九条ネギの栽培方法|種・苗からの育て方、株分けなどを解説【プランター栽培OK】
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九条ネギは白い葉鞘ではなく、緑色の葉を食べる葉ネギの一種です。関西ではネギといえば真っ先にあがるほど有名です。
寒さや暑さ、病害虫にも比較的強く、長ネギのように土寄せを必要としないため、プランターでも簡単に栽培できます。
さまざまな料理に使える万能野菜なので、家庭菜園で育てれば重宝するでしょう。
本記事では、プランター栽培もできる九条ネギの育て方や株分け方法などを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。
家庭菜園初心者の方でも手軽なプランター栽培についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
目次
九条ネギの特徴
九条ネギとは、葉を可食部位とする葉ネギの代表的な品種です。
日本古来、奈良時代からの長い歴史をもつ伝統的な京野菜で、現在でも関西を中心に栽培されています。
寒さ・暑さに強く、周年栽培が可能な九条ネギは季節ごとに食味が少しずつ変化し、それぞれ異なる楽しみ方ができます。
春は葉が柔らかく、夏から秋は辛味が強くなり、最も旬の12〜2月頃には甘みや風味がより増すのが特徴です。
栽培・収穫時期
九条ネギは栽培時期の幅が広く、1年を通して栽培可能です。
一般的には、4〜9月に種まきを開始するのがスタンダードで、植え付けは6〜11月頃に行います。
収穫時期も7〜翌4月頃までと幅広く、さらに株分けをすれば、5年10年と栽培・収穫を続けることも可能でしょう。
育苗には約2ヶ月、植え付けから収穫までは1ヶ月ほどと、種まきから収穫までは意外に短いのが特徴的です。
かかる時間や手間が少なく、手軽に栽培できるため、家庭菜園にも非常におすすめできます。
栽培環境
九条ネギの生育適温は15〜25℃ほど、寒さ暑さに強いため、周年栽培も可能です。
栽培には、日当たり・風通しのよい場所を好み、多湿環境と酸性土壌を嫌います。pH6.5〜7.0ほど、水はけのよい土壌環境で栽培しましょう。
また、病害虫にも比較的強いですが、連作障害が起きやすいため連作はできません。
1度栽培した場所でふたたび栽培するには、最低でも1〜2年はあける必要があります。
九条ネギは苗からの栽培がおすすめ
九条ネギは種からだけではなく、苗からの栽培方法も確立されています。
栽培期間の半分以上、約2ヶ月が育苗にかかるため、家庭菜園などでは苗を購入して栽培するのがおすすめです。
九条ネギの苗は、栽培時期になるとホームセンターや種苗店で購入できます。
苗には「ポット苗」と「干しネギ苗」の2種類があります。ポット苗は名前通りポットで育苗されたものですが、干しネギ苗は聞いたことがない人も多いのではないでしょうか?
干しネギ苗とは、根ごと掘り起こしたネギをカラカラになるまで乾燥させたものです。
干しネギ苗から栽培すると、生育や品質がよくなり、収量も増えるため、プロの農家では干しネギ苗を使うのが主流です。
九条ネギの栽培方法・育て方
九条ネギの栽培方法をポイントや注意点とともに解説します。手順は7ステップです。
- 土作り
- 種まき
- 育苗管理
- 植え付け
- 追肥・管理
- 収穫
購入した苗を使う場合は、「2:種まき」「3:育苗管理」は飛ばしてお読みください。
栽培に必要なグッズは、アイリスプラザがおすすめです。
土からプランターなど豊富な取り揃えなので、見てみてください。
1:土作り
九条ネギ栽培では、種まきと植え付けを同じ場所で行います。育苗・植え付けの両方を想定した土作りをしましょう。
【土作りの条件】
- PH6.5〜7.0の弱酸性〜中性
- 水はけのよい環境
- 日当たり・風通しのよい場所
地植えの場合は、種まき2週間前までに苦土石灰を入れて耕し、1週間前に堆肥と元肥を入れて、ふたたびよく耕します。
【1平方メートルあたりの施肥量の目安】
- 苦土石灰:100g
- 堆肥:3kg
- 化成肥料:150g
株間15cmを確保し、高さ10cmほどの畝を立てて、土作り完了です。
プランターの場合は、排水性を確保するための鉢底石を敷き詰め、野菜用培土を入れたものを苗床・本圃として利用します。
九条ネギは根を浅く張るため、プランターは深さ15cmほどのもので十分です。栽培する量にあわせた広さのプランターを使いましょう。
家庭菜園で重要な土作りについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
2:種まき
九条ネギの種まきは、4〜9月頃、春から秋にかけて種まきを行います。発芽適温は20℃前後のため、地域によって時期を調節してください。
- 畝に条間10cmほどを確保してまき溝を作る
- 5mm〜1cm間隔でまき溝にスジ状に種をまく
- まき溝に5mmほど土をかけ軽く固める
- たっぷりと水をやる
- 乾燥を防ぐための不織布などをかければ種まき完了
まき溝を作る時は、棒や板などを使うと簡単です。
九条ネギは発芽に光を必要としない嫌光性植物のため、覆土が薄すぎないよう注意してください。
発芽までは1週間ほどかかります。土が乾燥すると発芽しにくくなるため、発芽まで水を切らさないよう、ときどき水をあげましょう。
3:育苗管理
発芽後の育苗期間は約2ヶ月間、間引きが主な作業になります。
間引きは、苗の草丈が6〜7cmほどの頃にはじめ、本葉が3〜4枚になるまでに終わらせるのが基本です。
2〜3回に分けて間引き、最終的に株間3cmほどに調整してください。
あとは水やりと除草を適宜行いつつ、苗の本葉が4〜5枚になるまで管理していきましょう。
4:植え付け
種まきから約2ヶ月後、苗の本葉が4〜5枚になったら植え付け適期です。
- 苗をすべて掘り起こす
- 畝・プランターの中央に深さ・幅10cmの溝を作る
- 株間10〜15cmで1箇所につき2〜3株ずつ、溝に立てかけるように置いていく
- 苗が倒れない程度に浅く土をかけ、軽く押さえる
- たっぷりと水をあげれば植え付け完了
購入したポット苗や干しネギ苗を使う場合でも、基本的な手順は同じです。
ただし干しネギ苗を使う場合のみ、苗を根元から15cmほどのところで切り揃えてから植え付けましょう。
苗を切り揃えることで、新芽の生育を促進させられ、管理もしやすくなります。
5:追肥・管理
植え付け後の管理は、追肥がメインとなります。
追肥は、植え付け1ヶ月後から収穫を終えるまで、1ヶ月に1回のペースで行いましょう。1平方メートルあたりの追肥量は、化成肥料30gを目安としてください。
追肥のついでに固くなった土を少し耕す「中耕」をしておくと、水はけの維持や通気性の改善、雑草防除になるのでおすすめです。
また、水管理にも注意が必要です。九条ネギは多湿環境に弱いため、水のやりすぎは病気の原因になります。
植え付け後の水やりは、土の表面が乾いたタイミングで十分です。
野菜づくりに大切な肥料のおすすめは、こちらの記事で紹介しています。
6:収穫
種まきから約3ヶ月後、植え付けからは1ヶ月ほどで収穫時期を迎えます。
草丈が30〜40cmになったら収穫適期です。地上部を4cmほど残して、ハサミなどで必要な分だけ刈り取りましょう。
地上部を少しだけ残すと、そこから新しい芽が伸びはじめ、ふたたび収穫が可能です。
また、収穫中も1ヶ月に1回の追肥を忘れずに行えば、1シーズンで2〜3ヶ月間ほど収穫を楽しめます。
なお、九条ネギは収穫適期を逃すと、花茎を伸ばしてネギ坊主を付ける「とう立ち」の状態になります。
とう立ち状態で放置してしまうと、生育や食味、品質などが悪くなるため、見つけ次第すみやかに摘み取るようにしてください。
九条ネギの株分け・増やし方
九条ネギは、株を「分けつ」させることで、1つの株が10本11本とどんどん増えていく植物です。
この分けつの仕組みによって、何年も繰り返して収穫を続けられるようになっています。
ただ、分けつによって株が増えすぎると、株同士が重なり合って窮屈になり、品質のよい九条ネギが採れなくなってしまいます。
そのため、1〜2年ごとに「株分け」を行いましょう。
窮屈になった株を分けることで、ふたたび品質のよい九条ネギが、収穫できるようになります。
株分けは生育が活発になってくる時期、3月頃などの春先に行うのが一般的です。
まず、分けつした九条ネギを根ごと掘り起こし、重なり合った株をばらばらにします。
栽培手順1・2と同様に、新しく準備した畑やプランターに2〜3株ずつ植え付けて株分け完了です。
なお、九条ネギは連作障害が起こりやすい野菜です。
株分けの際にはもともと栽培していた場所ではなく、新しく準備した畑・プランターに植え替えましょう。
九条ネギに発生しやすい病気・害虫
九条ネギは、病気や害虫に比較的強い野菜ですが、もちろん被害が全くないわけではありません。
特に長期間におよんで栽培・収穫する場合は、1度発生してしまうと大きな損害に繋がる可能性もあるため、しっかりと対策しておきましょう。
- べと病
- さび病
- 黒斑病など
九条ネギに発生する病気の多くは、水はけの悪さによる多湿環境や、土壌病原菌が原因となっています。
害虫では、ネギアブラムシ・ネギアザミウマ・ネキリムシなどがよく発生します。
中でもネギアブラムシは、あっという間に増殖し被害を大きくするため、特に注意すべき害虫です。
予防方法としては、病気・害虫のどちらにも下記4つの対策が有効的です。
- 発生前からの農薬散布
- 排水性・風通しの改善
- 発病株・雑草はすみやかに処理
- 作ごとの輪作および土壌消毒
害虫対策には上記に加え、見かけたらテープなどで捕殺するとなおよいです。
病気・害虫は、1度発生すると瞬く間に広がり、被害を増やします。
早期発見と初期防除に努め、なるべく発生・侵入させないよう普段から心がけましょう。
病気や害虫に効果的な、コンパニオンプランツで相性のよい組み合わせを紹介していますので、あわせて参考にしてください。
まとめ
プランター栽培もできる九条ネギの育て方や株分け方法などを解説しました。
九条ネギ栽培に難しい工程はありませんが、多湿と連作障害には十分注意しましょう。
それさえ気を付ければ、初心者でも立派な九条ネギを何年間も楽しめます。
この記事を参考に、九条ネギ栽培に挑戦してみてください。