農地購入は個人でもできる?必要な許可や申請方法を解説

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農地購入

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「農業を始めたい」と考えたとき、最初のハードルは農地購入でしょう。一般的な不動産会社では農地を取り扱っていること自体が珍しく、どう探してよいのかわかりにくいことも多いです。

農地は一般的に広く購入できる土地ではなく、農地法という法律で守られています。また、最近は法人が新たに農業へ参入することも珍しくはありませんが、基本的には個人で参入するほうが多い業種です。

今回の記事では「農地は個人でも購入できるのか」、「農地購入に必要な許可や申請方法」などを中心に解説していきます。

農地購入は個人でも可能?

農地

個人でも農地購入は可能です。個人で農地を購入するには、どうしたらいいのでしょうか。

 

農家以外は農地を購入できない?

基本として、農家以外の人は農地購入ができません。しかし、これは絶対ではなく、あくまで基本です。

農地の購入が農家しかできなければ、農業の新規参入者はいなくなってしまいます。

そのため、一定の条件を満たせば農家ではない個人でも農地購入は可能です。

 

農業委員会の許可が必要

農地購入をする場合には、農業委員会への申請と許可が必要です。農地法の第3条に従う形となり、まずは下記の4項目を満たさなければいけません。

1.農地の全てを効率的に利用する
機械や労働力等を適切に利用するための営農計画を持っていること

2.必要な農作業に常時従事すること
農地の取得者が、必要な農作業に従事(原則、年間150日以上)すること

3.一定の面積を経営すること
農地取得後の農地面積の合計が、原則50a(北海道は2ha)以上であること
※地域によって変わるため、取得する地域の農業委員会への問い合わせが必要

4.周辺の農地利用に支障がないこと
水利調整に参加しない、無農薬栽培の取組が行われている地域で農薬を使用するなどの行為をしない

引用元:農林水産省

難しい内容に感じるかもしれませんが、1つ1つは単純な内容です。

農業に限らず、事業を始めるためには計画を立てましょう。そして、農作業に従事することになります。

この際に法人であれば、取得者と農業従事者が別になることもあるでしょう。しかし個人の場合には、自分が作業に従事することになるため、年間で150日以上というのは難しい内容ではありません。

取得する農地の面積は、国として本格的に農業に取り組んでもらうための最低面積であり、利益を上げるためには必要な面積とも言えます。

ただし、面積は地域によって異なるため、まずは農地を取得したい地域の農業委員会へ問い合わせてみましょう。

これら4つの要件を満たすことが最低条件となり、農業委員会への申請も必要です。農業委員会から許可が出れば、農地を購入できます。

農業委員会に申請しなかった場合

「個人間で農地を売買すれば申請は必要ない」と考える人がいるかもしれません。しかし、農地の売買は農地法で管理されているため、申請しなければ法律違反になります。

場合によっては、罰金や懲役刑が科せられるため、十分に注意が必要です。他にも、口約束のみで農地の売買や賃借を行なった場合には、契約内容などでトラブルに発展する可能性もあります。

農地購入の際には、必ず農業委員会への申請を行いましょう。

農地を借りる場合にも同様の手続きが必要

農地 農業

借りる場合にも同様の手続きが必要です。借りる場合には別の面でメリットがあります。

 

農地を借りた場合は税金面で有利

農地購入をした場合と、借りる場合の大きな違いは税制面です。これは経費に計上できるかどうかになります。

  • 購入した場合:経費として認められない
  • 借りる場合:経費として認められる

長期的に見た時には、借りる方が税制面で有利と言えるでしょう。

また、新規就農者は初期に必要な費用が多いです。まずは農地を借りて、少しでも出費を抑えることも1つの方法です。

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こちらの記事では、シェア畑について詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。

農地の購入方法

農地購入

農地の購入方法は、決して難しいものではありません。農地の購入方法について見ていきましょう。

 

要件を満たしているかを確認

『農業委員会の許可が必要』で紹介した4つの項目を確認します。これらは現状、満たしている必要はありません。

あくまで農地を取得してからの話になるため、「農業に従事していく気はあるのか」という部分になります。面積に関しては購入時に満たす必要があります。

しかし他の部分は、農家を目指すのであれば問題のない要件です。

 

農業委員会へ申請する

農業委員会は、農地利用の最適化を行っています。そのため、農地の購入や賃借には、全て農業委員会への申請と許可が必要です。

各地域には農業委員会が設置されています。農地を購入したい場合には、農業委員会への問い合わせが先決になります。

最終的な申請先が農業委員会ではない場合にも、農業委員会が窓口となることが多くなっています。

必要な書類や申請方法なども農業委員会で確認可能です。

法人が農地を購入する場合

法人手続き

法人の場合には個人とは少し異なるため、詳しく解説していきます。

 

農地所有適格法人になる

法人が農地を購入する場合には、「農地所有適格法人」になる必要があります。農地所有適格法人は、以前、「農業生産法人」と呼ばれていました。

農業を主な事業としている法人になるため、事業の一環として農業に参入するのでは認められません。あくまで、農業を主体とした法人を設立することになります。

 

借りる場合は一般法人でも可能

農地を借りる場合は、農地所有適格法人である必要はなく、一般法人でも可能です。

ただし、満たさなければいけない要件はあるため注意しましょう。

1.賃借契約に解除条件を付ける
農地を適切に利用しない場合には契約を解除する内容が必要

2.地域における適切な役割分担のもとに農業を行う
集落での話し合いへの参加や農道、水路の維持活動への参加

3.業務執行役員又は重要な使用人が1人以上農業に常時従事する
農作業に限らずマーケティングなどの経営、企画に関するものでも構わない

参考:農林水産省

上記3つの要件を満たすことで、一般法人でも農地を借りられます。

基本的には賃借であったとしても農業に深く関わることが重要で、地域に根付いた農業を行うのであれば許可されます。

農地購入に使える補助金

補助金

農地の購入や農業への新規参入には、多くの費用がかかります。

自己資金だけで難しい場合は、国から資金の補助を受けることも検討してみてください。ただし、農地の購入に特化した補助金は用意されていません。

あくまで新規就農者や、既存の農家に対するものが用意されています。それでも運営には十分に役立つ内容になっているため、申請する価値は十分にあります。

 

農業次世代人材投資資金

農業次世代人材投資資金は、新規就農者に向けた補助金です。準備型と経営開始型があり、それぞれ特徴が違っています。

  • 準備型:これから農業に新規参入を目指す人を補助
  • 経営型:新規就農してから経営が安定するまでの期間を補助

 

準備型

対象者 49歳以下
期間 最大2年間
補助額 年間最大150万円

準備型は、研修期間で研修を受ける新規就農者へ向けた補助金です。交付の対象になるためには、満たさなくてはいけない要件がいくつかあります。

年齢は49歳以下であり、独立を目指すだけではなく、研修を受ける期間が1年以上など、様々な要件が定められています。

また、交付を受けた後でも適切な研修を行わなかったり、就農しなかった場合には、補助金の返還が求められることもあるため注意しましょう。

  

経営開始型

対象者 49歳以下
期間 ・1〜3年目 150万円/年間
・4〜5年目 120万円/年間
補助額 年間最大150万円

経営開始型は、内容が少し違うものの基本は準備型と似ています。主に違う内容は交付期間です。

準備型では2年間、経営開始型は5年間となり、何年目かによって金額が変化します。収益化が難しい初期には多めの金額に設定されているため、経営に集中できるでしょう。

また準備型と同じように、状況によっては交付の停止や返還の可能性もあります。交付申請をする際は、内容をしっかりと確認し、正しい申請が必要です。

農業次世代人材投資資金については、農林水産省の農業次世代人材投資資金のページに詳しい申請方法や様式が公開されています。

参考:農業次世代人材投資資金

 

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

すでに農業を営んでいる人には、「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」の活用もおすすめします。補助事業はいくつかに分けられており、主に農業用の施設と機械に向けた補助金です。

ビニールハウスやトラクターなどの導入にも使えるため、現在よりも規模を拡大したい場合や、買い換えを行いたい場合に使えます。大きく5つのうち、中心となっている2つを紹介します。

  

地域担い手育成支援タイプ

助成対象 農業用機械・施設(耐用年数5〜20年)
補助率 3/10以内
上限額 300万円

農業者の経営基盤確立や、発展に向けた農業用機械、施設の導入に利用できます。比較的小規模の農業者を対象としているため、上限額は低めです。トラクターの導入やビニールハウスの補修は十分に可能です。

  

先進的農業経営確率支援タイプ

助成対象 農業用機械・施設(耐用年数5〜20年)
補助率 3/10以内
上限額 個人1,000万円法人1,500万円

地域担い手育成支援タイプよりも、広域に展開する農業者に向けた内容です。法人の項目が追加され、上限額も高く設定されています。

経営を高度化することに対する補助金になるため、より優れた計画が必要です。農林水産省の「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」で詳細などを確認できます。

参考:強い農業・担い手づくり総合支援交付金

事業継承・引き継ぎ補助金

事業継承・引き継ぎ補助金は、農業に特化した補助金ではなく、事業の継承を機に新しく取り組みを行う事業者に向けた補助金です。例えば、農地を手放すしかなくなった事業者の農地を購入する場合などに適用されます。

農業用の機械や施設には使えないため、現状の農地を増やしたい場合など、限られた状況で使える補助金となります。管轄も農林水産省ではなく、中小企業庁です。

参考:事業継承・引き継ぎ補助金

こちらの記事では、農業に関する補助金を紹介しています。あわせて参考にしてください。

まとめ

農地の購入は、農家以外の個人でも可能です。

しかし、農地は農地法によって守られているため、誰でも購入できるわけではありません。今後も農業を営んでいく計画を持った人しか購入できず、法人の場合には農地所有適格法人であることが条件です。

借りる場合には一般の法人でも問題はありません。ただし、購入になると条件が変わってきます。

農地の購入は、新規就農者にとって最初のハードルにもなります。まずは農業委員会へ相談してみましょう。

農業委員会は農地に関わることの窓口になっています。各地域の農業委員会に問い合わせてみてください。