カボチャの栽培方法|時期や病害虫対策、プランター栽培についても解説
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煮物に天ぷら、スイーツと、汎用性高く様々な料理に使える「カボチャ」。丸々とした大きなカボチャを自宅で栽培できれば、収穫と同時にひときわ大きな達成感も味わえます。
栽培のむずかしそうなイメージとは裏腹に、育てるのは意外にカンタンで、面積さえあれば初心者でも立派なカボチャが収穫可能です。
本記事では、カボチャ栽培の特徴やポイント、病害虫対策方法などを元種苗メーカー勤務の筆者が解説いたします。プランター栽培についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
カボチャ栽培の特徴
カボチャは、ウリ科・果菜類に分類される野菜です。
育てるのは一見むずかしそうですが、土壌が原因で発生する病害に強く、栽培難易度は低めです。面積さえ確保できれば、家庭菜園初心者でも立派なカボチャを収穫できますよ。
以下では、カボチャ栽培の基本となる以下3点を解説します。
- 種類・品種
- 栽培時期・期間
- 栽培環境
種類・品種
カボチャには様々な種類や品種があり、大別すると「西洋カボチャ」「日本カボチャ」「ペポカボチャ」の3種類に分類できます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 西洋カボチャ:表皮がつるっとしていて、甘みの強いホクホク食感。一般的なカボチャ。
- 日本カボチャ:表皮がでこぼことしていて、甘みの少ないねっとり食感。
- ペポカボチャ:多種とは異なる変わり種が多い。甘みの少ないシャキシャキ食感。
初めてのカボチャ栽培であれば、育てやすく、様々な料理に使える西洋カボチャがおすすめです。
また、西洋カボチャや日本カボチャには、通常サイズよりもひと回り小さい「ミニカボチャ」と呼ばれる品種もあります。場所を取らないので、小スペースでの栽培にピッタリですよ。
種類 | おすすめ品種 |
---|---|
西洋カボチャ | 九重栗カボチャ・えびす・みやこ・雪化粧 |
日本カボチャ | 黒皮カボチャ・島カボチャ・鹿ヶ谷カボチャ |
ペポカボチャ | ズッキーニ・金糸瓜 |
ミニカボチャ | 【西洋種】坊っちゃん・ロロン・コリンキー 【日本種】バターナッツ・小菊カボチャ |
栽培時期・期間
- 種まき:3月下旬〜4月上旬
- 植え付け:4月下旬〜5月中旬
- 収穫期間:7〜8月
秋の冬至に食べるイメージが強いカボチャですが、栽培自体は春から夏にかけて行います。
3月下旬〜4月上旬に種をまき、その約1ヶ月後に植え付け、育苗期間は30日ほどと短いため、初心者でも気軽に種から栽培可能です。
収穫は植え付けから2〜3ヶ月ほど経過した頃にはじまり、1株あたり5〜6個のカボチャが収穫できます。
なお、栽培時期は地域や品種によっても前後するため、上記はあくまでも目安としてお考えください。
栽培環境
- 発芽適温:25〜30℃
- 生育適温:20℃前後
- 適正pH:6.0〜6.5
カボチャは南アメリカを原産としており、20℃前後の涼しい環境を好みます。
西洋カボチャは、多種に比べてやや涼しく乾燥気味の気候でよく育ちますが、平均気温が23℃を超えると生育が悪くなるため要注意です。なお、日本カボチャとペポカボチャは、西洋カボチャよりも高温多湿に耐性があります。
また、土質は選ばず、日当たりと水はけがよければよく育ちます。肥料を吸う力が強く、ほかの野菜を育てられない場所でも、カボチャであれば栽培できる可能性が高いでしょう。
ただし、チッ素が多い畑ではつるぼけに、水はけが悪い畑では疫病になりやすくなるので注意が必要です。
こちらの記事では、家庭菜園初心者でも簡単にプランター栽培を始められるような手軽に育てられる野菜を紹介しています。参考にしてください。
カボチャはプランターでも栽培できる?
結論からいうと、ミニカボチャならプランターでも栽培可能です。
通常サイズのカボチャはかなり重く、地這いで栽培することになるため、プランター栽培には向いていません。その点ミニカボチャであれば、支柱やネットを使った立体栽培ができるため、プランター栽培も十分可能です。
プランターでカボチャを栽培したい方は、小スペースで育てられるミニカボチャを選びましょう。
カボチャの栽培方法・育て方
ここからは、カボチャの栽培方法を、コツやポイントとともに詳しく解説していきます。手順は以下の8ステップです。
- 種まき・育苗
- 土作り
- 植え付け
- 敷きわら
- 摘芯・整枝
- 人工授粉・摘果
- 追肥・玉直し
- 収穫・追熟
なお、下記の栽培方法は、通常サイズの西洋カボチャを想定しています。
1:種まき・育苗
3月下旬〜4月上旬頃になったら、種まき・育苗を行います。
まず3〜4号(9〜12cm)の育苗ポットを準備し、育苗用または野菜用培養土を入れて深さ1cmほどの穴を3つ作ります。1つの穴に1粒ずつ種をまき、土を軽くかぶせて転圧、たっぷりと水をあげて種まき完了です。
発芽まで3〜5日ほどかかります。それまでは土が乾かないよう、こまめに様子を見て、乾きそうであれば水やりをしてください。
温度は、発芽適温の25〜30℃で植え付けまで管理します。寒い時期の種まきになるので、トンネルなどの保温資材を用いて温度を保ちましょう。
苗が本葉1〜2枚になったら、生育を促すために間引きを行います。もっとも生育のよい苗を1本だけ残し、そのほかの苗は根元からハサミで切り取ってください。
育苗期間は約1ヶ月、順調に生育して本葉4〜5枚になったら植え付け適期です。
2:土作り
植え付けの2〜3週間前になったら、土作りを行います。pH6.0〜6.5、水はけのよい土壌を目指しましょう。
植え付けの2週間以上前に苦土石灰、1週間前になったら堆肥と元肥を入れ、深くまでよく耕します。
カボチャは畑のチッ素成分が多いと、つるや葉が過剰に生い茂る「つるぼけ」状態になるため、施肥量には注意が必要です。下記を目安として、適切な量を施肥しましょう。
- 苦土石灰:100〜150g
- 堆肥:1kg
- 化成肥料(元肥):50g
- 過リン酸石灰(元肥):20g
その後、高さ10cm、幅2.5〜3m、株間90〜100cmを確保して畝を立てれば土作り完了です。
また、土作りについては、下記の記事でさらに詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。
3:植え付け
4月下旬〜5月中旬頃、苗が本葉4〜5枚になったら植え付けを行います。カボチャは、つるがぐんぐん伸びて広がるため、株間や栽培面積を広くとるのがポイントです。
株間を90〜100cmずつあけて植え穴を作り、根鉢を崩さないよう注意して苗を植えましょう。このとき、根鉢の表面が畝と同じ高さになる程度の浅植えにすると、生育がよりスムーズになります。
その後、軽く土を寄せて転圧、たっぷりと水やりすれば植え付け完了です。なお、植え付け前にポットに水を含ませておくと、根鉢が崩れにくくなりますよ。
また、4月下旬頃に植え付けする場合、遅霜にあたる恐れがあります。その場合、ホットキャップやトンネルなどの被覆資材を利用して寒さをしのぎましょう。
4:敷きワラ
植え付けからしばらく経過し、根が安定して葉が茂ってきたら、株元からつるを伸ばしたい方向にワラを敷いていきます。
- つるがワラに巻き付いて風雨に強くなる
- 寒さや乾燥を防ぎ、土壌を保温・保湿する
- 接地面からの害虫・カビの侵入を防ぐ
- 降雨による泥跳ねを防ぎ、病気・腐食を予防する
上記のように、敷きワラは費用対効果が非常に高いので、かならず実施しましょう。「わらイラズ」などの敷きワラ代用シートでも問題ありません。
5:摘芯・整枝
本葉6枚ほどまで育ったら、摘心・整枝を行います。カボチャ栽培において、もっとも重要な作業なので、しっかり理解してから作業に望みましょう。
カボチャの整枝方法は、種類や品種によって様々な方法があります。たとえば以下のような整枝方法が代表的です。
- 親づる1本仕立て
- 子づる2〜3本仕立て
- 親づる+子づる仕立て
基本的には、種袋に記載してある整枝方法で仕立てることになりますが、家庭菜園に最適な「子づる2〜3本仕立て」を例として解説します。
本葉6枚まで育った頃に、親づるの生長点を摘心し、子づるの発生を促します。子づるがやや伸びてきたら、元気のよい子づるを2〜3本残してほかは摘み取りましょう。育てる子づるを2〜3本に厳選することで栄養が集中し、ぐんぐんと生長していきます。
このとき、つる同士が重なり合わないように、ときどき軌道を修正してあげましょう。U字に曲げた針金などで固定すると簡単です。
子づるが生育していくと、脇から孫づるや雌花が出てきますが、低い節位ではよい果実が育ちません。そのため、9節目までのわき芽はすべて摘み取り、10〜13節目に咲いた雌花を1番果とします。
1番果の着果以降は、摘心・整枝は行わず、伸びてくるわき芽もほったらかしでOKです。ただし、葉茎があまりに混み合う場合は、適度に摘心・摘葉して、日当たりや風通しが悪くならないよう心がけましょう。
6:人工授粉・摘果
花が咲きはじめたら、人工受粉を行います。カボチャは、ハチなどの昆虫によって自然受粉しますが、確実に実を着けさせるには人工受粉が必要です。
注意点として、人工受粉はかならず晴れた日の午前10時までに行いましょう。早朝になるほど着果率がよくなります。
- 雌花:花の下にが膨らみがある
- 雄花:膨らみがない
雄花を切り取り、花びらをもいで雄しべを露出させます。雌花の中の雌しべに、雄しべを優しくこすりつければ受粉作業完了です。人工受粉した雌花には、受粉した目印や収穫日の見極め用として、日付ラベルを付けておきましょう。
その後、着果を確認したら、栄養を集中させるために摘果を行います。つる1本につき2個を目安に、状態のよい果実を残して生育を促しましょう。
7:追肥・玉直し
着果から収穫までの栽培管理として、追肥と玉直しを行います。
追肥は、着果した実が握りこぶし程度まで大きくなった頃に実施します。1株あたり、30〜40gの化成肥料を、つるの先端部分にまいてください。
また、着果から30日ほど経過し、果実が大きくなってきら玉直しを行います。
玉直しとは、果実の向きを変えて、日が当たらない箇所の着色不良を防ぐ作業です。玉直しをしないと、色むらや変形で収穫したときの見た目が悪くなってしまうので、かならず実施しましょう。
なお、地這い栽培用マットを利用すると、腐食防止にもなるのでおすすめです。
8:収穫・追熟
開花から45〜50日ほど経過し、カボチャのへた部分がコルク状になったら収穫適期です。ヘタをハサミで切り取って収穫しましょう。なお収穫個数は、つる1本につき2個、1株あたりで5〜6個が目安です。
収穫したカボチャはすぐには食べず、風通しのよい涼しい場所で1〜3週間ほど貯蔵・追熟していきます。
ヘタの切り口が、完全に乾燥したら食べ頃です。収穫直後より、さらに甘みが増した絶品のカボチャが味わえますよ。
こちらの記事では、野菜作りに大切な肥料のおすすめを紹介しています。元肥と追肥の使い方や注意点も解説しているのでぜひ参考にしてください。
カボチャ栽培で発生しやすい病害虫の予防・対策方法
野菜栽培において、切っても切れない関係の病害虫。苦労して栽培したカボチャが被害にあうのは、本当に悲しいですよね。
病気・害虫は、発生原因やその予防・対策方法を知っていれば、被害を最小限に抑えることが可能です。
カボチャ栽培で発生しやすい病気・害虫について、詳しく見ていきましょう。
病気の予防・対策方法
カボチャに発生しやすい病気で代表的なのは、以下の4種類です。
- うどんこ病
- 疫病
- べと病
- モザイク病
カボチャの病気は、水はけ・風通しの悪さが原因となるものが大半です。
病気は発生を未然に防ぐこと、軽症のうちに治すことが重要なので、発生前からの予防散布に加え、普段から下記の対策を行って予防・初期防除に努めましょう。
- 排水性・通気性の改善
- 稲ワラで泥跳ね防止
- 地這い栽培用マットを利用
- 徹底した害虫防除
害虫の予防・対策方法
カボチャに発生しやすい害虫は、以下の5種類が代表的です。
- アブラムシ
- アザミウマ
- ウリハムシ
- ハモグリバエ
ウイルス病を媒介するアブラムシをはじめとし、葉や果実に影響を与える害虫が発生します。
害虫は、発生・侵入させないことがなにより重要なため、発生前からの予防散布と下記の対策方法を実施して、被害を最小限に抑えましょう。
- 見つけ次第捕殺
- 防虫ネットで侵入防止
- 雑草・枯葉は除去
- 排水性・通気性の改善
畑を借りてカボチャを栽培するなら「シェア畑」
ミニカボチャならプランター栽培も可能ですが、大きなカボチャを育てたい方は、シェア畑がおすすめです。
シェア畑なら、経験豊富なプロのアドバイスが受けられて、お世話のサポートがしてもらえるので、初心者にもおすすめです。
栽培道具や苗・種などを準備する必要もなく、手ぶらで通えるため手間がかからず楽しめます。
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まとめ
オクラ栽培の特徴やポイント、病害虫対策方法などを解説しました。
カボチャ栽培で重要なのは、チッ素成分の多すぎや水はけの悪さに注意することです。この2点に注意して手順通りに作業すれば、初心者でも大きな失敗なしで立派なカボチャが収穫できます。
ぜひこの記事を参考にカボチャ栽培に挑戦し、収穫したときの達成感、そして完熟カボチャの甘さを自宅で味わってみてください!
こちらの記事では、キッチン菜園のやり方を紹介しています。簡単に野菜を育てたい方は、こちらを参考にしてください。