育苗ポットとは?|サイズ・種類や使い方など、育苗ポットの基礎を徹底解説!
※当記事はアフィリエイト広告を含みます。
品質のいい野菜を育てるには、よい苗作りが必要不可欠です。そして様々な野菜の苗作りで必要になるのが「育苗ポット」です。
しかし「なぜ畑に種を直接まかず、わざわざ育苗ポットに種をまくの?」と疑問に感じていませんか。
本記事では育苗ポットの基礎知識や使い方、選び方や代用品などを、元種苗メーカー勤務の筆者が徹底的に解説します。
育苗ポットを使えば栽培初心者でも大きな失敗を避けて、立派な苗が育てられるでしょう。
目次
育苗ポットとは?どんなときに使うもの?
育苗ポットとは、小さな植木鉢のような形をした育苗専用の容器です。主にトマトやピーマン、ナスなど果菜類の育苗に使われます。
ここでは、育苗ポットの基礎を詳しく解説します。
育苗ポットを使う理由
育苗ポットを使う理由は、畑やプランターに直接種をまくよりも簡単かつ効率的に丈夫な苗を作れるからです。
1:管理・作業の手間を減らせる
育苗ポットを利用して苗を育てると、管理・作業の手間を削減できます。
【手間を削減できる作業】
- 水やり
- 間引き
- 追肥
- 雑草防除
- 病害虫防除
畑に直まきした場合は、広い畑を歩きまわったり重いものを運んだりと、ちょっとした作業でもかなりの重労働になります。
育苗ポットならたくさんの苗を省スペースで一斉に管理できるため、普段の管理・作業が圧倒的に楽になるでしょう。
また、日当たりや水分量なども均一に管理しやすく、苗の生育も自然に揃います。生育揃いがよいと植え付け後の管理・作業がとても楽になるため、たくさんの株を植えても効率的に育てることが可能です。
2:外部環境から苗を守れる
種まきや発芽の直後は、環境による影響を受けやすいです。
【特に注意したいポイント】
- 大雨・強風
- 害虫・病気
直まきした場合はまいた種が雨や風で流されたり、発芽したばかりの苗が病害虫被害にあったりと、外部環境による影響をもろに受けます。
しかし育苗ポットを使えば、トンネルやハウスなどを使って管理できるため、上記のような外部環境から苗を守ることが可能です。
また苗に影響が出たとしても、あらかじめ多めに育苗していれば、影響が出ていない苗を選んで植え付けられます。
直まきの場合は1度まいたら後戻りできません。大きな被害が出た株は欠株となり、収量も大幅に下がります。
植え替えるにしてもほかの株と生育が揃わないので、管理・作業の手間が余計大変になるでしょう。
育苗箱・トレーとの違い
育苗の専用容器には、育苗ポット以外にも「育苗箱」「育苗トレー」などがあります。
形状はもちろん、用途やメリットも少しずつ異なります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
育苗箱との違い
育苗箱は、食器などを運ぶトレーのような形の容器です。主に水稲の育苗に使われますが、接ぎ木・挿し木用の種まきにもよく使われます。
【育苗箱を使うメリット】
- 1つの育苗箱でたくさんの種がまける
- 種まき以外にもさまざまな使い道がある
種まきから植え付けまで管理できる育苗ポットとは異なり、育苗箱には深さがなく、仕切りがないので根が絡まりやすいのが特徴です。
そのため、育苗箱で植え付けまで育てることはほとんどありません。育苗ポットへの移植を前提として、根がまっすぐ伸びる植物の種まきなどに使われます。
また育苗以外にもさまざまな使い道があり、育苗ポットの移動や管理をまとめて行うときにとても便利です。
育苗トレーとの違い
育苗トレーは、育苗箱を細く仕切ったような形の容器です。小さな穴(セル)がいくつもあるため、別名「セルトレイ」とも呼ばれます。
【育苗トレーを使うメリット】
- 1つの育苗トレーでたくさんの種がまける
- 育苗ポットへの移植作業が育苗箱より簡単
種まきから植え付けまで管理できる育苗ポットとは異なり、育苗トレーには深さがないため、主に種まきに使われます。
野菜によってはそのまま植え付けも可能ですが、発芽後ある程度の大きさになったら育苗ポットに移植するのが一般的です。
育苗ポットの使い方
- 育苗ポットに培養土を入れて種まき
- 野菜の栽培方法に沿って育苗管理
- 生長にあわせてポット同士の間隔を調整
- 苗をポットから外して植え付け
- 植え付け後、洗浄・消毒して再利用
育苗ポットの使い方では、意外にも並べ方が重要です。
種まき直後には、地温や湿度を確保するためにポット同士の間隔を詰めて管理します。葉が重なり合う程度まで生長したころには、ポット同士の間隔を少しずつ広げていきましょう。
間隔を広げることで日当たりや風通しを確保でき、病気・害虫の発生を防ぎつつ、苗の生長をさらに促進させられます。
また、植え付け後の洗浄・消毒も大切です。1度使った育苗ポットには、病原菌や害虫が付着している可能性があります。
次に育てる苗に影響を及ぼす可能性があるため、植え付け後はしっかり洗浄・消毒して、清潔な管理を心がけましょう。
育苗ポットの選び方
育苗ポットを選ぶときは、ポットの「種類」と「サイズ」に注目して選びましょう。
赤や青、シルバーといったカラーポットもあり、品種を区別したいときに便利です。
育苗ポットの種類
育苗ポットには、大きく分けて「ポリポット」と「ジフィーポット」の2種類があります。
ポリポット
ポリポットは、塩化ビニル製の育苗ポットで価格が安く、くり返し使えて経済的です。
ただし、洗浄・消毒の管理や置き場所、植え付けなど、ジフィーポットと比べると手間がかかるのが欠点です。
【ポリポットはこんな人におすすめ】
- 育苗ポットが大量に必要
- 育苗ポットを何度も使う予定がある
ジフィーポット
ジフィーポットは、土にかえる自然素材で作られた育苗ポットです。
ポットごと植えられるため、植え付けの手間が少なく、根を傷つけずに植えられます。また常に新品の状態で使うため、洗浄・消毒する必要もありません。
ただしポリポットよりも価格が高く、繰り返し使うことも不可能なため、コスパ面ではポリポットに軍配が上がります。
【ジフィーポットはこんな人におすすめ!】
- 育苗ポットを管理する手間・場所を省きたい
- 育苗ポットを今後使うか分からない
育苗ポットのサイズ
育苗ポットのサイズは、基本的に号数で分けられています。
号数はポットの直径を表し、1号は直径3cmです。つまり、3号なら9cmポット、4号なら12cmポットとなります。
【育苗ポットのサイズ一覧】
号数 | 直径 | 容量 |
---|---|---|
2号 | 6cm | 130ml |
2.5号 | 7.5cm | 220ml |
3号 | 9cm | 360ml |
3.5号 | 10.5cm | 570ml |
4号 | 12cm | 830ml |
4.5号 | 13.5cm | 1,200ml |
5号 | 15cm | 1,600ml |
6号 | 18cm | 2,900ml |
野菜の育苗では、3号・3.5号・4号ポットがよく使われます。
特に3号ポットはさまざまな野菜で使える汎用的なサイズです。栽培初心者はどの野菜を育てるかに関わらず、3号ポットを選びましょう。
野菜ごとにサイズを変えたい場合は、どの程度の大きさで植えるかで変わるため一概には言えません。
ポットが小さすぎれば、根が窮屈になって生育が抑制されてしまいます。反対にポットが大きすぎると、根がまわりきらず植え付けの際に根鉢が崩れてしまいます。
そのため「基本的に3号ポットを使い、植え付け時期よりも早く根が詰まった場合のみ、1サイズ上のポットに鉢上げする」といったやり方がおすすめです。
育苗ポットの代用品
「育苗ポットを買っても、1回しか使わないかもしれない」
「少量の育苗のために、育苗ポットを買うのはもったいない」
このような人は代用品を使って育苗しましょう。
- 新聞紙
- お茶パック
- 紙コップ
- 牛乳パック
- ペットボトル
- 食品トレー
育苗ポットは「土が入る・水がはける・光を遮れる」の3つの条件さえクリアすれば、身の回りにあるもので代用可能です。
この中でも特におすすめなのは、簡単で水はけもバツグンな新聞紙とお茶パック。それぞれの作り方を解説します。
新聞紙で育苗ポットを作る方法
【新聞紙ポットを作る際に必要なもの】
- 新聞紙
- 筒状の型
- 培養土
型はコップや水筒、ビンなど、筒状であれば何でも構いません。
【新聞紙ポットの作り方】
- 新聞紙1枚を4分の1サイズの長方形に折る
- 型に巻きつけて、新聞紙を筒状に成形する
- 新聞紙の底をねじる、または折りたたむ
- 湿らせた培養土を入れて種まき
新聞紙ポットは土に分解されて苗をポットから外す手間も省けるため、「手作りジフィーポット」のような感覚で使えます。
水はけもバッチリで簡単に作れるため、非常におすすめの代用品です。
お茶パックで育苗ポットを作る方法
【お茶パックポットを作る際に必要なもの】
- 100円ショップなどで売っている空のお茶パック
- 培養土
お茶パックポットは新聞紙ポットよりも、さらに簡単な2ステップで作れます。
【お茶パックポットの作り方】
- 空のお茶パックを準備する
- 湿らせた培養土を入れて種まき
コットン100%のお茶パックであれば土に分解されます。新聞紙ポットと同じく、そのまま植え付けることが可能です。
ただし、ポリエステル・ポリエチレンが含まれている場合は分解されないため、お茶パックごとの植え付けはできません。環境にも悪いため、必ず外してから植え付けましょう。
まとめ
育苗ポットの基礎知識や使い方、選び方や代用品などについて解説しました。
育苗ポットはいい苗を作り、良い野菜を収穫するためには不可欠なアイテムです。
使う理由や使い方、選び方などをしっかり理解すれば、初心者でも十分に立派な苗を育てられます。
この記事を参考に、いい苗作り、おいしい野菜作りに挑戦してみてください。