貸し農園・市民農園を経営する|農地をレンタルしてビジネスをする方法
※当記事はアフィリエイト広告を含みます。
最近では、都市部を中心に、貸し農園や市民農園、レンタル農園が注目を集めています。
貸し農園であれば、自宅に庭やベランダがなくても野菜作りを楽しめます。
さらに、日本には耕作放棄地や遊休農地といった、使われていない農地が増えたことも、貸し農園が注目されている要因です。
使っていない土地を、貸し農園やレンタル農園に変化させれば、収益化のチャンスも増えます。
貸し農園や市民農園を経営することは、簡単ではありません。
しかし、使っていない土地を有効活用すれば、新たなビジネスと収益が生まれます。
今回の記事は、貸し農園の種類から、メリットやデメリット、開設方法まで理解できる内容です。
都内でも利用可能なおすすめのシェア畑・貸し農園についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
目次
貸し農園の種類
貸し農園という名称は、1つの種類ではなく、数種類のことを指している場合があります。
主に4つに分類できるため、違いを確認していきましょう。
体験農園
体験農園は、野菜作り初心者に向いている農園です。
自分で用意する道具などもなく、手軽に野菜作りを体験できます。
ただし、自由度は少なく、講習という形で日程が決められていることが多いため、野菜作り最初の一歩といった形です。
スクール形式と考えてもらえば良いかもしれません。
栽培する野菜の種類も決められれているので、名前の通り、体験ということになります。
運営側としては、野菜作りを教えるサポートが必須です。
貸し農園
今回の本題でもある貸し農園は、便利な設備を備えた初心者向けの農園です。
次に紹介する市民農園と同じように考えられることも多いですが、最近は区別され始めています。
貸し農園は、苗や肥料といった野菜作りに必要なものから、農具までレンタルできるため、手ぶらでも通えます。
また、場所によっては、トイレや休憩所が設置されており、家族でも利用しやすいことが特徴です。
体験農園に近いと考えられるかもしれませんが、貸し農園は、自分の好きな日程で野菜作りを進められます。
他にも、野菜作りを助けてくれる、管理者やアドバイザーが常駐していることも、貸し農園の特徴です。
経営するには、トイレや休憩所の設置、苗肥料の準備も必要になるため、資金はかかります。
市民農園
市民農園は、体験農園や貸し農園よりも、自由度が高くなります。
特徴としては、料金が低い分、全て自分で準備が必要です。
苗や肥料だけではなく、農具も自分で持っていかなければいけません。
また、体験農園や貸し農園のようにアドバイザーはいないため、初心者には向いていないでしょう。
市民農園は、農地を借りるだけの場合が多いので、すでに知識のある、経験者向けの農園です。
運営としても、区画分けと定期的な管理が中心なので、比較的、手間の少ない農園になります。
滞在型農園
滞在型農園は地方に多く、体験農園と宿泊施設がセットになっています。
事前に準備する道具などもなく、家族でも農業体験が可能です。
利用料金は、他の農園と比べても高くなりますが、設備が整っている分、初心者向けの農園になります。
宿泊施設も準備するため、何もない農地からは、かなりの資金が必要です。
簡単ではありませんが、すでにある施設を利用するなど、工夫次第では、面白い農園になります。
農地をレンタルに出すメリット・デメリット
農地を貸し農園や市民農園としてレンタルに出すことは、メリットばかりではありません。
デメリットも理解した上で、農地をレンタルに出しましょう。
メリット
最初にメリットですが、大きくは農地の活用と収益化です。
放置されている農地は、耕作放棄地や遊休農地と呼ばれ、日本では増加傾向にあります。
こういった放置されている農地を、貸し農園や市民農園、体験農園に変えることで、有効活用になります。
もう1つが収益化です。
貸し農園や市民農園は、無料で提供するわけではなく、料金を徴収します。
使っていなかった農地を収益化することで、個人でも法人でも、多少の利益を得られます。
デメリット
農園をレンタルするためには、そのままではなく、手を加える必要があります。
例えば、長年放置されていた農地では、再生するまでに時間も費用もかかります。
また、農園として開設するためには、様々な手続きも必要です。
手続きは、農園の種類や市町村によって異なりますが、簡単ではありません。
農地をレンタルに出す場合には、農地の手入れから手続きまで、想像以上の労力がかかります。
農地バンクで農地レンタル
農地バンクは、農林水産省が行なっている事業の1つです。
使っていない農地を、貸し農園として運営していく方法もありますが、農地バンクも1つの候補に入れてみてください。
農地バンクとは
農地バンクの正式名称は、農地中間管理機構です。
農林水産省が、農地を貸したい人と借りたい人のマッチングを行うために、2014年から運営を開始しました。
農地は、簡単に借りられる土地ではないため、農地バンクは、新規就農者の土地探しにも重要な役割を担っています。
また、農地を管理できなくなった人にとっても、代わりに借主を探してもらえる画期的なシステムです。
ただし、農地を貸し出した場合には、原則として10年以上は戻ってこないため、注意しましょう。
貸し出し途中に自分で農地を活用したくても、期間を満了するまでは利用できません。
しかし、使っていない農地を貸し出せば、管理する手間もなくなり、賃料を得られます。
自分で貸し農園を運営したいのであれば話は別ですが、特にこだわりがなければ、農地バンクの利用も考えましょう。
農地バンクのメリット
農地バンクのメリットは、農地の活用と収益化です。
大きなメリットとしては、貸し農園といったレンタル事業と変わりません。
農地バンクに土地を預けることで、借主を探してもらえます。
また、農地の賃料は、農地バンクから支払われるため、滞納といったリスクも少なくなります。
ただし、自分で貸し農園などを運営するような楽しみはないため、あくまで、農地活用と収益化のみです。
農地バンクのデメリット
農地バンクは、使っていない農地活用ができるため、メリットを多く感じますが、実際にはデメリットもあります。
まず、農地バンクに預けても、借り手が見つからないこともあるということです。
あくまで、農地の仲介を行うだけであって、その地域に借りたい人がいなければ、成立しません。
また、借り手が見つかったとしても、収入になるほどの賃料にならない可能性もあるので、過度な期待は厳禁です。
他にも、農地バンクで土地を貸し出した場合には、最低でも10年間は戻ってこないため、注意しましょう。
貸し出し中に事情があって返して欲しくても、期間を満了するまで農地は返却されません。
10年以上は確実に使わない農地でなければ、農地バンクの利用は難しくなります。
貸し農園の開設方法
いざ、貸し農園を開設するとしても、勝手に農地を使って始められるわけではありません。
主に、農園の種類によって開設方法は異なります。
方法によっては、農業委員会や市町村への届出が必要です。
3つの方法を順番に解説していきます。
市民農園整備促進法
最初に市民農園整備促進法ですが、農機具庫や休憩所等の施設を設置する場合に使う方法です。
どこの農地でも市民農園にできるわけではなく、市民農園区域に指定されている農地のみ、可能となります。
市民農園区域は、市町村が周囲の農地に影響がないと判断した土地です。
トイレや休憩所を設置する貸し農園には、この市民農園整備促進法が合っています。
本来であれば、次の項目で解説する、特定農地貸付法を満たさねばなりません。
しかし、前述した休憩施設などを設置すれば、特定農地貸付法の手続きに必要な、農地転用が不要になります。
申請は、整備運営計画書を市町村へ提出します。
参照:農林水産省
特定農地貸付法
続いて特定農地貸付法です。
農地を区画分けして貸し出す方法なので、市民農園に向いています。
ただし、満たさなければいけない要件が4つあります。
・10a未満の貸し付け
これは、利用者単体への上限であり、市民農園全体ではありません。
10aは、約300坪なので、市民農園で上限を超えることはないでしょう。
・複数人へ貸し付け
市民農園を区分けして、複数人に貸し付ければ問題はありません。
しかし、1人にだけ貸し付けると、特定農地貸付法では認められなくなっています。
・貸し付け期間が5年以内
市民農園を貸し付ける期間は、5年以内と決められています。
市民農園の運営期間ではなく、同じ利用者に対して、5年以上貸し付けてはいけないということです。
・利用者は営利目的の栽培を行なってはいけない
販売自体を禁止するわけではなく、自家消費を超える分に関しては、販売可能です。
また、あくまで利用者に対する決まりなので、運営者が営利目的で市民農園を開設することに問題はありません。
それぞれの要件を満たしても、農業委員会に申請する必要があります。
申請内容によっては、承認を受けられないこともあるので、まずは、申請してみましょう。
参照:農林水産省
農園利用方式
最後は、農園利用方式についてです。
農園利用方式は、法律上の規制がないため、最も簡単な方法になります。
しかし、農地は貸せません。
体験農園のような形が向いていますが、観光農園のように収穫だけは認められておらず、継続的な農作業が必要です。
例えば、農業スクールのような形で定期的に開催するなど、少し工夫がいる方法です。
市町村や農業委員会に対する手続きも必要なく、簡単ではありますが、農園の用途は少なくなります。
貸し農園の経営で気を付けること
貸し農園は魅力の多い経営方法ですが、気をつけておくこともあります。
多数の人が出入りすることや、料金、指導などでトラブルに発展することも考えられます。
貸し農園の経営を上手く進めるためにも、注意点を確認しておきましょう。
シェア畑の利用者が直面するトラブルについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
利用場所の選定
まず、利用場所の選定ですが、いくつか農地の候補があれば、慎重に選びましょう。
例えば、周辺の農業従事者は、多数の人間が行き来することを嫌がるかもしれません。
農業初心者であれば、農地周辺の勝手もわからないため、知らずに迷惑をかけてしまう可能性があります。
また、農園に訪れる人のために、駐車場なども用意したほうが良いでしょう。
駐車場がなければ、路上駐車などで周辺住民の迷惑になってしまいます。
区画の面積
貸し農園や市民農園では、利用者が使う区画を設定します。
ポイントは全てを同じ面積の区画にするのではなく、面積を変化させることです。
利用者によっては、小さい面積で十分な人から、大きな面積で野菜を作りたい人まで様々です。
例えば、貸し農園の多くは、一定の面積ではなく、小さいものから大きい面積まで、複数の区画を設定しています。
区画の面積に応じて利用料金を変えれば、利用しやすく、無駄も少なくなるでしょう。
利用料金
利用料金は、高すぎれば利用者が集まらず、低すぎれば利益になりません。
その土地と似た地域の貸し農園や、市民農園を参考にすることをおすすめします。
また、貸し農園と市民農園などでは、かかっている経費が違うので、参考にする場合は同じタイプの農園を選んでください。
他にも、貸し農園で野菜作りのアドバイザーを常駐させれば、人件費も必要です。
あくまで目安ですが、農地だけ貸し出す市民農園は、サービスが充実している貸し農園と比べて、10分の1ほどの価格帯が多くなっています。
市民農園が年間1万円ほどであれば、貸し農園は10万円ほどが平均です。
技術指導
貸し農園は、多くの企業が初心者に向けたサービスを展開しています。
農作業の技術指導ができるアドバイザーを農園に配属するなど、サービスを充実させましょう。
反対に、農業初心者でなければ、過度なアドバイザーの接触を避ける心遣いも必要です。
貸し農園の難しさ
貸し農園は、放置されている農地を活用する良い方法ですが、少し難しさもあります。
多くはありませんが、3つ解説します。
収益は増やしにくい
貸し農園や市民農園の利用料金は、決して高いものではありません。
都心部などであれば、利用料金が高くても人は集まりますが、それでも極端に高い料金設定だと集客できないでしょう。
地方などであれば、市民農園で年間に数千円から1万円台ほどが相場です。
また、サービスや休憩施設などを充実させる貸し農園では、年間10万円ほどが相場になっています。
広大な農地を所有しているのであれば、十分な収益になりますが、小さな農地では、収益を増やしにくいと考えてください。
ただし、今までになかったサービスなど、付加価値を付けられれば、収益を増やす可能性は十分にあります。
管理の手間がかかる
農地を貸し農園などに変更すると、手続きだけではなく、管理も必要です。
土地だけを貸し出す市民農園でも、農地周辺の管理などは行います。
特に、施設などを設置する貸し農園では、施設のメンテナンスや、管理コストも高くなります。
貸し農園や市民農園は、放置するだけでは成り立たず、定期的な管理が必須です。
成功している貸し農園を参考にする
出典:シェア畑
貸し農園は、料金体系やサービス内容が重要です。
自分で全て考えるよりも、すでに運営している貸し農園を参考にしてみてください。
例えば、レンタル農園で有名なシェア畑は参考になります。
関東と関西に展開していますが、ホームページでは、サービス内容などを確認できます。
農園としての規模は大きいですが、十分、参考になる内容です。
シェア畑についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。是非参考にしてみてください。
まとめ
放置している農地があれば、貸し農園や市民農園として貸し出せます。
手続きや管理など、大変な部分はありますが、農地を有効活用し、収益を増やす可能性もあります。
最近は、自宅の庭など、小さな家庭菜園ではなく、本格的な農作業に憧れている人も多いです。
貸し農園のように、レンタルできる農園は少なくありません。
しかし、独自の方法やシステムを考慮すると、十分に経営していく価値があるでしょう。