スマート農業とは？実際の導入事例やメリット・デメリットを紹介！
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近年よく聞く「スマート農業」をご存じでしょうか。
「なんとなく知っているけど、どのように実践すればいいか分からない」という方も多いはず。
ここでは、スマート農業の内容と導入の仕方についてわかりやすく紹介します。
まだスマート農業について知らない方も、これから導入しようと検討している方も、ぜひ参考にしてみてください。
- この記事でわかること
- スマート農業について
- スマート農業のメリット・デメリット
- スマート農業を行う手段
- コストを抑えて始める手段
目次
スマート農業とは？
スマート農業とは一体なんでしょうか。
スマート農業の意味と目的について説明していきます。
スマート農業の意味
スマート農業とは、IoTやAI、ロボット技術を用いて農作業を省力化・効率化することを意味します。
スマート農業は、農林水産省も推奨している手法で、社会問題の解決に貢献することが期待されています。また、海外ではスマートアグリカルチャー（Smart Agriculture）とも呼ばれており、多くの国で導入が始まっています。
スマート農業の目的
スマート農業が推奨されている目的としては、「食料自給率の向上」「労働力不足の解決」「農業技術の継承」の3つが挙げられます。
食料自給率の向上
日本の食料自給率は年々減少傾向にあり、2019年度はカロリーベースで37.82%（※）と、海外からの輸出に依存している現状があります。
そのため、自国生産と輸入のバランスを取り、適度な生産を可能とするために、食料自給率を向上させる必要性が高まっています。スマート農業の活用は、限られた資源の中でも効率的な生産を可能とし、食料自給率の向上につながることが期待されるでしょう。
(※)出典:農林水産省 日本の自給率
労働力不足の解決
少子高齢化社会の日本において、大きな課題として挙げられているのが労働力の不足です。特に高齢者の割合が多く跡継ぎが少ない農家にとって、深刻な問題となっています。
スマート農業は、そんな労働力不足を補う手段と言えます。
農業技術の継承
労働力不足と同様に、農家の跡継ぎや継承者も不足しています。そのため、代々培われてきた農業技術の断絶を防ぐために、データやシステムとして記録しておくことは、日本にとって重要なことだと言えるでしょう。
スマート農業のメリット
それでは、スマート農業を導入することで、農家の方はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
農作業の効率化
最も顕著なメリットとして、農作業の効率化があげられます。データやAI等を活用することにより、少ない時間と資源で生産性を向上させることができるのです。また、空いた時間で作業範囲を増やすことができるため、生産量の増加も見込まれます。
作業負担の軽減
自動で作業するロボットを活用することにより、体への負担が大きい作業を多く減らすことが可能です。これにより、農業が抱える肉体労働のイメージを払拭することも期待されています。
作業の見える化
1つ1つの農作業をデータ化することにより、農業における技術やノウハウを共有しやすくなります。作業の見える化を行うことで、農業経験がない方も就農しやすい環境が形成され、人手不足や後継者不足が解消されるでしょう。
スマート農業のデメリット
以上のように、スマート農業は農家の方にとって多くのメリットがあります。
では、なぜスマート農業は浸透していかないのでしょうか。それは、スマート農業を導入するにあたり、少なからずデメリットが存在するためです。
導入コストの高さ
スマート農業を始めるにあたり一番の障壁と言えるのが、導入コストの高さです。例えば、新しい機器を購入する場合、数百万単位のコストがかかります。また、たとえ導入したとしても、将来的な費用対効果の見通しが立ちにくいという課題が挙げられます。
いかに初期投資を安くすませるか、また継続的に利益を出すことができるかという点で、経営手腕が問われるでしょう。
求められるスキルの高さ
AIやロボット等を最大限活用するためにも、操作の仕方や作業内容に関する理解は欠かせません。しかし、最先端の技術に関する知識を身につけるのは簡単ではないでしょう。企業や政府からのサポート体制が整備され始めているものの、自主的なスキルアップが求められます。
スマート農業の導入事例
ここからは、スマート農業にどのような手段を用いて行われているのかを紹介します。
実際に導入するにあたり、どの手段が最適かを考えながら読んでみてください。
ドローンによる農場管理
ドローンとは、小型の無人航空機のことで、遠隔操作や自動制御できることが特徴です。様々な作業工程に組み込むことで、作業の効率化や生産性を向上することを可能にしています。
平成29年3月から平成30年12月末の間で、農業用ドローンの機体登録数は6倍近く急増しており（※1）、農薬の空中散布やカメラを活用した圃場センシング、農場の鳥獣被害対策といった用途で実用化されています。
また、ドローンを活用した播種や受粉、農作物等の運搬が民間企業や地方自治体によって実証が行われており、さらなる活躍が期待されています。
ちなみに、ドローンの操作に免許や資格が必要ありません。ただし、農業用ドローンを用いて農薬散布をする場合に、国土交通省への事前申請が必要となります。詳しくは国土交通省のホームページにて掲載されています（※2）。
実際に農業用ドローンの活用事例や、メリット・デメリットなどを細かく調べてみることをおすすめします。詳細は別途記事を参考にしてみてください。
(※)1.出典:農林水産省 農業用ドローン普及に向けて
(※)2.出典:国土交通省 許可・承認手続きについて
自動収穫機による作業効率化
自動収穫機とは、車両やロボットを活用することにより、作物を傷つけず、かつ効率的に作物を収穫してくれる機械のことです。
農作業の中でも重労働とされている作物の収穫ですが、自動収穫機を活用することで、その負担を大幅に軽減することが可能となります。
作物の種類によって収穫方法が異なるため、専用の自動収穫機の開発が企業や大学によって進められています。
近年では、inaho株式会社のアスパラガスの自動収穫機や、デンソー株式会社のミニトマトの自動収穫ロボット、宇都宮大学のイチゴ自動収穫機等が開発されており、実用化が進んでいます。
無人トラクター・コンバイン・田植え機による作業量削減
自動車に関しても注目を集めている自動運転ですが、農機においても導入が始まっています。
農機具メーカー最大手であるクボタは、自動運転が可能なトラクター・コンバイン・田植え機を販売しています。農機に人が乗らなくても指定されたルートを自動で移動し、障害があれば動作を停止する仕組みとなっています。ただし、使用者の監視が必要です。
各農機具メーカーが、無人状態での完全自律走行ができる農機開発に力を入れており、数年後には実現していることが期待されます。一方で、値段が1000万円以上する等、導入が簡単ではないのが現状です。
農作業を効率化するために、昨今では様々な機械が導入されています。手軽に導入できるものでは、ラジコン草刈り機や、アシストスーツなどがあります。導入するにあたり、自治体の補助金が対象機器も多数あります。
お得に導入してみたい方は、別の記事を参考にしてみてください。
スマート農業アライアンスによる企業からのサポート
出典:株式会社オプティム
スマート農業アライアンスとは、ITベンチャー企業である株式会社オプティムが行っている取り組みで、農家と企業が提携を組み、情報やノウハウ等を提供し合うことを意味します。
農家がスマート農業アライアンスを組むメリットとしては以下の2つが挙げられます。
導入コストの削減
提携企業から、無償で農機や機材を使用することができます。そのため、スマート農業の導入の際に発生する導入コストを大幅に削減することができます。
作物の買取
スマート農業アライアンスを活用して栽培された作物は、企業が買い取ってくれるため、安定した利益を得ることができます。加えて、企業が付加価値をつけて販売を行うため、一般に販売する以上の利益を得ることが可能になります。
スマート農業を始めるのに役立つ3つの手段
ここまで紹介してきたように、スマート農業の導入方法はたくさんあります。
しかし、コスト面を考慮すると、「現実的に難しいのではないか」という声もあるでしょう。そこで、スマート農業を始めるために役立つ手段を３つご紹介します。
リース利用
農機や機材の導入コストを抑えるために役立つのが、リースの利用です。リースとは、一定期間、企業から農機や機材を借りることを意味します。
例えば、1000万円以上する無人トラクターも、リースを活用することによって、大幅に導入コストを下げることができます。
また、本体と農薬散布用のタンク等をあわせて150～300万円近くするドローンも、必要な時だけリースすることで、導入コストを大幅に節約することが可能です。
出典:株式会社SWITCH
株式会社SWITCHでは機体と送信機を1日55,000円(税込)でレンタルサービスがあります。
補助金・助成金の活用
スマート農業の推進のため、国は補助金・助成金制度を設置しています。
例えば、「担い手確保・経営強化支援事業」では、スマート農業を導入して生産性向上を目指す農家や法人が優先して支援されます。上限金額や支援対象は以下の通りです。
補助金上限金額：個人1,000万円・法人1,500万円
支援対象：農業経営体の主体性を発揮した取組や地域との相乗的発展を目指す取組等を行う農業経営体
出典:農林水産省
また、各地方自治体でも補助金・助成金を設置しているので、ぜひお住まいの地域の情報をチェックしてみてください。
スマート農業に限らず、今一度補助金について深く知りたい方は詳しく解説している記事も紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
現在使っている農機具の売却
スマート農業の導入は、現状を見直す良い機会です。今使っている農機に不具合を感じたり、新調したいと感じた場合は、農機具の売却も視野に入れてみましょう。
売ったお金は新しい農機の購入費用にも充てられるため、コストを抑えてスマート農業を導入することが可能です。
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まとめ
今回はスマート農業とその導入事例についてご紹介しました。
まだまだスマート農業は浸透していませんが、導入することで多くのメリットが得られることがおわかりいただけたと思います。ぜひ、紹介した内容を参考にし、スマートな農家を目指してみてはいかがでしょうか。
野菜やフルーツが大好きです。農業に関わる方々に有益な情報をお届けします。
