ほうれん草の栽培方法|プランターでも簡単!失敗しない育て方を解説
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栄養価の高い野菜といえば、すぐに名前の上がるほうれん草。お浸しにサラダ、炒め物にスムージーなど汎用性も高いため、家庭で栽培すると非常に重宝します。
ほうれん草は収穫までの期間が短く、栽培難易度も低いため、家庭菜園との相性も抜群です。
本記事では、失敗しないほうれん草の栽培方法、プランターでの育て方などを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。
目次
ほうれん草の特徴
ほうれん草は、ヒユ科に分類される葉物野菜です。
低糖質・低カロリーのうえ、鉄分やβ-カロテン、ビタミン類、食物繊維などが豊富に含まれており、栄養価の高い緑黄色野菜としても知られています。
ここでは、ほうれん草栽培の基礎となる2点を解説します。
栽培時期・期間
ほうれん草は、真夏を除けばほぼ1年中栽培でき、1〜2ヶ月ほどの短い期間で収穫可能です。
種まき時期 | |
---|---|
春まき | 3〜4月頃 |
秋まき | 9〜10月頃 |
晩秋まき | 11月頃 |
11月頃に種をまく晩秋まきは霜が降りる1〜2月頃にかけて収穫し、「寒締めほうれん草」として楽しめるのが特徴です。
ほうれん草は春や夏に栽培すると、とう立ちや害虫被害が多くなります。家庭菜園では9〜11月頃の秋に種をまきましょう。
秋まき・晩秋まき栽培なら、比較的管理も簡単なため、初心者でもおいしく立派なほうれん草が収穫可能です。
栽培環境
ほうれん草の生育適温は15〜20℃ほど、暑さにはめっぽう弱く、冷涼な気候を好みます。
寒さには非常に強く、氷点下にも耐えられます。しかし25℃を上回ると生育不良や病気の原因にもなるため、高温時期の暑さ対策は必須です。
【栽培環境】
- 日当たりのよい場所
- pH6.5〜7.0ほどの水はけのよい土壌
酸性土壌を嫌うので、土作りの際に苦土石灰で酸度調整を行いましょう。
また、全栽培期間を通して乾燥を嫌うので、こまめな水やりが大切です。ただし、水のやりすぎや排水性の悪い畑での栽培は、病気や軟弱徒長の原因になるため注意してください。
水やりは晴れた日は午前中に行い、夕方に土の表面が乾く程度がベストです。
ほうれん草の栽培方法
ほうれん草の栽培方法を、ポイントや注意点とともに解説します。
- 土作り
- 種まき
- 防寒・高温対策
- 間引き・追肥
- 収穫
1:土作り
ほうれん草を作るための畑・プランターを準備しましょう。
畑の場合
種まきの2週間以上前に堆肥・苦土石灰を入れて耕し、1週間前に元肥を入れて、再度よく耕します。
【1平方メートルあたりの施肥量の目安】
- 完熟堆肥:2kg
- 苦土石灰:100g
- 化成肥料:100g
その後、条間15cmを確保して、高さ10cm程度の畝を立てれば完了です。
プランターの場合
プランターの底に鉢底石を敷き詰めて、野菜用培土を入れるだけで簡単に作れます。
ほうれん草は根をまっすぐ伸ばすため、深さ20cmほどのプランターを選びましょう。
2:種まき
ほうれん草は移植を嫌うため、基本的に畑・プランターに直まきします。なお、発芽適温は15〜20℃ほどです。
- 畝・プランターに条間15cmを確保する
- 深さ1cm程度のまき溝を付ける
- 1〜2cm間隔で種を条まき
- 1cmほど土を被せて軽く固める
- たっぷり水をあげれば種まき完了
種まきをする際、まき溝の深さ・覆土の厚さがなるべく均一になるようにしましょう。均一にすることで発芽が揃い、順調な生育・管理の手間削減・品質向上に繋がります。
発芽までは5〜7日ほどかかります。それまでは乾燥させないよう、ときどき水やりを行ってください。
3:防寒・高温対策
ほうれん草は、発芽適温の15〜20℃よりも低温・高温だと発芽率が悪くなります。特に25℃以上になる高温時期と、11月の晩秋まきや3月上旬の春まきの低温時期は対策が必須です。
低温時期はトンネルや不織布をかけて保温しておけば、発芽率の低下をかなり防げるでしょう。
しかし、高温時期は低温よりもさらに発芽率が下がるため、そもそも高温時期には種まきしないことが一番です。
ただ、高温の時期に発芽率を安定させる方法として、あらかじめ芽出ししておく方法があります。「ほうれん草栽培に失敗しないためのポイント」で詳しく解説します。
4:間引き・追肥
発芽後の管理は、2回の間引きと1回の追肥がメイン作業です。
【間引きのタイミング】
- 1回目:本葉1〜2枚の頃/株間3cm
- 2回目:本葉が3〜4枚の頃/最終的な株間が6cm
晩秋まきで寒締めほうれん草として収穫したい場合は、普通のほうれん草よりも広い株間が必要になります。最終株間は、10〜15cmほどに調整しておきましょう。
2回目の間引き後、1平方メートルあたり50gの化成肥料を条間に追肥してください。
追肥をした後は、土壌通気性の改善・除草を兼ねて中耕し、軽く土寄せをしておくと、元気よく生育していきます。
5:収穫
種まきから30〜50日ほど経過すると、いよいよ収穫時期を迎えます。
草丈が20〜25cmほどになった頃が収穫の目安です。
大きくなったものから順に、根元をハサミなどで切って収穫しましょう。引き抜いて収穫すると、残っている株の根を痛めてしまうので注意してください。
なお、春まき栽培で収穫が遅れると、とう立ちする可能性があります。とう立ちすると、葉茎が固くなって食味が落ちてしまうため、適期での収穫を心がけましょう。
また家庭菜園で1回に多くの種をまくと、消費量に対して収穫量が多くなり、収穫が遅れてしまいがちです。
その場合は種まきを複数回に分けて行い、収穫タイミングをずらしましょう。適期を逃すことなく、長期間で新鮮なほうれん草が楽しめます。
ほうれん草栽培に失敗しないためのポイント
ほうれん草は、家庭菜園入門にもおすすめな、栽培難易度の低い野菜です。しかし重要なポイントを知らないと、栽培に失敗してしまうことも当然ありえます。
ほうれん草栽培で大切なポイントを知って、失敗を未然に防ぎましょう。
土壌pHを中性に寄せる
ほうれん草栽培に失敗しないためには、土壌pHを弱酸性〜中性(6.5〜7.0)に調整することが重要です。
ほうれん草を酸性土壌で栽培すると、生育障害が高確率で発生します。
- 発芽率が悪くなる
- 本葉2〜3枚で生育が止まる
- 葉が黄色くなる
- 根が褐変し枯死する
そのため、土作りの際には苦土石灰を施してpH調整をしましょう。すでにpH6.5以上ある場合は入れなくても大丈夫です。
作物を栽培していた畑や初めて作付けする畑であれば、ほとんどの場合必須です。
施肥量は畑のpHによります。1平方メートルあたり100〜150gを目安にしてください。
なお、野菜栽培において、土壌pHは非常に重要な指標になります。今後も野菜栽培を続けるならば、pHメーターを持っておくとよいでしょう。簡易的なものなら、2,000〜3,000円ほどで購入可能です。
種まき前に芽出ししておく
ほうれん草栽培の失敗例で非常に多いのが、高温期の発芽不良や発芽の不揃いによるものです。
ほうれん草の発芽適温は15~20℃ほどで適温を下回ったり上回ったりすると、発芽が悪くなります。特に気温が25℃を超えると、発芽率がググっと下がります。
どうしても種まき時期が25℃以上になる場合は、種まき前に芽出ししておくことで防止可能です。
【芽出し】
- 種を1日水に浸ける
- 湿らせた布で種を包む
- 冷蔵庫で2〜3日保管する
- 芽が出てきたら種まき
なお、プライマックス処理・ネーキッド種子と記載されている種や、適温時期に種をまく場合、芽出し作業は不要です。
ほうれん草に発生しやすい病気・害虫
ほうれん草は、病害虫が比較的少ない野菜です。しかし、発生すると大きな被害になる病気・害虫もいるため、しっかりと対策しておきましょう。
発生しやすい病気
ほうれん草に発生しやすい代表的な病気は3種類あります。
- べと病
- 炭疽病
- 萎凋病
降雨や水はけの悪さによる多湿、土壌中に生息する病原菌が原因となるものがほとんどです。
下記4つの対策を取り、被害を最小限に抑えましょう。
- 抵抗性品種を使う
- 発生前からの農薬散布
- 排水性・風通しの改善
- 土壌消毒・輪作を行う
病気は1度広がってしまうと、完全に防除することは難しく、周囲の作物や翌作に影響することもあります。
発生・拡大させないよう、作物をよく観察し、早期発見・初期防除することが大切です。
発生しやすい害虫
ほうれん草に発生しやすい害虫は、4種類が代表的です。
- アブラムシ
- ハダニ
- ヨトウムシ
- ネキリムシ
中でもアブラムシは大量に発生し、ウイルス病の原因にもなる非常に厄介な害虫です。
害虫対策は、定期的な農薬散布による予防・防除が基本となります。同時に以下4つの対策も行い、害虫の発生や侵入を予防しましょう。
- 見つけ次第捕殺する
- 防虫ネットなどで侵入防止
- 雑草・枯葉は速やかに除去
- 水はけ・風通しの改善
害虫も、病気と同じく1度発生すると、完全に防除するのは困難です。大量に発生する前から予防・対策に努め、大切な野菜を害虫から守りましょう。
まとめ
失敗しないほうれん草の栽培方法を解説しました。
ほうれん草栽培は種まき時期と土壌pHに注意すれば、初心者でもおいしく立派なほうれん草が収穫可能です。
この記事を参考に、採れたて新鮮で、栄養たっぷりのほうれん草を楽しんでみてください。