている方は参考にしてください。
目次
鹿沼土とは
鹿沼土とは、関東ローム層と呼ばれる地層で採取される火山灰の1つです。栃木県の鹿沼地方で採取されるため、地域の名称がついています。
土に分類されていますが、実際には軽石が風化したものです。同じように利用されている赤玉土も同じ地層で採取されているため、基本的には赤玉土と鹿沼土は似た特徴の多い土です。
鹿沼土の特徴
鹿沼土の特徴は、大きく分けて3つです。それぞれ詳しく解説していきます。
無菌に近い
鹿沼土はほとんど有機質を含んでいません。有機質を含まない土は菌や虫がほとんど発生しないため、植物の育成にも向いています。
室内での栽培などに向いています。病害虫の発生が植物に大きく影響を及ぼす場面などでも有効です。
酸性
- 鹿沼土のpH値:4.0から5.0ほど
鹿沼土は酸性の中でも強い部類に入ります。そのため、酸性を好まない植物の育成には向いていません。
鹿沼土を利用する場合には、酸性を好む植物やpHを調整するために他の土と混ぜる必要があります。
保水性と排水性・通気性に優れている
鹿沼土は保水性と排水性だけではなく、通気性にも優れた特徴を持ちます。これは鹿沼土特有のものではなく、同じ火山灰の赤玉土も同じです。
いずれもスポンジのような作りで、粒の中に空洞があります。この空洞があることで保水性だけではなく、排水性や通気性に優れた土となっています。
鹿沼土と赤玉土の違い
鹿沼土と似た土で、「赤玉土」があります。基本的には鹿沼土と似た特徴を持つ赤玉土なので、使い方も近いです。
ただし全く同じ成分ではないため、用途が少し異なります。鹿沼土と赤玉土の違いを知っておきましょう。
pH値の違い
- 鹿沼土のpH値:4.0から5.0ほど
- 赤玉土のpH値:5.5から6.5ほど
酸性などを表すpH値は鹿沼土が酸性なのに対して、赤玉土は弱酸性です。
植物が好むpHは6.0から6.5ほどの弱酸性が多く、赤玉土は多くの植物が好むpH数に一致するため、調整の必要が少なく利用できます。
反対に鹿沼土は酸性が強いので、基本的には単体の利用ではなく他の土との混合が必須です。
排水性の違い
鹿沼土も赤玉土も排水性に優れた土ですが、鹿沼土のほうが排水性と通気性に優れています。鹿沼土は粒が崩れにくく形を維持しやすいため、排水性や通気性を保ちやすくなっています。
赤玉土は粒が崩れやすいため、鹿沼土ほどの排水性は期待できません。
ただしどちらも粒の大きさが様々なので、極端な小粒や砂に近いものを利用した場合、排水性は悪くなります。
乾いたときの色の違い
鹿沼土は、乾いているときと水分を含んでいるときで色が変化します。
乾いているとき | 水分を含んでいるとき | |
---|---|---|
鹿沼土 | 白っぽい色 | 黄色 |
赤玉土 | 赤めの色 | あまり変化しない |
水を与える目安は、鹿沼土のほうがわかりやすいでしょう。
鹿沼土の使い方
鹿沼土は、購入した状態でそのまま使えるわけではありません。他の土などと混ぜたり、粒の大きさによって用途が変わってきます。
鹿沼土のみを使わない
鹿沼土は無機に近い土であり、pHは強い酸性です。どのような植物にも向いている土ではなく、鹿沼土単体では植物がうまく育たない場合もあります。
ポイントは、鹿沼土のみを使わないことです。酸性を好む植物の場合でも、腐葉土やバーミキュライトなどを組み合わせます。
例えば、多肉植物などは水を与えすぎると根腐れを起こすため、排水性の高い鹿沼土のみの利用がいいようにも感じます。しかし、排水性が高く水はけがいいことが全てではありません。
多肉植物は少量の水で育つことが多いです。しかし、極端に保水していない場合には、育たないこともあります。
ぴ 鹿沼土は粒の大きさで特徴も大きく変わりますが、基本的には別の土と混ぜて使うことが前提です。
粒の大きさで使い分ける
鹿沼土には粒の大きさがいくつかあり、目的によって使い分ける必要があります。大きさごとの特徴を知ることで、どの粒の大きさを使えばいいのかわかりやすいでしょう。
大粒
大粒は大きければ2cmほどになるため、土よりも軽石に近い使い方になります。排水性が高く、保水性は劣ります。
土として使用するよりも、鉢底の軽石としての利用に向いている鹿沼土です。
中粒
中粒は1cm前後で、排水性や保水性のバランスがいい大きさです。
大粒のような底石ではなく、土として利用できます。大きめの盆栽や観葉植物に向いています。
小粒
小粒は5mm前後の大きさです。排水性と保水性のバランスもいいため、育苗にも向いています。
ほとんど土と同じ方法で使えるため、酸性を好む植物に利用しましょう。
細粒
細粒や微塵は土と変わらない大きさです。排水性は大粒に比べて劣るものの、保水性は高いため、小さめの植物に向いています。
ただし、鹿沼土が排水性に優れていると考えて使う場合には注意が必要です。細粒や微塵は極端に排水性が優れているわけではないので、水を与えすぎた場合には根腐れの可能性が高くなります。
反対に、水を切らしたくない育苗では使いやすい大きさです。
鹿沼土が向いている用途
鹿沼土は優れた基本用土ですが、使用方法によって向き不向きがあります。鹿沼土が向いている用途を3つ紹介します。
挿し木・育苗
挿し木や育苗には、鹿沼土のみでの利用が向いています。植物が発芽するまでは、水分を切らさないことが1つのポイントです。
鹿沼土の小粒、細粒や微塵は保水性が特に高いので、発芽させるまでの育苗に向いています。また無菌に近い鹿沼土は、菌の繁殖に注意が必要な挿し木にも適していると言えるでしょう。
ただし挿し木も育苗も、発芽や発根の後には速やかな植え替えが必要です。鹿沼土は酸性が強すぎるため、植え替えずに置いていれば生育不良を起こしてしまいます。
酸性を好む植物
鹿沼土は酸性が強い土です。基本的には酸性を好む植物に使いましょう。
鹿沼土はもともと盆栽への使用で注目を集めたため、現在でも盆栽のサツキに使われることが多くなっています。他にもブルーベリーやさつまいも、とうもろこしなどが酸性を好みます。
ただしいずれも鹿沼土のみではなく、腐葉土などとの混ぜ合わせが必要です。
サボテンなどの多肉植物
サボテンなどの多肉植物は通気性のいい土と酸性を好むため、鹿沼土が適していると言えます。ただし細粒や微塵の鹿沼土は、保水性が高くなってしまうため単体での利用はおすすめできません。
鹿沼土の性質は多肉植物の育成に向いているものではありますが、あくまで、他の土との組み合わせが前提です。使う鹿沼土は小粒で、他に赤玉土や腐葉土、底石に軽石などを合わせましょう。
鹿沼土を使う上での注意点
鹿沼土の使い方によっては植物が生育不良を起こす可能性もあります。注意点を理解した上で鹿沼土を利用しましょう。
栄養分を含んでいない
鹿沼土は無菌に近く、無機の土です。無菌なので菌や虫も発生しにくく、植物の生育には最適のように思えます。
しかし、有機である栄養分を含んでいません。挿し木や育苗に向いた土ではありますが、植物を成長させるためには栄養が足りません。
鹿沼土を単体で利用するのは挿し木や育苗ぐらいで、基本的には他の土や栄養分と組み合わせるようにしましょう。
酸性に向いていない植物には使わない
鹿沼土は酸性の土です。野菜など、多くの植物は弱酸性の土壌を好みます。
酸性に向いていない植物に使用した場合には、生育不良の可能性も高くなり、野菜であれば収穫できなくなることも珍しくありません。
鹿沼土をメインの土にするのではなく、他の土を組み合わせたり、土壌を酸性に傾けるための使用がおすすめです。
用途に合った粒の大きさを購入する
販売されている鹿沼土は全ての大きさが混ざったものではなく、粒の大きさごとに分けられていることが多いです。
粒が崩れてしまい細粒や微塵が混じることはあっても、基本的には大粒や中粒などで分かれています。鹿沼土を購入する際は、どの用途で使用するのか明確にしておきましょう。
育苗に使いたいのに小粒以上の大きさを購入するtp、大きすぎて育苗に利用できなくなってしまいます。まずは、粒の大きさごとの特徴を理解し、使いたい用途に合わせて大きさを決めましょう。
まとめ
鹿沼土は保水性や排水性、通気性に優れた土です。無菌に近いため虫や菌の発生も少なく、室内での利用にも向いています。
しかし酸性が強いという特徴も持っているため、利用方法には気をつけなくてはいけません。鹿沼土のいい部分を発揮させるには、他の土などと混ぜることや用途を限って利用することがポイントです。
基本用土としても使われることの多い鹿沼土を、今回の記事を参考に利用してみてください。