ニラの育て方・栽培方法│家庭菜園でも簡単においしく育てられる!
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スタミナ料理に欠かせないニラは、栽培が比較的簡単で収穫量も多く、さらに栄養価も豊富と、驚くほど家庭菜園に適した野菜です。
収穫まで時間こそかかりますが、栽培方法を知れば、採れたて新鮮なニラが長期間楽しめます。
本記事では、家庭菜園でもできるニラの栽培の方法を、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。
家庭菜園初心者でも取り組みやすいプランター栽培について紹介しています。こちらも併せて参考にしてみてください。
ニラの特徴
ニラは、疲労回復効果のあるアリシンやビタミン類などが豊富に含まれており、たくさんの栄養を手軽に摂れる野菜です。
種まきから収穫まで1年ほどかかるものの、栽培難易度は低く、1度植えれば2〜3年ほど収穫できます。
- 栄養価が高い
- 栽培難易度が低い
- 長期的に収穫可能
以上の三拍子が揃っているニラは、まさに家庭菜園にピッタリ、そして初心者にもおすすめできる野菜です。
ニラの栽培時期
ニラ栽培は、3月中旬〜下旬の春に種まきからスタートします。
5〜6月頃に畑に植え付け、翌年の5〜10月頃にかけて、年3〜5回の収穫が可能です。
初めての収穫から2〜3年ほど収穫でき、株分けすることで収穫期間をさらに伸ばせます。
発芽には地温20℃前後、生育には気温20〜25℃が適しているため、地域にあわせて栽培開始時期を調整してください。
このようにニラ栽培は長期にわたるため、栽培する場所は慎重に選びましょう。
ニラの栽培方法
ニラの栽培方法を、ポイントや注意点とともに解説していきます。なお、プランター栽培でも基本的な手順は変わりません。
手順は8ステップです。
- 苗床作り
- 種まき
- 育苗管理
- 土作り
- 植え付け
- 土寄せ・追肥
- 刈り取り
- 収穫
1:苗床作り
種まき・育苗するための苗床を作ります。
種まきの2週間前に堆肥と元肥を入れ、よく耕しておきましょう。
【1平方メートルあたりの施肥量目安】
- 堆肥:2kg
- 化成肥料:100g
よく耕した後、高さ10cmほどの畝を立てて苗床作り完了です。
少量で栽培する場合は、プランターなどに育苗培土を入れて苗床にしましょう。
2:種まき
3月中旬〜4月上旬頃になり、地温を20℃ほど確保できたら、種まきの適期です。
苗床に深さ1cmほどのまき溝を、10〜15cm間隔で作りましょう。棒や板を使うと、簡単に溝を付けられます。
ニラの種は1cm間隔ですじ状にまき、軽く土を被せ板などで軽く押さえて固めてください。
その後たっぷりと水をやり、不織布や新聞紙などで覆って、乾燥を防止しましょう。
発芽までは10〜14日ほどかかります。土が乾燥すると発芽率が悪くなるため、乾燥しないようときどき水やりが必要です。
3:育苗管理
発芽後の育苗管理は、間引き・追肥などが主な作業です。
間引きは本葉が1〜2枚の頃に行います。
混み合っている箇所を間引きして、1cmほどの間隔を確保しましょう。
【追肥】
- 1平方メートルあたり化成肥料10gを目安
- 種まきから30日後
- 種まきから60日後
育苗中は土が乾いたタイミングで水をやり、ニラの生育がスムーズになるよう、こまめな除草を心がけましょう。
種まきから80〜90日経過すると、葉数4〜5枚・草丈20〜25cmほどの植え付けサイズになります。
4:土作り
植え付けの2週間以上前に、植え付ける畑の土作りをはじめます。
ニラは土壌pH6〜6.5ほどで、日当たり・水はけのよい環境を好みます。
1度植えたら3〜4年はニラ畑になるため、環境や専有面積などを考え、慎重に栽培場所を選びましょう。
まずは、植え付け2週間以上前に酸度を調整する苦土石灰、1週間前に堆肥と元肥を入れ、よく耕しておきます。
【1平方メートルあたりの施肥量目安】
- 苦土石灰:150g
- 化成肥料:150g
- 堆肥:3kg
株間15〜20cmを確保し、高さ10cmほどの畝を立てて土作り完了です。
プランター栽培の場合は、水はけをよくする鉢底石を敷き詰め、野菜用培養土を入れて完成です。
5:植え付け
ニラの苗が、葉数4〜5枚・草丈20〜25cmほどになったら植え付け適期です。
まずは畝に株間15〜20cmで、深さ10cmほどの植え穴を作ります。
掘り起こした苗を、1穴につき4〜5本ずつまとめて植えましょう。密集させて植えることで、ニラの生育がよくなります。
その後、根が土に埋まり、葉が倒れない程度に浅く土を被せてください。株の周囲が凹んでいる程度がちょうどよい植え方です。
この時に余った土は、土寄せで使うのでそのまま残しておきましょう。
土が乾いている場合は、水やりをして植え付け完了です。
植え付け後は元気のない様子が続きますが、2〜3週間ほどで根が定着して、元気な葉に戻ります。
6:土寄せ・追肥
土寄せは3回に分けて行います。
- 1回目:植え付け3週間後
- 2回目:1回目の3週間後
- 3回目:2回目の3週間後
植え付け時に残しておいた土を少しずつ土寄せしていき、3回目で植え穴が平らになるようにしましょう。
土寄せの際、葉が枝分かれしている部分「成長点」が埋まらないよう注意してください。
また夏になると、ニラの葉先に花が付きはじめます。
これは「とう立ち」と呼ばれる症状で、栄養が花に分散してしまうため、見つけ次第すみやかに摘み取ってください。
追肥は9月頃に、株の成長促進を狙って行います。追肥量は、1平方メートルあたり化成肥料30gを目安にしてください。
秋までにどれだけ養分を蓄積できたかで翌年の収穫量が変わってくるので、9月の追肥は非常に重要な作業といえます。
7:刈り取り
9月の追肥が効いてくる頃には葉がしっかりと伸びてきます。ただし株を成長させるため、1年目に収穫はしません。
その代わり翌年の収穫に備えて、冬と春先に1回ずつ、計2回の刈り取りを行います。
1回目は、冬になって地上部が枯れたタイミングで、枯れた葉茎を刈り取ってください。
春になるとふたたび伸びてくるため、3月下旬〜4月上旬頃に2回目の刈り取りをしましょう。春先の刈り取りは、青い葉を刈り取るので「捨て刈り」とも呼ばれます。
捨て刈りをした次の葉は、シャキッとした若い葉が勢いよく伸び揃うため、非常に品質のよいニラがたくさん収穫できるのです。
8:収穫
栽培2年目の春、捨て刈りを終え、草丈が20〜25cmほどまで大きくなったら収穫適期です。
地上部を3cmほど残して、ハサミで切って収穫します。
収穫後は必ず1平方メートルあたり30gほどの化成肥料を追肥し、土寄せしておきましょう。すると、ふたたび新しい葉が伸びてきます。
このように収穫→追肥・土寄せを繰り返し、秋まで3〜5回の収穫が可能です。
初収穫以降の年は刈り取りと収穫を繰り返し、2〜3年は同じ場所で収穫を続けましょう。
3年ほど収穫すると、株が疲れて徐々に品質や収量が落ちてきます。株分けによって回復させ、ふたたび数年間収穫できるようになります。
ニラの株分け
ニラは株を分裂させて増殖する「分げつ」をすることで、つぎつぎと収穫できる植物です。
分げつによって株が増えすぎてしまうと、収穫3年目には内部が窮屈になり、品質のよいニラが採れなくなってしまいます。
このような症状を解決するのが「株分け」です。
株分けすることで疲れ切った株を回復させ、ふたたび品質のよいニラの収穫が可能になります。
タイミング的には、収穫3年ごとに株分けを行うのがちょうどよいでしょう。
また、株分けは3月頃に行うのが一般的です。
冬越後すぐの3月頃なら、根に栄養がたっぷりと蓄積されており、株分けをしても傷みにくいからです。
株分けのやり方は、まず葉を地上5cmほどで刈り取り、根ごと掘り起こします。この時、根が少々切れてしまっても問題ありません。
1株ずつに分け、手順「4:土作り」と同様に準備した畑に、2〜3株ずつ植え付ければ株分け完了です。
なお、連作障害を避けるためにも、栽培していた場所とは別の場所に植え替えましょう。
ニラに発生しやすい病気・害虫
ニラは病気・害虫には比較的強い野菜です。ただし栽培期間が長いため、発生してしまうと大きな被害になりかねません。
強いから大丈夫と油断せず、しっかりと対策しておきましょう。
発生しやすい病気は、さび病・軟腐病・乾腐病などが代表的です。
ニラ栽培では、降雨や水はけの悪さによる多湿環境、土壌病原菌による土壌伝染が原因となる病気が多く存在します。
害虫では、アブラムシ・アザミウマ・ヨトウムシなどがよく発生します。
特にアブラムシ被害は大きくなりやすく、ウイルス病の原因にもなるため注意が必要です。
予防方法としては、病気・害虫ともに4つの対策をしっかり行いましょう。
- 発生前からの農薬散布
- 風通し・水はけの改善
- 発病株・雑草の迅速な処理
- 土壌消毒および輪作
病気・害虫は、発生するとあっという間に拡大します。早期発見・初期防除に努め、発生させないのが1番です。
病気や害虫対策としてコンパニオンプランツの記事も紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
まとめ
家庭菜園でもできるニラの栽培方法を解説しました。
ニラ栽培では、たくさん収穫できて難しい工程もないため、家庭菜園初心者からプロの農家まで、幅広くおすすめできる野菜です。
この記事を参考に、ニラ栽培に挑戦してみてください。