ニンニク栽培でかかりやすい病気・害虫対策|病気になったら食べらるのか?

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にんにく

ニンニクは病気にかかりにくく、比較的栽培しやすい野菜です。

とはいえ、まったく病気が出ないわけではなく、発病すると止めるのは難しいため、病気の原因とその対策方法を知っておく必要があります。

本記事では、ニンニクがかかる病気の原因や予防・対策方法などを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説しています。

家庭菜園初心者の方でも簡単にできるプランター栽培についてはこちらの記事で詳しく説明しています。是非参考にしてみてください。

ニンニク栽培の特徴

ニンニクの栽培は、実は思っているよりも簡単。害虫の心配もほとんどないことから初心者でも作りやすい野菜です。

ニンニクは長期保存もできるため、一度に大量に作っておいて少しずつ食べられます。また、連作しても連作障害が起きにくいので、続けて作ることも可能です。

ニンニク栽培の特徴として、重要なポイントは2点あります。「土作り」と「追肥のタイミング」です。秋に肥沃な土を作っておくこと、そして越冬前と春先に追肥を行うことがポイントです。

ニンニク栽培の時期

ニンニクの植え付けは9月半ばに行い、収穫は5月の下旬~6月上旬に行います。

暖地は遅めに植え付けて、寒冷地では、早めに植え付けをしても問題はありません。暖地は遅くとも11月には植え付けを行えば、問題なく栽培できます。

植え付け後は、肥料を与えます。2月下旬~3月末までに追肥や花芽摘みを行い、春以降の成長に備えましょう。

ニンニク栽培のコツ

ニンニク栽培は初心者でも簡単に作成できるのですが、ポイントをおさえることでより成功する確率が高まります。

  • 適期に植え付け・追肥・収穫をする
  • 地域にあった品種を選ぶ
  • 大きくて粒ぞろいのいい種球を選ぶ
  • 株間は15cm、条間は20cm程度あけて植え付けする
  • 酸性の土壌で栽培するときには石灰を入れてpHを調節する
  • 植えるときには尖ったほうを上にして植える
  • わき芽がでてきたらかき取る
  • 土の上が乾燥したら水やりをする

以上の8つのポイントを守ることを意識してください。

にんにくの育て方・栽培方法についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

ニンニクがかかる病気とその症状

にんにくの写真

ニンニクは比較的、病気にかかりにくい野菜ですが、何も予防せずに放っておけば、もちろん病気に侵されます。

ここでは、ニンニクがかかる病気10種類を紹介します。

葉・茎に発症する病気と、根に発症する病気に分けて見ていきましょう。

ニンニクの葉・茎に発生する病気

ニンニクの葉・茎に発生する主な病気は、以下の7種類です。

  • さび病
  • 葉枯病
  • 白斑葉枯病
  • 黄斑病
  • 春腐病
  • 乾腐病
  • モザイク病

さび病

さび病は、ニンニクの葉に発生する病気です。

葉の表面に、さびのようなオレンジ色で少し張りでた形状の小斑点を作ります。ひどいと病斑が黒く変色して、最終的には枯死に至ります。

症状が進行すると、葉が裂けて胞子が飛散し、周囲にも伝染させるのが特徴的です。

主な伝染経路は、周囲の発病株や越冬した病原菌で、多湿条件下で発生しやすくなります。風通しや水はけを改善し、多湿環境にならないようにしましょう。

さび病の対策には、ラリー乳剤がおすすめです。

葉枯病

葉枯病は、主にニンニクの葉に発生する病気です。

最初は葉に白い小斑点を生じ、拡大して先端から枯れていき、多湿環境では病斑上に黒いすすのような胞子を形成します。

病斑中央の色が、高温だと赤紫色、低温だと淡褐色と、気温によって変わるのが特徴的です。

葉枯病は、20〜25℃ほどの暖かい気候と多湿条件で多発します。4月ごろから発生し始めるので、それまでに排水や風通しを改善しておきましょう。

葉枯病の対策には、ペンコゼブ水和剤がおすすめです。

白斑葉枯病

白斑葉枯病は、主にニンニクの葉に発生します。

葉の表面にできる白いかすり傷状の病斑が、降雨後の晴天でつながるように拡大するのが特徴です。進行すると葉に亀裂が入り、やがて枯死・腐敗に至ります。

また、葉枯病と同じように、多湿環境だと病斑上に黒い胞子を形成します。気温10〜20℃の時期に、降雨後の晴天が続くと発生しやすくなるため、降雨前の予防散布を必ずおこないましょう。

白斑葉枯病の対策は、ダコニールがおすすめです。

黄斑病

黄斑病は、ニンニクの葉に発生する病気です。

葉に輪郭がぼんやりとした白い病斑が生じ、多湿環境では病斑上に黒い胞子を形成します。拡大すると病斑が連結し、葉の先端部から黄変して枯れるのが特徴的です。

20℃前後のやや低温、多湿条件下で発生しやすく、特に雨が続くと急増するため、降雨前には予防散布をおこないましょう。

また、多発すると坪状にまとめて枯れてしまうため、早期発見を心がけ、見つけた場合はすみやかに防除してください。

黄斑病の対策は、アミスターがおすすめです。

春腐病

春腐病は、葉や茎、鱗茎に発生する病気で、軟腐病も含まれます。

はじめは葉に水浸状の病斑が生じ、葉脈に沿って下に拡大、茎の基部まで達すると、鱗茎や株元が軟化腐敗します。

雨やかん水などの泥はねにより、葉・茎の傷口から病原菌が侵入するのが主な原因です。

春腐病の病原菌は、水分の多い土壌を好み拡大していきます。排水の良い環境で栽培し、土壌中が水分過多にならないよう管理しましょう。

春腐病の対策は、Zボルドー銅水和剤がおすすめです。

乾腐病

乾腐病は、葉や鱗茎に発症する病気です。

葉は先端から黄化し、徐々にとろけたように腐敗していきます。鱗茎にも腐敗が生じ、進行すると全体が乾腐状態になり、表面には白〜淡紅色の菌を形成するのが特徴的です。

土壌中の病原菌が、傷口から侵入して伝染します。高湿度の環境で発生しやすくなるため、水はけ良好な土で管理しましょう。

乾腐病の対策には、ベンレート水和剤がおすすめです。

モザイク病

モザイク病は、主に葉に発生するウイルス性の病気です。

葉の表面に、黄褐色の条斑や濃淡のモザイクを生じ、生育を抑制します。モザイク病は、枯死したり腐敗したりと大きな被害にはなりません。

しかし、ウイルスを保有した害虫が伝染源となり、周囲にも伝染していくため、放置するのは危険です。

ニンニクの害虫であるアブラムシ、チューリップサビダニによって媒介されるので、害虫防除がそのまま病気の対策になります。

モザイク病の対策には、ベニカXガード粒剤がおすすめせす。

ニンニクの根に発生する病気

ニンニクの根に発生する主な病気は、以下の3種類です。

  • 黒腐菌核病
  • 紅色根腐病
  • 青かび病

黒腐菌核病

黒腐菌核病は、根から伝染し、株全体に広がる病気です。

下葉の先端から黄化が始まり、徐々に上に拡大、やがて株全体が枯れます。症状が進むと、根が腐敗し、地際部にゴマのような黒い菌核を形成するのが特徴です。

土壌中の病原菌が原因で伝染し、水はけが悪いと発生しやすくなります。そのため、土壌消毒や輪作、排水改善など、総合的な土壌環境の見直しが大切です。

紅色根腐病

紅色根腐病は、根から伝染して広がります。根から症状が出るため、発病初期の発見が難しいのが特徴です。

はじめは根が薄い赤色に変わり、やがて腐敗します。すると水分が十分に吸収できなくなり、葉は先端部から枯れ、鱗茎は肥大しなくなります。

土壌中の病原菌により伝染し、土が乾燥していると発生しやすくなるので、乾燥しすぎないような管理をしましょう。

また、病原菌は土の中で何年も生きるので、消毒や輪作などで土壌環境を整えるのが重要です。

青かび病

青かび病は、根から伝染し、株全体に影響を与えます。

萌芽〜越冬後に発病すると、生育不良になり葉に光沢が出るのが特徴的です。収穫時期には根と鱗茎が腐敗し、地上部全体がしおれ、鱗茎の表面には青〜緑色のカビが形成されます。

青かび病は、主に種子消毒後の乾燥不足が原因で発病します。消毒後の種子は、すぐに乾燥させましょう。

こちらの記事では、コンパニオンプランツについて紹介しています。無農薬で害虫駆除や病気対策を行う場合は、コンパニオンプランツがおすすめなので、ぜひ参考にしてください。

ニンニク栽培で病気にかかる原因と対策

葉っぱ

ニンニクなどの野菜栽培では、1度病気が出てしまうと、完全に防除するのは困難です。そのため、発病前の予防・対策が最も重要になります。

基本的には、発病前からの農薬散布で予防しますが、それだけだと十分ではありません。病気にかかる原因を知って、それぞれの病気に合った予防・対策をおこないましょう。

ここでは、ニンニクが病気にかかる原因とその対策について、詳しく解説しています。

  • 窒素過多が原因
  • 多湿が原因
  • 発病した場合の対策

順番に説明していきます。

窒素過多が原因

ニンニクが病気にかかる原因として、まず特筆すべきなのが窒素過多によるものです。ニンニクは窒素過多の環境だと、以下のような被害が出ます。

  • 鱗茎の肥大が悪くなる
  • 味や見た目が悪くなる
  • 病害虫の被害に合いやすくなる

そのため、作ごとに肥料バランスを見直し、追肥は適量を守ることが重要です。

なお、同じ土壌環境の問題である連作障害については、別項目で後述しています。

多湿が原因

ニンニクが病気にかかる最も大きな原因が、多湿によるものです。

ニンニク栽培では、水やりがほとんど必要ありません。というのも、基本的に雨だけで十分な場合が多く、水をやりすぎて多湿になると、根を痛めて発病する恐れがあるからです。雨が何日も降らず、土が乾いている場合だけ、水をあげましょう。

ただし、降雨には注意が必要です。なぜなら雨で胞子が飛散したり、泥はねで病原菌が侵入したりと、降雨後に病気が急増する傾向があるからです。

雨が長時間続くような場合、降雨前に農薬散布をおこなうことで、効果的に病気を予防できます。

発病した場合の対策

病気は発生させないことが1番ですが、もし発生した場合でも、あきらめずに被害を最小限に抑えることを考えましょう。

具体的な対策方法としては、以下の2つがあげられます。

  • 発病株・枯葉の処理
  • 農薬散布による防除

症状が出た葉っぱや枯死したもの、腐敗した株は、病原菌となって周囲にも伝染させます。葉の部分的な発症であれば、そこだけ切り取って除去し、株自体が腐敗しているのであれば、株ごと処理してください。

すみやかに処理したら、発生した病気を防除し、伝染拡大を最小限に抑えましょう。

ニンニクの連作障害

土の写真

ニンニクはほかの作物と比べると、連作障害が起きにくいのが特徴です。

1〜3年ほどなら問題なく連作でき、土壌消毒や肥料による土壌改良を続けていけば、それ以上の連作も可能になります。ただ、連作を繰り返すと、土壌伝染病やセンチュウ類などの害虫増加につながるため、対策は必須です。

毎作ごとの土壌消毒と、3年に1度ほどのペースで輪作をおこないましょう。病害虫被害を抑えつつ、快適な栽培が実現できます。

輪作する作物は、ニンニクと相性の良いナス科植物や、イネ科緑肥などがおすすめです。

連作障害についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。参考にしてみてください。

病気にかかったニンニクは食べられる?

にんにくの写真

さび病や葉枯病など、様々な病気がありますが、病気にかかったニンニクは食べられるのでしょうか?

結論からいうと、可食部分である鱗茎の状態によっては食べられます。

さび病や葉枯病などの葉に現れる病気に関しては、可食部分に影響は少ないため問題なく食べられます。

もちろん、ニンニクの病気が人体に影響を及ぼすことはありません。逆に春腐病や乾腐病、黒腐菌核病などの、株が腐敗し、カビが生じる病気は、食べないほうが安全です。

このように、病気にかかった・かかっていないではなく、可食部分に異常があるか・ないかで判断しましょう。

ニンニク栽培で発生する病害虫

病害虫

ニンニクなどの野菜栽培では、病気だけではなく、害虫にも注意が必要です。

ここでは、ニンニクに影響を及ぼす害虫の種類とその対策方法について、詳しく見ていきましょう。

害虫の種類

ニンニク栽培において、特に発生しやすい害虫は、以下の6種類です。

  • アブラムシ
  • ネギコガ
  • ハダニ
  • ネギアブラムシ
  • ネギアザミウマ
  • チューリップサビダニ
  • イモグサレセンチュウ

また、害虫はネギアブラムシやネギアザミウマなど、ネギ科の野菜につく害虫に注意しましょう。

また、ウイルス病を媒介するアブラムシやチューリップサビダニ、葉の内部に侵入して食害するネギコガは特に厄介な害虫です。被害を最小限に抑えるためにも、徹底して害虫予防に努めましょう。

害虫の予防・対策

害虫は、発生する前の予防・対策がなにより重要です。発生してからの防除では、止めることが難しく、手遅れになるパターンも珍しくありません。

基本的には、農薬散布で害虫を予防します。ニンニクの農薬は、アブラムシに効くオルトラン水和剤や、チューリップサビダニやネギコガに効くトクチオン乳剤などが代表的です。

また、予防散布とあわせて以下4つの対策をとり、虫の侵入や発生をできるだけ抑えましょう。

  • 防虫ネットや寒冷紗を張って侵入を防ぐ
  • 見かけたら粘着テープなどで捕殺する
  • 隠れ場所になる雑草や枯葉は取り除く
  • 多湿を好むので風通し・水はけを改善する

まとめ

以上、ニンニクがかかる病気の原因や予防・対策方法について解説しました。

ニンニク栽培では、病気が発生してしまうと甚大な被害につながりかねません。

病気がかかりにくい野菜だからと、油断は禁物です。万が一の時には、是非この記事を見返して、ニンニク栽培にお役立てください。