農地売却には地目変更が必要?売却方法や手続きを解説
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農地売却を検討していると、「地目変更」という言葉を目にする機会が増えます。
地目は、土地の用途として登記記録されているものです。有名なのは農地や宅地です。
土地を使用する用途の変更を行うことを地目変更と呼びます。農地を売却する場合にも、必要があれば地目変更を行います。
農地の地目変更は売却時に必ずしなくてはいけないわけではありません。あくまで任意の方法です。
しかし農地のまま売却するよりも、畑から宅地へ変更してからのほうがメリットは多いため、地目変更は必須と考えられています。
今回は農地売却する場合に、地目変更が必要な理由や売却方法、手続きなどを解説します。
目次
農地は地目変更したほうが売却しやすい
農地の売却方法は2つにあります。農地のまま売却するのであれば地目変更は必要なく、宅地として売却したい場合のみ必要です。
農地のままと地目変更して売却する場合に分けて解説しましょう。
農地の購入は農業従事者しかできない
農地の地目を変更せずに売却することが注目されないのは、農業従事者にしか売却できないためです。ただし、明確に「農業従事者のみ」と定められているわけではありません。
農地は売却後も農地として利用されることが条件になるため、実質、農業従事者にしか農地の購入はできないということです。また農地の価値は、一般的な宅地などに比べて低くなっています。
これは農業以外に利用する用途がなく、農地は利益性の低い業種だからです。農地のまま売却する場合には、売却先が限られ、価格も低くなる可能性が高くなります。
地目を宅地に変更すると売却しやすくなる
農地の地目を変更して売却する場合には、宅地へ変更することになります。
農地のままであれば農地としての利用しかできません。しかし宅地へ変更した場合には、住宅の建築も可能です。
需要から考えた場合、農地よりも宅地のほうが高く、より売却しやすい状況を作れます。また、土地の価格としても宅地のほうが高くなります。
農地を取り扱っている不動産会社は少ないため、売却まで時間がかかる場合があります。宅地であれば仲介を依頼しやすいのもポイントです。
農地の地目を変更して売却する手続き方法
農地の地目を変更して売却する場合の手続き方法を解説します。
不動産会社と契約
農地売却は、自分で売買を行うことも可能です。しかし、手続きの手間やリスクを考えると、土地の取り扱いに慣れている不動産会社に仲介してもらうほうが無難でしょう。
土地の査定を依頼し、価格に不満がなければ不動産会社と契約をします。また、1社のみに査定を依頼するのではなく、複数社へ査定を依頼しましょう。
最低でも3社ほどに査定を依頼することで、土地の平均的な価格が知れます。1社だけであれば、極端に低い価格でも気づけません。
他にも仲介ではなく、不動産会社が土地を買い取ってくれる場合には手続きも楽になりメリットが大きくなります。
地元に不動産会社が少ない場合には、インターネットの一括査定も利用してみてください。
農業委員会への申請
農地の売却で重要になるのが、農業委員会への申請です。農地から宅地へ地目変更する場合には、農地法に則った申請が必要であり、農業委員会から許可を得なくてはいけません。
申請は、必要書類を準備して各地域の農業委員会で行います。必要書類は地域によって異なる場合もあるため、まずは農業委員会へ問い合わせましょう。
また費用はかかりますが、申請は専門家へ代行依頼も可能です。農地の地目変更は想像以上に労力が必要なため、時間や知識が少ない場合には代行も1つの方法になります。
農地のまま売却する場合
農地のまま売却する場合は地目変更の必要がない分、簡単にも思えます。しかし実際には、買い手を見つけるのは難しいこともあります。
農地の売却相手は基本的に農業従事者に限られるため、簡単に売却できません。農地のまま売却する場合の3つの方法を紹介します。
農地を扱っている不動産会社の利用
不動産会社への売却や仲介を依頼できるため、比較的簡単な方法になります。
ただし、農地を取り扱っている不動産会社は多くありません。そういった場合には、全国で一括見積もりが取れるサービスなどを利用しましょう。
農地バンクを利用する
農林水産省が行っている「農地バンク」というサービスがあります。ただし、農地の売却ではなく賃借です。
売却先が見つからない場合には1つの方法になります。農地を放置しているだけでも管理費や固定資産税は発生するため、賃借という形で多少の利益確保が可能になります。
賃借期間が長いこともあり、全てがメリットとは言えません。しかし、農地バンクを利用することで農地の活用は可能です。
農地バンクに関しては、農地バンクとは|メリットとデメリットや失敗しないための基本を解説の記事をご一読ください。
農業委員会への相談
農地の売却を考えた場合には、農業委員会へ相談しましょう。農業委員会は、農地の活用も行っています。
農地の活用方法も相談できるため、農地に関することは農業委員会への相談が近道です。
農地の地目変更で満たさなければいけない条件
地目変更には、満たさなくてはいけない条件が2つあります。条件を満たせない場合には地目変更ができません。
立地基準
立地基準は、農地の分類によって定められています。地目変更したい農地が区分されている場所によって、変更できるかが決まっています。
それぞれの農地区分による違いを確認しておきましょう。
原則不許可の農地
- 農用地区域内農地
- 甲種農地
- 第1種農地
これらの農地は生産力が高く、日本にとって重要な農地になるため、農地以外での利用を禁止しています。
一部転用が許可されることもありますが、農業用施設などになるため、宅地への地目変更は許可されません。
許可される可能性の高い農地
- 第2種農地
- 第3種農地
これらの農地は、すでに市街地化が進んでいる地域にあり、生産力が高くない農地です。
すでに市街地の中にある農地は第3種農地となっていることが多く、原則転用が許可されています。農地の地目変更を行い売却ができるのは、この2種類だけです。
一般基準
立地基準の条件を満たした場合、次に一般基準を確認します。一般基準の条件は全部で3つです。
転用の確実性
転用の確実性は、転用後に住宅の建築や駐車場での利用など、計画している内容が確実に行われるかどうかが問われます。また、計画を実行するための資金力があるかも確認されます。
農地は日本にとって重要な土地になるため、極力農地のまま守りたいという部分があります。
そのため、無駄に転用されないための条件であり、売却後の利用目的がはっきりとしている場合には、大きく気にする必要はないでしょう。
周辺農地への影響
例えば、地目を宅地に変更して住宅を建築した場合、コンクリートで基礎を作ることになります。建築によって周辺農地へ雨水が溜まり続けた場合、作物が今まで通りに生育しなくなるかもしれません。
こういった場合には周辺の農地に悪影響があるとして、転用が許可されなくなります。ただし、周辺農地への影響が出ないような設計を行えば、許可される可能性は高くなります。
一時転用後の原状回復
農地の一時転用はあくまで一時としているため、期間終了後には元の状態に戻す必要があります。地目変更しての売却には関係ありません。
元の農地に戻せる計画ではない場合、許可されなくなります。例えば、営農型太陽光発電は、農地の上空に太陽光パネルを設置して農業も行う方法です。
営農型は一時転用として許可を得るため、元の農地に戻せる設計が求められる方法になります。
農地を地目変更する際の注意点
農地を地目変更する場合の注意点を解説します。
法務局への届け出が必要
農地の地目を宅地に変更するためには、農地転用の手続きを行います。転用手続きは農業委員会で行います。
農業委員会はあくまで転用の許可を出すだけで、地目変更を代行しているわけではありません。転用許可を得たとしても、現状は農地なので地目変更は行えず、造成と基礎工事が完了した時点で宅地になります。
この段階以降に法務局へ届け出ることで、地目が農地から宅地へと変更されます。ただし、多くは建物の完成後に地目変更を行うことが基本です。
また、登記時には、登録免許税が課税されます。
売却後に地目変更となるため、売主にはあまり関係ありません。1つの知識として持っておきましょう。
地目変更できないこともある
農地は全てが宅地へ地目変更できるわけではありません。立地基準と一般基準を満たせない場合には、宅地への変更はできないため、注意しましょう。
農地のままよりも、宅地へ転用しての売却のほうがメリットは大きいです。しかし、地目変更できない農地であれば諦めるしかなくなります。
まずは地域の農業委員会へ問い合わせて、地目変更が可能かどうか確認しましょう。
現状の地目が宅地になっている場合
建物や別の用途で使用されている場合でも、地目は農地のままという場合があります。これは転用許可を得たものの、地目変更を行っていなかった場合が考えられます。
こういった場合には、農業委員会で「農地転用届出受理済証明」「非農地証明」を発行してもらいましょう。後は法務局で手続きを行えば、地目を宅地へ変更できます。
他にも、どの地目にも属さない「雑種地」状態になっていることもあります。まずは、登記上の地目がどうなっているかの確認を先に行いましょう。
まとめ
農地の売却に地目変更は必須ではありません。しかし、地目変更すると売却しやすくなります。
農地のままであれば農業従事者にしか売却できず、価格も低くなってしまいます。宅地としてであれば需要も高く、早い売却が可能になるでしょう。
しかし農地の地目変更は、どの農地でもできるわけではありません。
まずは農業委員会に問い合わせをし、地目変更が可能かどうかを確認してから、売却を方向を定めることをおすすめします。