ECメーターとは?|土耕・水耕栽培での使い方、選び方を徹底解説【おすすめ5選】

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ECメーターとは

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ECメーターとは、畑やプランター、水耕の培養液などの肥料状態を分析するための機器です。

ECメーターで土壌分析することで、あらゆる病気や生理障害を防ぎ、さらにおいしく立派な野菜が収穫できるようになります。

しかし「そもそもEC自体がよく分からない」という人も多いのではないでしょうか?

本記事では、ECメーターの基礎知識や使い方、選び方やおすすめ商品などを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。

ECメーターとは?

電気

ECメーターとは、電気の通しやすさを示す数値「EC(電気伝導度)」を測定する機械のことです。

農業においては、土耕の土や水耕の培養液などの肥料濃度を把握するために使います。

ここでは、ECメーターの基礎となる3点を解説します。

  • EC(電気伝導度)とは?
  • ECはなぜ測る?測定する理由・目的
  • 野菜栽培の適正EC値

EC(電気伝導度)とは?

EC(Electrical Conductivity)とは、日本語で「電気伝導度」といい、電気の通しやすさを示す数値です。

【ECメーターで測定した際の単位】

  • mS/cm(ミリジーメンス・パー・センチメートル)
  • dS/cm(デシジーメンス・パー・センチメートル)
  • μS/cm(マイクロジーメンス・パー・センチメートル)

※「1.0mS/cm=1.0dS/cm=1,000μS/cm」

ECは水に溶けると電気を通すイオン(電解質)が多いほど、高い数値になります。

たとえば蒸留水・精製水などの純水は電解質がほとんど含まれていないため、ECは約0.0mS/cmです。対して、電解質が含まれている水道水は約0.2mS/cmとなっています。

肥料に含まれる成分は電解質であるため、土や水の中に「どれだけの肥料分が含まれているか」がわかるのです。

ECはなぜ測る?測定する理由・目的

ECは土・水中の肥料濃度を把握し、生育に最適な環境を作るために測ります。

植物栽培では、その植物に合った量の肥料を施すことが大切です。肥料が少なすぎたり多すぎたりすると、さまざまな生理障害を引き起こします。

たとえば肥料不足では生育が著しく低下し、肥料過多では根が傷んで栄養・水分を吸収できなくなります。

そのため畑や培養液のECを把握し、施す肥料を植物ごとに調整する必要があるのです。

ただし、ECで分かるのは「全体の肥料濃度」のみ。「どの肥料がどんな割合で入っているか」までは分からないため、しっかりと肥料バランスを考えて肥料をあげましょう。

野菜栽培の適正EC値

ECは植物に合わせた数値に調整することが大切です。

安定した生育にはもちろん、肥料費の削減にもなるため、しっかりと適正EC値を把握しておきましょう。

【植え付け時の適正EC値】

栽培方法 栽培品目
果菜類 葉・根菜類
土耕栽培 黒ボク土 0.3〜0.8mS/cm 0.2〜0.6mS/cm
沖積土・洪積土 0.2〜0.7mS/cm 0.2〜0.5mS/cm
砂質土 0.1〜0.4mS/cm 0.1〜0.3mS/cm
水耕栽培 0.6〜1.5mS/cm 1.2〜3.5mS/cm

出典:JA全農 肥料農薬部

出典:ECO GUERRILLA

上記の表は、あくまでも目安としてお考えください。

ECは土の種類や栽培方法、肥料・水分量など、さまざまな影響を受けて変動するため、臨機応変な調整が必要です。

ECメーターの選び方

選び方

ECメーターは様々なメーカーにより、様々な価格帯・用途の商品が販売されています。

そのため商品が多すぎてどれを選べばいいか分からない人も多いでしょう。

ECメーターを選ぶときに着目すべきポイントは、「価格」と「測定方法」の2点です。

価格で選ぶ

ECメーターは安いものなら1,000円ほど、高いものは10万円以上と価格に大きな差があります。

この価格差はECメーターの精度の高さに比例しており、高価なものほど精度が高くなっています。

そのため、研究・実験などでよほど正確なデータが必要な場合は、高価なものを買うべきでしょう。

ただし高価なECメーターであっても、肥料の量やバランスまでは分かりません。肥料濃度の目安を把握する役割では、安価なものでも十分に使えます。

「適当な目安が分かればいい」「なるべく費用を抑えたい」場合は、1万円以下でもよいでしょう。

また「ある程度精度が高くコスパがいいもの」を求めるなら、1〜2万円台で十分役に立つはずです。

なお、安すぎるECメーターだとすぐに壊れてしまう可能性があります。安物買いの銭失いにならないよう、耐久性も考慮してコスパのいいものを選びましょう。

測定方法で選ぶ

ECメーターは、測定方法によって大きく2種類に分けられます。

  • 上澄み液を測定する「従来型」
  • 土に直接挿して測定する「ダイレクト型」

従来型は、上澄み液を測定する基本方法を採用したECメーターです。

測定では60分間混ぜる必要があります。手間・時間はかかりますが、数値の信頼性が高いのが特徴です。

従来型ECメーターの価格は、高いものから安いものまでピンキリ。多くの商品があるため、栽培方法や環境に合ったECメーターが選べます。

対してダイレクト型は、EC測定にかかる手間・時間を大幅にカットできる測定方法を採用したECメーターです。

従来型と比べて高価で実用化されている商品が少ないですが、測定にかかる60分をまるごと短縮できます。

上記のことから、安さと信頼性を取るなら従来型手間・時間の削減を取るならダイレクト型のECメーターがおすすめです。

おすすめのECメーター5選

測定

家庭菜園から農家までおすすめできる、コスパのよいECメーターを5つ紹介します。

  1. HANNA Soil Test 土壌ダイレクト EC/温度テスター
  2. Proster デジタル 水質測定器 TDS ECメーター
  3. Apera Instruments エコノミータイプ EC20 防水ペン型EC計 導電率テスター
  4. ATAGO デジタルECメーター
  5. Apera Instruments PC60-Z Bluetooth搭載 多項目水質計

1.HANNA Soil Test 土壌ダイレクト EC/温度テスター

ECメーター

出典:Amazon

測定項目 EC・温度
付属品 なし
価格(Amazon) 16,764円

土に直接挿して測定できるダイレクト型のECメーター。直接測る方法だけでなく、上澄み液や培養液の測定も可能です。

ECだけでなく温度も測定でき、比較的高価なダイレクト型ECメーターの中ではもっともコスパがよいと言えます。

従来型のECメーターよりも手間と時間がかからないため、個人的にイチ押しの商品です。

2.Proster デジタル 水質測定器 TDS ECメーター

ECメーター

出典:Amazon

測定項目 EC・TDS
付属品 本体ケース
価格(Amazon) 1,399円

驚愕の1,000円台という超格安ECメーター。精度や耐久性は二の次でなるべく費用を抑えたい場合は選択肢の1つとなります。

精度や耐久性は最低レベルなため、研究・実験での利用や長期的に使いたい人にはおすすめできません。

なおECのほかにも、TDS(水分中に含まれるミネラル量)が測定可能です。

3.Apera Instruments エコノミータイプ EC20 防水ペン型EC計 導電率テスター

ECメーター

出典:Amazon

測定項目 EC
付属品 ・50ml導電率校正液×2
・単四乾電池×4
・ストラップ
・ハードケース
価格(Amazon) 8,470円

8,000円台の価格で、充実した付属品がついてくるECメーター。容器と純水さえ準備すれば、すぐにでも測定可能です。

必要なものを別々で購入するとさらなる手間と費用がかかるため、非常にコスパに優れていると言えるでしょう。

4.ATAGO デジタルECメーター

ECメーター

出典:Amazon

測定項目 EC・温度
付属品 本体ケース
価格(Amazon) 20,580円

確かな品質で高い人気を得ているECメーター。ECと温度が測定できます。

1万円以下のものよりも精度が高く、耐久性も高いため、いいものを長く使いたい人におすすめのECメーターです。

初期費用は比較的高くなりますが、安物だとすぐに壊れる可能性も十分にあります。その点ATAGOのECメーターなら長期間使えるため、コスパ面でも非常に優秀です。

5.Apera Instruments PC60-Z Bluetooth搭載 多項目水質計

ECメーター

出典:Amazon

測定項目 EC・pH・TDS・塩分濃度・温度
付属品 ・50ml標準液×4
・校正用バイアル×4
・10ml電極保存液
・ストラップ
・キャリングケース
価格(Amazon) 22,952円

Bluetoothを搭載しており、スマホアプリと連携可能な最新鋭のECメーター。測定結果を細かく記録できるため、実験や研究、生産性の改善に役立ちます。

これ1台でEC・pH・TDS・塩分濃度・温度の全5種類を測定できる優れものなため、EC以外も測定したい人にイチ押しです。

土耕栽培でのECメーターの使い方

土壌 畑

畑やプランターなどの土耕栽培でECメーターを使う場合には、2通りの測定方法があります。

測定方法それぞれの使い方を詳しくみていきましょう。

上澄み液でECを測る方法

【必要なもの】

  • ECメーター
  • 校正液
  • 電子はかり
  • ビーカー・コップなどの容器
  • 測定したい畑・プランターの土
  • 蒸留水・精製水などの純水

【測定手順】

  1. 校正液でECメーターを校正する
  2. 土1割に対し、純水5割を加える
  3. 60分間よく混ぜ、3分ほど静置する
  4. 上澄み液にECメーターを浸けて測定する

EC値は使用環境などによって誤差が生じます。測定前にしっかりと校正を行い、数値の誤差を調整しておきましょう。

また測定する土は乾いた状態のものを用い、塊があったら細かく砕いておくと、より正確なEC値を測定できます。

土に直接挿してECを測る方法

【必要なもの】

  • ダイレクト型ECメーター
  • 校正液
  • 測定したい畑・プランターの土
  • 蒸留水・精製水などの純水

【測定手順】

  1. 校正液でECメーターを校正する
  2. 測定する場所を純水で湿らせる
  3. ECメーターを挿して測定する
  4. 数箇所を測定し、平均値を割り出す

上澄み液と同様、測定前にはしっかりと校正を行います。

土に直接挿して測定するダイレクト型の場合、土が湿っていないと正しく測定できません。EC値に影響が出ない純水を用いて、土を握って団子ができるくらいまで湿らせましょう

土を混ぜずに測定するため、上澄み液による測定方法よりも場所によるバラつきが大きくなります。そのため、数箇所を測定し、平均値を割り出すのが基本です。

水耕栽培でのECメーターの使い方

水耕栽培

【必要なもの】

  • ECメーター
  • 校正液
  • ビーカー・コップなどの清潔な容器
  • 測定したい培養液

【測定手順】

  1. 校正液でECメーターを校正する
  2. 容器に培養液を採取する
  3. ECメーターを浸けて測定する

水耕栽培でのECメーターの使い方は、土耕栽培よりも単純です。

測定前にしっかりと校正を行い、容器に採取した培養液に浸けるだけで測定が完了します。

容器が汚れていると正確な数値が測定できないため、必ず清潔な容器を使いましょう。

まとめ

ECメーターの基礎知識や使い方、選び方やおすすめ商品などについて解説しました。

ECメーターはよりよい野菜の栽培に、一役も二役も買ってくれる存在です。

測る目的や野菜ごとの適正値をしっかり理解し、適切な使い方をマスターすれば、今よりもさらに高品質な野菜が収穫できるでしょう。

この記事を参考に、ECメーターを活かした野菜作りをしてみてください。