太陽光発電の発電量はどれくらい?計算やシミュレーションの方法
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太陽の光を吸収して自動で電気を生み出してくれる太陽光発電。電気代を節約するために導入を検討している人も多いでしょう。しかし、一体どのくらい発電してくれるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回は、そのような悩みを抱えている人のために、発電の仕組みや1日の発電量目安などを説明します。具体的なシミュレーションもしたので、参考にしてください。
目次
太陽光発電の1日の発電量
太陽光発電の1日の発電量は、大体2.5~3.8kWh/kWと言われています。季節や天候などにもよるものの、1か月の総発電量は大体80~120kWh/kWです。冬は夏に比べて日射量・発電量が減ります。しかし、日射量が多い夏も発電量が少なくなる日があります。
理由は、気温が上昇してソーラーパネルの出力が低下するからです。そのため、地域によっては日射量と気温が安定する春の発電量が最も多い結果になるでしょう。月ごとの発電量の目安は以下の通りです。
月 | 1日の発電量(1kWあたり) |
---|---|
1月 | 2.86kWh |
2月 | 3.28kWh |
3月 | 3.50kWh |
4月 | 3.90kWh |
5月 | 3.90kWh |
6月 | 3.29kWh |
7月 | 3.48kWh |
8月 | 3.76kWh |
9月 | 3.40kWh |
10月 | 3.20kWh |
11月 | 2.70kWh |
12月 | 2.65kWh |
出典:太陽光発電総合情報
太陽光発電の発電量をシミュレーション
今回は、関東と関西で発電量がどのくらい違うのかシミュレーションします。最も発電量が多い山梨県と最も発電量が低い秋田県のシミュレーションもします。シミュレーションの条件は以下の通りです。
- 記載する発電量:1日(1kWあたり)の発電量
- 太陽光発電システム:4kW
- 太陽光発電を設置する方角:南
- 1か月の日数:30日
月 | 関東(東京) | 関西(大阪) | 山梨県 | 秋田県 |
---|---|---|---|---|
1月 | 12.5kWh | 10.3kWh | 14.4kWh | 5.4kWh |
2月 | 12.0 kWh | 10.5kWh | 14.1kWh | 7.5kWh |
3月 | 13.2kWh | 13.2kWh | 16.2kWh | 12.8kWh |
4月 | 13.8kWh | 14.4kWh | 16.1kWh | 15kWh |
5月 | 13.8kWh | 14.7kWh | 15.8kWh | 15.4kWh |
6月 | 11.0kWh | 12.7kWh | 13.4kWh | 14.7kWh |
7月 | 11.8kWh | 13.6kWh | 14.1kWh | 13.3kWh |
8月 | 12.7kWh | 14.5kWh | 15.4kWh | 14.8kWh |
9月 | 9.73kWh | 11.8kWh | 12.1kWh | 12.6kWh |
10月 | 10.1kWh | 11.7kWh | 12.4kWh | 11.5kWh |
11月 | 9.8kWh | 10kWh | 12.1kWh | 6.9kWh |
12月 | 10.7kWh | 10kWh | 12.8kWh | 4.6kWh |
月の平均発電量 | 353kWh | 369kWh | 423kWh | 337kWh |
日射量が低いと言われている秋田県の場合、冬だと平均発電量が10kWhを下回るときもあります。
しかし、春から夏にかけての発電量は他の地域と同等、または上回るときもあります。月の平均発電量も東京や大阪と大きな差はありません。そのため、日射量が低いと言われている地域でもある程度の発電は見込めるでしょう。
こちらの記事では、太陽光発電の蓄電池について紹介していますので、あわせて参考にしてください。
太陽光発電の発電量について
シミュレーションを使って発電量の目安を紹介しましたが、そもそも太陽光発電についてよく分かっていない人も多いでしょう。そのような人のために、どのような仕組みで発電が行われるのか説明します。発電量と密接な関係にある“変換効率”の説明もします。
太陽光発電の仕組み
太陽光発電を構成する主な設備は、太陽光モジュールです。太陽光モジュールとは、太陽の光をエネルギーに変えるパネルのことです。太陽光パネルやソーラーパネルと呼ばれる場合もあります。この太陽光モジュールを使って以下の仕組みで発電を行います。
- 太陽光モジュールが太陽の光を吸収して電気エネルギー(発電)を作る
- 電気エネルギーは接続箱を通って、パワーコンディショナに送られる
- パワーコンディショナが送られてきた直流電流を家庭で使える交流電流に変換する
- 変換された交流電流が分電盤から各出力地点に送られる
- 家庭で電気が使える
太陽光発電の発電量の変換効率
変換効率とは、吸収した太陽の光エネルギーをどのくらい電気に換えられたかを表した数値です。発電効率と呼ばれることもあります。変換効率の数値が大きいほど、性能がいい太陽光パネルとされています。
日射量や太陽光パネルの大きさなど、条件がまったく同じでも変換効率が高い太陽光パネルの方が多く発電するからです。変換効率の高い太陽光パネルランキング(2022年時点)は以下の通りです。
- 1位 Qセルズ(Q.PEAK DUO-G9):変換効率は20.6%
- 2位 カナディアンソーラー(CS3L-375MS):変換効率は20.3%
- 3位 パナソニック(VBM375EJ01N):変換効率は20.3%
変換効率が20%前後であれば、性能の高い太陽光パネルと言っていいでしょう。そして、変換効率はさらに“モジュール変換効率”と“セル変換効率”に分けられます。それぞれの意味も理解しておきましょう。
セル変換効率
セル変換効率とは、太陽光パネルを構成している最小単位あたりの変換効率のことです。最小単位は、太陽電池セル(1枚)のことです。セル変換効率は電気抵抗の影響を受けません。そのため、モジュール変換効率よりも数値が高くなる傾向があります。
この特性を利用し、太陽光パネルの性能をよく見せようとする業者も存在します。そのような業者には注意しましょう。しっかりセル変換効率とモジュール変換効率の2つを見比べることが大切です。セル変換効率は、以下の計算式で求められます。
- セル変換効率=出力電気エネルギー÷太陽光エネルギー×100
モジュール変換効率
モジュール変換効率とは、太陽光パネルの性能を表す数値です。1平方メートルあたりの変換効率を表す数値としても使われます。モジュール変換効率は、以下の計算式で求められます
- モジュール変換効率=(モジュールの公称最大出力(W)×100)÷(モジュールの面積(m2)×1,000(W/m2))
パネルの素材で変換効率が変わる
一概に太陽光パネルと言っても、さまざまな種類があります。現在市販されているのは、“多結晶シリコン・単結晶シリコン・薄膜シリコン・化合物系”の4つです。それぞれどのような特徴があるのか説明します。
多結晶シリコン
多結晶シリコンとは、小さなシリコン結晶を集めて作られた素材です。主に以下のような特徴があります。
- 価格の幅が広いと同時にさまざまなパネルの形状があるので選択肢が豊富
- パネルのデザインも豊富なので、自宅の屋根にあったものを見つけやすい(建物の外観が損なわれにくい)
- 単結晶シリコンよりも低コスト
多結晶シリコンのデメリットは、単結晶シリコンよりも変換効率が少し低いことです。大体15%前後と言われています。
単結晶シリコン
単結晶シリコンとは、太陽光パネルを構成するセル全体がひとつの結晶になっている素材です。主に以下のような特徴があります。
- 多結晶シリコンよりも変換効率が高い(20%前後)
- 安定した発電効率が期待できる
- 発電効率が高いので、住宅密集地や小さな屋根でも十分な発電量が期待できる
単結晶シリコンのデメリットは、太陽光パネル素材の中でトップクラスに価格が高いことです。
薄膜シリコン
薄膜シリコンとは、名前の通り薄い膜のような素材です。主に以下のような特徴があります。
- 従来の太陽光パネルよりも軽いので、さまざまな場所に設置できる(壁にも取りつけられる)
- 開発に成功すれば、製造に必要なシリコン量は多結晶シリコンの100分の1になり、価格が安くなる可能性がある
薄膜シリコンのデメリットは、変換効率が10%前後と低いことです。ある程度まとまった発電を想定するのであれば、太陽光パネルをたくさん設置する必要があります。
化合物系
化合物系とは、“銅・インジウム・セレン”という3つの元素を組み合わせて作った化合物半導体のことです。CIS太陽電池とも呼ばれます。化合物系の特徴は以下の通りです。
- 結晶シリコン系の太陽光パネルよりも価格が安い
- シリコン系太陽光パネルよりも10%ほど発電量がアップした実証実績がある
- 年数が経過しても発電効率が落ちにくい
変換効率は大体15%前後と言われています。変換効率の改良が進められているので、化合物系は今後の変換効率向上が期待できます。
太陽光発電の発電量を表す単位
太陽光発電の発電量を表す際に、必ず“kW”と“kWh”という単語が出てきます。似たような単語ですが、細かい意味は異なります。
これらを把握せずに太陽光発電を設置すると失敗する恐れがあるので注意してください。単語の意味を知らない人に向けてkWとkWhの意味を説明します。
kW(キロワット)
太陽光発電で使われるkW(キロワット)の意味は、“設置容量”のことです。設置容量は、太陽光発電のパワーの大きさを意味します。そのため、発電能力の高い太陽光パネルを設置したい場合は、kWの数値が大きいものを選びましょう。
設置容量は、“ソーラーパネルの公称最大出力の合計”と“パワーコンディショナの容量合計”を比較して出します。公称最大出力とは、ソーラーパネル(1枚あたり)で発電できる出力のことです。
kWh(キロワットアワー)
kWh(キロワットアワー)とは、1時間あたりの発電量を示す単位です。kWとの違いは、示している数値です。kWからは太陽光モジュールの最大出力数が分かります。一方で、kWhからは1時間あたりの消費電力量や発電量が分かります。
太陽光発電の発電量の計算方法
太陽光発電の1日あたりの発電量や年間発電量は、以下の計算式で求められます。
- 1日あたりの発電量=1日の平均日射量×太陽光発電のシステム容量×損失係数
- 1年間あたりの発電量=1日の平均日射量×太陽光発電のシステム容量×損失係数×365÷1
今回の計算式で使われている単語の意味は以下の通りです。
- 1日の平均日射量:太陽光発電パネルの設置面積に対する1日あたりの平均日射量のこと
- 1年間あたりの発電量:1年間で想定される発電量のこと(kWhで表す)
- 太陽光発電のシステム容量:設置した太陽光発電のシステム容量のこと(単位はkW)
- 損失係数:太陽光発電を稼働させる際に生じる損失のこと。日本は損失係数として0.85という数字が使われるケースが多い
計算する際に必要な単語の意味の詳細を次の段落から説明します。
システムの容量(kW)
システム容量とは、太陽光発電パネルで生み出せる電力の容量のことです。太陽光発電システムの設備の大きさを示しています。システム容量は、以下の計算式で求められます。
- システム容量=公称最大出力×設置した太陽光パネルの枚数
たとえば、公称最大出力が200Wの太陽光パネルを30枚設置したとしましょう。この場合、以下の計算式が成り立ちます。
- 200W×30枚=6,000W
1,000W=1kWです。そのため、今回のシステム容量は6kWと分かります。
日射量
日射量とは、太陽光発電パネルに届く太陽の光エネルギーのことです。日射量は、天候に左右されます。日射量の変化を天候別にまとめました。
- 快晴日:正午を頂点とし、左右対称の山を描いて発電量は推移する
- 曇天:日射量は快晴日の半分程度を推移するケースが多い。太陽から直接光が届かなくても、大気に拡散する光(散乱日射量)が増えれば十分発電できる
- 雨天時や降雪時:快晴日や曇天に比べると、日射量が大きく落ち込む。0.2kWh/kWほどしか発電できない日もある
夜は日射量がゼロです。そのため、夜は発電できません。
損失係数(ロス)
太陽光パネルの出力は、1枚あたり約200Wとされています。しかし、太陽光パネルの汚れや温度の上昇など、さまざまな外部要因によってシミュレーションと実際の稼働では発電量に差が出ます。
損失係数(ロス)とは、その差を考慮するための数値です。一般的に損失係数は“0.85”が使われます。どのようなときにロスが生まれるのか、次の段落から説明します。
パワーコンディショナ
パワーコンディショナは、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換する大切な設備です。直流電力を交流電力に変換する際、大体5%のロスが生まれます。
ちなみに、パワーコンディショナの変換効率は多くのメーカーで95%以上と高い数値を誇っています。
パネルの汚れや劣化
太陽光パネルが汚れると発電量は低下します。鳥の糞はもちろん、太陽光パネルに葉が落ちて影ができても発電量は低下します。部分的な汚れでも、太陽光パネルの回路全体に影響を及ぼすので注意しましょう。
また、太陽光パネルは時間とともに劣化します。製品にもよるものの購入から10年で2.7%、20年で5.4%発電量が低下すると言われています。購入から30年経てば8.1%も低下するようです。メーカーによっては出力保証を出しています。
たとえば、パナソニックは10年間で公称最大出力81%以上を保証してくれます。価格に大きな差がないのであれば、保証をつけてくれるメーカーの太陽光発電システムを選びましょう。
気温(25度以上)
基本的に日射量が増えれば発電量も増えます。そのため、冬よりも春や夏の方がたくさん発電できます。しかし、夏の気温に注意してください。25度から1度上がるごとに発電量は0.5%低下するからです。最近は、夏の気温が40度を超えるケースも珍しくありません。
この場合、単純計算で7.5%も発電量が低下します。この低下率は、購入から20~30年経った太陽光パネルの劣化具合と同じです。
シミュレーションする際、夏の発電量は少し少なめに見積もっておいた方がいいでしょう。ちなみに、太陽光パネルの公称最大出力は、気温が25度の環境で測定されています。
太陽光発電の発電量を増やす方法
せっかく太陽光発電システムを設置するのであれば、たくさん発電したいでしょう。少しのコツで発電量が増えるケースもあります。発電量を増やしたいと考えている人に向けて、コツを紹介します。
定期的なメンテナンス
太陽光発電はメンテナンスフリーと言われることがあります。しかし、発電量を増やしたいのであれば、定期的にメンテナンスを行いましょう。メンテナンスを怠ると太陽光発電システムの経年劣化が加速し、発電効率が大きく低下するからです。
まったくメンテナンスしない場合は、設置から10年で発電効率が95~97%、20年で80~85%まで下がります。
太陽光パネルの汚れや気温の上昇なども考えれば、20%以上の発電量低下が想定されます。そのため、定期点検やメンテナンスを行って、太陽光パネルをなるべくいい状態で保ちましょう。
ソーラーパネルの向きを変える
発電量を増やしたいのであれば、ソーラーパネルの向きや大きさにもこだわりましょう。まず、最大の発電量が期待できるのは“南向き”と言われています。24時間の中で太陽の光が増えるのは“正午”です。
この時間帯に太陽の光がたくさんあたる“南”に設置しておけば、効率よく発電できます。屋根の形が特殊でなければ、基本的にどのような家でも南向きにソーラーパネルを設置できます。不安な場合は、一度業者に相談してみてください。
しかし、東向きや西向きで設置した方がいいケースもあります。1時間あたりの日射量が減ったとしても総発電量はほとんど変わらないからです。南1面に設置するよりも東西の2面に設置した方が、長い時間太陽の光を吸収できるというメリットもあります。
ソーラーパネルの大きさを変える
一度、太陽光発電の発電量を求める計算式をおさらいましょう。
- 1日あたりの発電量=1日の平均日射量×太陽光発電のシステム容量×損失係数
- 1年間あたりの発電量=1日の平均日射量×太陽光発電のシステム容量×損失係数×365÷1
どちらの計算式にも“太陽光発電のシステム容量”が入っています。そのため、ソーラーパネルを大きくすれば、同じ条件であっても発電量は増えます。実際にシミュレーションしたので参考にしてください。シミュレーションの条件は以下の通りです。
- 計測する地域:東京都八王子市
- 太陽光パネルの設置方角:南
4kW | 5kW | 6kW | |
---|---|---|---|
1月 | 400kWh | 499kWh | 599kWh |
2月 | 382kWh | 478kWh | 574kWh |
3月 | 405kWh | 506kWh | 608kWh |
4月 | 420kWh | 525kWh | 631kWh |
5月 | 426kWh | 532kWh | 638kWh |
6月 | 348kWh | 435kWh | 521kWh |
7月 | 363kWh | 453kWh | 544kWh |
8月 | 408kWh | 511kWh | 613kWh |
9月 | 307kWh | 384kWh | 461kWh |
10月 | 319kWh | 398kWh | 478kWh |
11月 | 324kWh | 405kWh | 486kWh |
12月 | 358kWh | 447kWh | 537kWh |
シミュレーションからはソーラーパネルを1kW大きくすると、発電量が大体1.2~1.3倍増えることが分かりました。設置スペースに余裕がある場合は、なるべく大きなソーラーパネルを設置しましょう。
こちらの記事では、太陽光発電のソーラーパネルについて紹介していますので、あわせて参考にしてください。
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出典:タイナビ
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まとめ
今回は、太陽光発電の発電量について説明しました。太陽光発電の1日の発電量は、大体2.5~3.8kWh/kW、1か月の総発電量は大体80~120kWh/kWです。秋田県は日射量が低いと言われています。しかし、月の平均発電量は東京や大阪などとあまり変わりません。
そのため、日射量が低い地域でもそれなりの発電が期待できるでしょう。発電量は太陽光パネルの劣化や気温など、さまざまな要因で変動します。
なるべく多く発電したいのであれば、定期的にメンテナンスしたりソーラーパネルを最適な方角に設置したりして、最高の状態を保ちましょう。