ブロッコリーの栽培方法|プランターでの育て方、失敗しないコツを解説!
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健康的な身体を保つには欠かせないブロッコリー。家庭菜園で育てれば栄養たっぷり、鮮度抜群の状態を楽しめます。
早いものは3ヶ月程度で収穫できます。ポイントさえ押さえれば意外に簡単なため、家庭菜園でも十分に栽培可能です。
本記事では、失敗しないブロッコリーの栽培方法、プランターでの育て方などを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。
目次
ブロッコリーの特徴
ブロッコリーは、ケールを祖先にもつアブラナ科野菜で、「頂花蕾(ちょうからい)」と呼ばれるつぼみを食べるのが特徴的です。
緑黄色野菜の代表格で、ビタミン類やカリウム、葉酸などが効率的に摂取できます。
低カロリーながら、豊富なタンパク質と食物繊維が含まれているため、身体の健康にはもちろん、筋トレや美容にも欠かせない野菜です。
ここでは、ブロッコリー栽培の基礎を解説していきます。
栽培時期・期間
ブロッコリー栽培では、春まき栽培と夏まき栽培の2通りが一般的です。
春まき栽培 | 夏まき栽培 | |
---|---|---|
種まき | 2月頃 | 7〜8月頃 |
植え付け | 4月上旬頃 | 8〜9月頃 |
収穫 | 5月下旬〜6月頃 | 10〜2月頃 |
栽培期間は意外にも短く、種まきから3〜5ヶ月ほどで収穫できるため、家庭菜園でも気軽に挑戦できます。
家庭菜園では「夏まき秋冬どり」が育てやすくおすすめです。
春まきだと害虫被害が多く、秋以降の種まきだとトンネルや加温が必須となるため、さらに栽培難易度が上がります。
栽培環境
ブロッコリーの生育適温は15〜20℃ほど、基本的に冷涼な気候を好みます。暑さ・寒さには強く、真夏以外は栽培可能です。
ただし、つぼみを付けるには低温に当たる必要があるため、植え付け後は適温で管理しましょう。
発芽適温は15〜30℃と幅広いため、種まき自体は夏でも問題ありません。
【栽培環境】
- 日当たりのよい環境
- pH6.0〜6.5ほど
- 排水性・保水性どちらもよい土壌
水やりは、よく晴れた朝に行い、夕方に乾く程度で十分です。
水のやりすぎや水はけの悪い土壌では、軟弱徒長など湿害の原因になるため注意してください。また、連作障害が起こりやすいため、同じ場所で栽培するには2〜3年あける必要があります。
種類・品種
ブロッコリーには、大きく分けて3種類あります。
種類 | 代表的な品種 |
---|---|
ブロッコリー | ピクセル・おはよう |
茎ブロッコリー | スティックセニョール |
ブロッコリースプラウト | ブロッコリーの芽 |
通常のブロッコリーは、「頂花蕾(ちょうからい)」と呼ばれるつぼみを食べる、もっとも一般的な種類です。
茎ブロッコリーは、「側花蕾(そくからい)」と呼ばれるわき芽から伸びるつぼみを、茎ごと食べます。側花蕾はつぎつぎに伸びてくるため、長期間にわたって収穫できます。
ブロッコリースプラウトは、発芽してすぐの新芽を食べる品種です。解毒作用と抗酸化作用のある「スルフォラファン」が豊富に含まれており、健康野菜として近年注目を集めています。
ブロッコリーの栽培方法
ブロッコリーの栽培方法を、失敗しないポイントや注意点とともに解説します。
- 種まき
- 育苗・間引き
- 土作り
- 植え付け
- 追肥・中耕・土寄せ
- 収穫
1:種まき
ブロッコリー栽培では、育苗ポットなどで苗を育ててから本圃に移植します。
- 育苗ポットに市販の野菜用培土を詰め、苗床を作る
- 深さ1cmほどの穴を付け、1ポットにつき3〜4粒ずつ種をまく
- 軽く土をかぶせ固める
- たっぷり水をあげれば種まき完了
種をまく際、重なり合わないようにしてください。
発芽までは3〜4日ほど、それまでは乾燥しないよう、こまめに水をあげましょう。
ブロッコリーの発芽適温は、15〜30℃ほどです。
春まきではトンネルなどで保温し、夏まきでは寒冷紗などを張って高温になりすぎないように管理します。
2:育苗・間引き
発芽後の育苗管理は、計2回の間引きが主な作業です。
- 1回目:発芽から1週間後/2本残して間引き
- 2回目:本葉2〜3枚の頃/生育の良い方を残し1本に間引き
ブロッコリーは多湿環境に弱いため、水のやりすぎに注意しましょう。水やりは晴れた日の朝に行い、夕方に土の表面が乾く程度がベストです。
発芽から1ヶ月ほど経過し、本葉5〜6枚になったら植え付け適期になります。
3:土作り
植え付け時期が近づいたら、本圃となる畑・プランターを準備していきます。
pH6.0〜6.5ほど、排水性・保水性のよい土を作りましょう。
畑の場合
2週間以上前に苦土石灰を入れて耕し、1週間前に堆肥と元肥を入れて、再度よく耕します。
【1平方メートルあたりの施肥量目安】
- 苦土石灰:100g
- 堆肥:2kg
- 化成肥料:100g
株間40〜45cmほどを確保して、高さ10〜20cmほどの畝を立てれば完了です。
プランターの場合
プランターの底に鉢底石を敷き詰めて、野菜用培土を入れるだけで簡単に作れます。
ブロッコリーは根がまっすぐ大きく成長するため、深さ・幅ともに30cm以上ある大型のプランターや植木鉢を使いましょう。
4:植え付け
苗が本葉5〜6枚になったら、準備した畑・プランターに植え付けましょう。
株間40〜45cmほどで植え穴を作り、根鉢を崩さないよう植え付けます。
ブロッコリーは深植えを嫌うため、根鉢の表面が見える程度に浅く植えるのがポイントです。
植え穴と根鉢のスキマをしっかり埋めたら、軽く鎮圧し、たっぷりと水やりをして植え付け完了です。
また生育前半は害虫が発生しやすいため、防虫ネットや寒冷紗などを張って侵入を防ぎましょう。
5:追肥・中耕・土寄せ
植え付け後は、株を大きく成長させるために、追肥・中耕・土寄せをセットで2回ずつ行います。
- 1回目:植え付けから2週間後
- 2回目:1回目の2〜3週間後、頂花蕾が見えはじめた頃
1平方メートルあたり化成肥料50gを目安に、株間・畝の両肩に追肥しましょう。
その後、土壌通気性の改善・除草を兼ねての中耕と、倒伏を防ぐための土寄せをして完了です。
頂花蕾が大きくなってから追肥すると生理障害などの原因となるため、追肥は遅れないよう注意してください。
6:収穫
種まきから3〜5ヶ月ほどで、いよいよ収穫時期を迎えます。
頂花蕾が直径12cmほどになり、触ってみて少し弾力を感じる程度が収穫適期です。
茎を10cmほど付けて、包丁で切って収穫しましょう。
収穫が速いとつぼみがカチカチ、遅いとつぼみが膨らんできて花が咲いてしまうため、適期を逃さないように注意してください。
また頂花蕾の収穫後は、わき芽を伸ばして側花蕾として収穫できます。
側花蕾も食べたい場合は、頂花蕾の収穫直後に1平方メートルあたり50gの化成肥料を追肥しましょう。追肥するとぐんぐん伸びていくので、4〜5cmほどになったものから収穫してください。
なお、頂花蕾と側花蕾を両方楽しみたい場合は、「頂花蕾・側花蕾兼用品種」と記載のある品種がおすすめです。
プランターでの栽培は難しい?
ブロッコリーは地上部も地下部も大きく育つため、プランター栽培には向いていないと考える人も多いかもしれません。
しかし、深さ・幅ともに30cm以上ある大型のプランターや植木鉢を用いれば、問題なく栽培可能です。
株間が40cmは必要なので、1つのプランターにつき1株ずつ植えるのが基本です。
あとは栽培方法の手順通りに栽培すれば、プランターでも立派なブロッコリーが収穫できます。
紫に変色したブロッコリーは食べられる?
ブロッコリーは紫に変色することがあります。これは病気や生理障害ではないので、食べてもまったく問題ありません。
ブロッコリーは寒い時期になると、寒さから身を守るためにポリフェノールの1種である「アントシアニン」を作ります。紫色なのは、このアントシアニンによるものです。
寒さに当たったブロッコリーは甘みが増し、むしろ通常よりも数段おいしくなっています。間違っても捨てないようにしましょう。
ブロッコリーに発生しやすい害虫・病気
ブロッコリーは病気には比較的強いです。ただし、害虫は発生しやすいため、しっかりと対策を取りましょう。
【ブロッコリーに発生しやすい代表的な害虫】
- アオムシ
- ヨトウムシ
- コナガ
- アブラムシ
- ハイマダラノメイガ
中でも、アオムシ・ヨトウムシと別名「芯食い虫」とも呼ばれるハイマダラノメイガは、葉や小さな新芽を食害して大きな被害になるため注意が必要です。
特に植え付け直後に狙われやすいため、対策して害虫を徹底的に予防しましょう。
- 見つけ次第捕殺する
- 殺虫剤を散布する
- 防虫ネットなどを貼る
【発生しやすい病気】
- 根こぶ病
- 軟腐病
- 黒腐病
これらの病気は、酸性土壌や多湿条件下で多発します。
ブロッコリーは病気には強いため、土壌pHと水のやりすぎ・排水性に注意すれば大きな被害にはならないでしょう。
まとめ
ブロッコリーの栽培方法を解説しました。
ブロッコリー栽培は湿害と害虫にさえ注意すれば、初心者でも大きな失敗なく収穫できるでしょう。
この記事を参考に、ブロッコリー栽培に挑戦してみてください。