アスパラガスの育て方・栽培方法│露地・プランター栽培でも10年収穫可能!

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アスパラガス

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1度植えると10年ほど収穫できるアスパラガス。非常に魅力的な野菜ですが、栽培は難しいイメージがありませんか。

収穫まで時間こそかかりますが、栽培方法をしっかり理解すれば、家庭菜園でも立派なアスパラガスが収穫可能です。

本記事では、アスパラガスの栽培方法や株の増やし方などを、元種苗メーカー勤務の筆者が解説します。

アスパラガスの栽培時期

アスパラガス

アスパラガス栽培は、3月中旬〜4月中旬のほどよく涼しい時期に、種まきからスタートします。
翌年の3月下旬〜4月上旬頃に育てたい畑に移し替え、翌々年の5〜6月が収穫時期です。

基本的に15〜20℃ほどの冷涼な気候を好むため、温暖地で栽培する場合は、約1ヶ月前倒しで栽培スケジュールを組みましょう。

栽培の流れを年次別にまとめました。

  • 栽培1年目:種まき後の育苗管理がメイン
  • 栽培2年目:苗を定植し、根をよく成長させる
  • 栽培3年目:春に1回目の収穫時期を迎える
  • 4年目以降:管理を繰り返し、10年ほど収穫可能

アスパラガス栽培では、収穫まで長い期間を必要とします。

そのため、はやく収穫したい人は種から育てるのではなく、「根株」と呼ばれるアスパラガスの苗を購入するのがおすすめです。

根株はすでに数年間栽培された根であるため、少々値段は張りますが、初年度から収穫することもできます。

アスパラガスの栽培方法

畑

アスパラガスの栽培方法を、ポイントや注意点とともに解説します。手順は7ステップです。

  1. 種まき
  2. 育苗管理
  3. 土作り
  4. 定植
  5. 栽培管理
  6. 追肥
  7. 収穫

なお、今回解説する栽培方法は露地栽培を前提としています。ハウス栽培やプランター栽培などの家庭菜園でも、基本的な手順は変わりません。

家庭菜園初心者でも取り組みやすいプランター栽培についてはこちらの記事で紹介しています。併せて参考にしてみてください。

1:種まき

アスパラガスの種まきは、3月中旬〜4月中旬を目安に行います。

下準備として、アスパラガスの種を丸1日ぬるま湯に浸けておきましょう。この一手間を加えるだけで、発芽率が格段によくなります。

まずは、育苗ポットに腐葉土または育苗培土を詰め、深さ5mm程度のくぼみを作ります。
1ポットに2〜3粒ずつ播種し、軽く土を被せてください。
その後たっぷりと水をあげて、乾燥防止のために新聞紙を覆い被せます。

2〜3週間ほどで発芽するので、それまで乾燥しないよう、ときどき水やりをしましょう。

2:育苗管理

アスパラガスの発芽後は、約1年間ポットのまま育苗し、管理は水やり・刈り取りが主な作業となります。

育苗中は土が乾かないように注意しましょう。特に夏はすぐ乾いてしまうため、こまめな水やりが必要です。

晩秋になると、地上部の葉茎が徐々に枯れてきます。これは、栽培に失敗したわけではなく、刈り取り時期が近いサインです。
12月頃になって9割ほどが枯れたら、葉茎を株元から刈り取ってください。

「地上部を刈り取って大丈夫なの?」と思うかもしれません。しかしアスパラガス栽培で重要な根には、しっかりと養分が蓄積されているため心配ありません。
刈り取り完了後は、春の土作り・定植まで待ちましょう。

3:土作り

土作りは栽培2年目、畑に植え替える3週間前に準備をはじめましょう。

アスパラガスは10年ほどの栽培になるため、環境は適しているか、長期栽培が可能かどうかなどをよく検討し、慎重に栽培場所を選びましょう。

アスパラガスの好む環境をまとめました。

  • pH6.0〜6.5ほど
  • 深く耕している広い畑
  • 水はけ・日当たりがよい

また、根を深くまで伸ばすアスパラガスは、植え替えにも非常に労力がかかります。なるべく植え替えが必要ない、広い場所で栽培するのがおすすめです。

地植え栽培では、深くまで根を張る特性を活かすために、30〜40cmほどの溝を掘ってから元肥を入れます。

1平方メートルあたりの目安施肥量

  • 堆肥:3kg
  • 化成肥料:150g

土を戻してよく耕したら、排水性をよくするために高さ20cmほどの畝を立てます。株間は50cm確保しておきましょう。

家庭菜園などでプランターを使う場合は、大きめのプランターに野菜用培養土を入れ、同じく1平方メートルあたり150gの化成肥料を混ぜれば完了です。

4:定植

定植とは、ポットで育てた苗をと土作りした畑に植え替えることです。

アスパラガスの定植は、栽培2年目の3月下旬〜4月上旬頃に行います。

株間50cmでポットと同じ大きさの植え穴を作り、根を傷つけないように注意して苗を置いてください。

土は被せなくて大丈夫です。根鉢の周囲は隙間なく土で埋めて、軽く押さえましょう。その後、たっぷりと水を上げて定植完了です。

購入苗を使う場合は、根を広げられる大きさ、かつ深さ5cmほどの穴を作ります。
芽は上向き、根は放射状に広げ、土で埋めてください。最後に水をあげて定植完了です。

5:栽培管理

定植後の栽培管理では、倒伏防止を行い、同時に水やり・雑草に注意しましょう。倒伏防止は、定着後の急激な成長によって、葉茎が倒れるの防ぐために行います。

草丈60cmほどまで伸びたら、株の4隅に支柱を立てて、ヒモを張ってください。最終的に1m以上の高さになるため、成長にあわせてヒモの数を増やしてきましょう。

アスパラガスは極端な多湿・乾燥に弱いため、水は多すぎず少なすぎずの調整が必要です。
特に露地栽培であれば、基本的に雨の水分だけでも栽培できます

ただし暑い時期や雨が長期間降らない場合やハウス栽培の場合は、乾燥に注意してください。土の表面が乾いたタイミングでの水やりが適切です。

また、春〜夏にかけて雑草が多く発生するため、こまめな除草も忘れずにしましょう。

6:追肥

定植後の追肥は、夏・冬・春にそれぞれ行います。合計5回の追肥を目安としてください。

  • 5〜7月の成長期に毎月1回ずつ
  • 12月の刈り取り後に1回
  • 越冬後の3月中旬に1回

5〜7月の追肥は、成長期の生育をさらに良くするために、月1回の頻度で行います。1株あたり30gほどの化成肥料を株周囲にまき、ついでに軽く土寄せしておきます。

また梅雨明け後の追肥と同時に、株元にワラを敷いておきましょう。夏場の乾燥対策や雑草防止に効果的です。

12月の追肥は1回のみ、葉茎の刈り取り後に行います。

刈り取り方は育苗時と同様に、9割ほどの葉茎が枯れるタイミングで、株元から刈り取ってください。
刈り取り後、1株あたり50gほどの化成肥料を追肥して、土寄せしましょう。

最後の追肥時期は、越冬後の3月中旬です。

1株あたり化成肥料50gを、株の周りに追肥しましょう。このタイミングに追肥することで、休眠後の芽出しを促します。

7:収穫

栽培3年目の5〜6月から、いよいよアスパラガスの収穫が始まります。

高さ20〜25cmほどで、穂先の締まっているものが収穫適期です。根元からハサミで切って収穫しましょう。

収穫適期を逃して育ちすぎると、穂先が開いて味が悪くなってしまうため、収穫は遅れないよう注意してください。

収穫量は、根の成長に伴って年々増加していきます。
ただし、1回の収穫時期ですべてのアスパラガスを収穫しきると、翌年の収穫量が激減してしまいます。

翌年も安定的な収量をあげるには、完全に収穫しきらず、1株あたり10本程度の芽を残す必要があるのです。

細い芽が出はじめた頃には収穫を止め、様子を見ながら最低10本は確保し、翌年のために株を充実させていきましょう。

以降は栽培管理や追肥、収穫を毎年繰り返します。うまく管理していけば、10年ほど収穫可能です。

アスパラガスの増やし方

たくさんのアスパラガス

アスパラガスは、株分けによって増やせる野菜です。

株分けとは、名前通り1つの株を複数に分けることを指します。
手狭になったプランターの株を分けて、別々のプランターに植え替えたり、長年栽培して疲れてきた株の根詰まりを解消し、株自体を若返らせることも可能です。

ただし、どんなアスパラガスでも株分けできるわけではなく、7〜10年間ほど栽培し、根のやや詰まってきた株が適しています。
小さい株を無理やり株分けすると、弱める原因となるので注意してください。

株分けは、収穫時期・真夏・真冬以外ならいつでもできます。3月頃や9月頃に行うのが一般的です。

  1. アスパラガスを根ごと掘り起こす
  2. 包丁などで2〜3つに切り分ける
  3. 分けた株は、新しく土作りをしておいた場所に植え替え

包丁で分けるときは、分けた株それぞれに3〜4つほどの芽が付いているようにしてください。

同じ場所でも栽培可能です。ただし、連作障害を防ぐためにも、なるべく別の場所に植え替えましょう。

アスパラガスに発生しやすい病気

アスパラガス

アスパラガスは長期で栽培するため、病気には細心の注意を払わなければなりません。
発生しやすい代表的な病気は4種類です。

  • 茎枯病
  • 斑点病
  • 褐斑病
  • 疫病

中でも発生しやすい茎枯病は、降雨などによる多湿や土壌伝染で広がる病気です。
アスパラガスの病気は茎枯病のように、降雨や水はけの悪さによる多湿環境、土壌病原菌が原因で多く発生します。

発生前からの農薬散布や風通し・水はけの改善、発病株のすみやかな処理を心がけ、初期防除に努めましょう。
また土壌伝染病には、作付け前の土壌消毒や泥跳ね防止にワラを敷くのも効果的です。

アスパラガスに発生しやすい害虫

アスパラガス

長期栽培のアスパラガスでは、被害にあった際の影響が大きいため、病気と同じく害虫にも注意が必要です。
発生しやすい害虫は3種類あります。

  • ジュウシホシクビナガハムシ
  • ハスモンヨトウ
  • ヨモギエダシャク

それぞれ新芽や茎葉などを食害する、非常に厄介な害虫です。

基本的には、発生前から農薬散布を行い、害虫の発生・侵入を未然に防ぐことが重要になります。
また、普段から下記4つの対策を行い、被害を最小限に抑えましょう。

  • 見つけ次第テープなどで捕殺
  • 防虫ネットなどで侵入防止
  • 雑草はすみやかに除去
  • 水はけ・風通しの改善

まとめ

アスパラガス栽培では、1〜2年目に根を大きく成長させることが非常に重要です。
うまく栽培できれば10年ほど収穫できるため、毎年採れたて新鮮なアスパラガスが楽しめます。

ぜひこの記事を参考に、アスパラガス栽培に挑戦してみてください。