8000万円で土地売却した場合の税金はいくらになる?2つの節税方法も紹介
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土地を売却して得た利益にも税金がかかるのは知っていましたか。利益が0円でも発生する税金があるので注意してください。
今回は、8,000万円の土地を売却した場合、いくらの税金がかかるのか説明します。数十万円~数百万円手取りを増やせる可能性がある、おすすめの節税方法も紹介するので参考にしてください。
こちらの記事では、土地売却の方法を解説していますので、あわせて参考にしてください。
目次
8,000万円で土地を売却した際にかかる4つの税金
8,000万円の土地を売却すると税金がかかります。しかし、儲けが出た場合にかかる税金と儲けに関係なくかかる税金の2つがあるので注意してください。土地の売却でかかる4つの税金を説明します。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、家や土地などの不動産の売却益に対してかかる税金です。具体的には、所得税と住民税がかかります。譲渡所得税の税額は分離課税方式で算出します。分離課税方式とは、他の所得と切り離して税額を計算する方法です。
住民税
住民税とは、前年の所得に対して課税される税金です。譲渡所得税と同様に、利益が生まれると発生します。住民税の徴収は1月1日時点で住民票がある市区町村からされます。市区町村が税額を教えてくれるので、自分で計算する必要はありません。
給与所得を得ている人は、毎年6月から12か月間、住民税が給料から天引きされます。給与所得を得ていない人は、毎年5~6月に送られてくる納付書を使って納税しましょう。
印紙税
印紙税とは、契約書に貼りつける印紙代です。印紙を契約書に貼付すれば、納税したとみなされます。印紙税の納税を忘れると税務署から指摘されます。
場合によっては多額の追徴課税がなされるでしょう。印紙税は土地の契約価格で決まります。そのため、利益が発生していなくても納税の義務が生まれます。
復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興資金を賄うために作られた税金です。譲渡所得税・住民税と同様に、利益を得たら納税の義務が生まれます。
復興特別所得税額は、所得税額に2.1%を乗じた金額です。徴収される期間は、平成25年~令和19年です。
こちらの記事では、農地の売却にかかる税金を解説していますので、あわせて参考にしてください。
「所得税」と「住民税」は譲渡所得に応じて変動する
所得税と住民税の金額を知りたい場合は、譲渡所得を求める必要があります。ふたつの税金は譲渡所得の金額に対してかかるからです。譲渡所得の求め方と税率が決まる仕組みを説明します。
譲渡所得とは?
譲渡所得とは、資産性のあるものを譲渡、または売却した際に生じる所得のことです。しかし、生活用動産の譲渡による所得や財産を相続税の物納に充てた場合の所得など、一部譲渡所得の対象外もあります。
一般的に譲渡所得の対象は、土地や建物、株式や取引慣行のある借家権などです。詳しく知りたい人は、国税庁の“譲渡所得の対象となる資産と課税方法”をチェックしてください。
譲渡所得の計算方法(購入額がわかっている場合)
譲渡所得を求めたい場合は、以下の計算式を使いましょう。
- 譲渡所得=土地の譲渡・売却価格-(取得費用+譲渡・売却費用)
取得費用には以下のようなものが含まれます。
- 購入費・建築費
- 印紙税や登録免許税など、購入時にかかった税金
- 仲介手数料・司法書士報酬
- 測量費・整地費・建物解体費・設備費・改良費
- 借入金利子
譲渡・売却費用には以下のようなものが含まれます。
- 仲介手数料・印紙税・違約金
- 建物の解体費・測量品
- 立退料・借地権の名義書換料
たとえば土地の売却価格が8,000万円で取得費用が6,000万円、譲渡・売却費用が500万円だとしましょう。この場合、以下の計算式が成り立ちます。
- 8,000万円-(6,000万円+500万円)=1,500万円
今回の例だと、譲渡所得は1,500万円です。
譲渡所得の計算方法(購入額がわからない場合)
土地の購入額が分からなくても、譲渡所得は求められます。その場合、まずは概算取得費を算出しましょう。概算取得費は以下の計算式で求められます。
- 概算取得費=土地または家の売却価格×5%
土地が8,000万円で売れた場合の概算取得費は1,600万円です。この1,600万円を土地の購入費とみなして計算すれば、譲渡所得を求められます。
所得税と住民税の税率は「土地の所有期間」で決まる
譲渡所得が分かったら、後はそれに税率をかけるだけで納める税額を求められます。しかし、所得税と住民税の税率は以下のように土地の所有期間で変動します。間違わないように注意しましょう。
土地の所有期間が5年以下の場合 | 土地の所有期間が5年超の場合 | |
---|---|---|
所得税 | 0.3063 | 0.15315 |
住民税 | 0.09 | 0.05 |
合計 | 0.3963 | 0.20315 |
土地の所有期間が5年以下だと短期譲渡所得の税率、5年超だと長期譲渡所得の税率が適用されます。所有期間は、売却する年の1月1日時点の年数で判断されます。たとえば、2017年の3月1日に取得した土地を2022年の3月1日に売却するとしましょう。
単純に期間だけ見ると5年所有しています。しかし、適用されるのは短期譲渡所得の税率です。2017年3月1日~2022年1月1日の期間で見られるからです。そのため、所有期間は4年10か月と判断されます。
特別控除を適用できるケースもある
土地を売却するとき、さまざまな控除を受けられる場合があります。3,000万円分控除できる制度もあるので、活用すれば数十万円~数百万円の節税が期待できるでしょう。活用したい控除の種類と条件を説明します。
1,000万円の特別控除
一定期間内に得た土地を売却する場合、1,000万円の特別控除を受けられるかもしれません。条件は以下の通りです。
- 平成21年1月1日~平成22年12月31日に購入した土地を売却する
- 平成21年に購入した土地は平成27年以降、平成22年に購入した土地は平成28年以降に売却する
- 内縁関係にある人から取得した土地ではない
- 交換・贈与・相続・遺贈・代物弁済などで取得した土地ではない
- 他の譲渡所得の特例を受けていない
居住用財産の3,000万円特別控除
マイホームを売却する人は、居住用財産の3,000万円特別控除を受けられるかもしれません。条件は以下の通りです。
- 所有者が住んでいた家、または家+土地を売却する
- 現在住んでいない場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却する
- 家を取り壊す場合、取り壊し日から1年以内に土地譲渡契約を締結し、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却する
居住用財産の3,000万円特別控除は、土地の所有期間に関わらず適用できます。
相続空き家の3000万円特別控除
家屋を相続によって得た場合、相続用の3,000万円特別控除を受けられるかもしれません。条件は以下の通りです。
- 売却する本人が相続・遺贈などで被相続人居住用家屋および土地を取得した
- 相続開始直前まで亡くなった人が住んでいた
- 譲渡価格が1億円以下
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された
- 相続開始日から3年が経過する12月31日までに売却する
こちらの記事では、農地を相続した場合に必要なことをまとめていますので、あわせて参考にしてください。
【シミュレーション】8,000万円の土地を売却した場合の税金を計算してみた
取得費や譲渡費用なども決めて、8,000万円の土地を売却すると具体的にいくらの税金がかかるのかシミュレーションしてみます。シミュレーションで使う条件は以下の通りです。
- 土地の売却価格:8,000万円
- 売却時の諸費用:320万円
- 土地の取得額:4,000万円
- 土地取得時の諸費用:520万円
土地の所有期間が5年以下の場合
まずは、8,000万円の土地を売却した場合の譲渡所得を求めましょう。
- 8,000万円-(320万円+4,000万円+520万円)=3,160万円
譲渡所得は3,160万円です。次は税率をかけましょう。土地の所有期間が5年以下なので、かける税率は短期譲渡所得の税率です。
- 3,160万円×39.63%=1,252万3,080円
今回の例だと、1,252万3,080円の税金がかかります。
土地の所有期間が5年以上の場合
まずは、譲渡所得を求めます。
- 8,000万円-(320万円+4,000万円+520万円)=3,160万円
譲渡所得は3,160万円です。次は税率をかけましょう。土地の所有期間が5年以上なので、かける税率は長期譲渡所得の税率です。
- 3,160万円×20.315%=641万9,540円
今回の例だと、641万9,540円の税金がかかります。
3,000万円特別控除が適用される場合
特別控除を適用させる場合も、まずは譲渡所得を求めてください。
- 8,000万円-(320万円+4,000万円+520万円)=3,160万円
譲渡所得は3,160万円です。次は譲渡所得から特別控除の金額を引きます。
- 3,160万円-3,000万円=160万円
最後に税率をかけましょう。
- 長期譲渡所得の場合:160万円×20.315%=32万5,040円
- 短期譲渡所得の場合:160万円×39.63%=63万4,080円
土地の所有期間が5年超であれば32万5,040円、5年以下であれば63万4,080円の税金がかかります。
1,000万円特別控除が適用される場合
まずは、譲渡所得を求めましょう。
- 8,000万円-(320万円+4,000万円+520万円)=3,160万円
譲渡所得は3,160万円です。次は譲渡所得から特別控除の金額を引きます。
- 3,160万円-1,000万円=2,160万円
最後に税率をかけてください。
- 長期譲渡所得の場合:2,160万円×20.315%=438万8,040円
- 短期譲渡所得の場合:2,160万円×39.63%=856万80円
土地の所有期間が5年超であれば438万8,040円、5年以下であれば856万80円の税金がかかります。
8,000万円の土地を売却した際の印紙税
8,000万円の土地を売却した場合、6万円の印紙税を納める必要があります。
不動産の譲渡契約書のうち、記載金額が10万円超で、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものは軽減税率が適用されます。軽減税率が適用される場合の印紙税は3万円です。
こちらの記事では、1,000万円で土地売却した場合の税金を解説していますので、あわせて参考にしてください。
「節税」で売却時の手取りを増やす
土地を売却したら税金を支払わなければいけません。しかし、多くの税金を支払うと手取りはあまり残りません。少しでも手取りを多くしたいと考えている人は、節税を行いましょう。おすすめの節税方法を紹介します。
節税できるのは「所得税」と「住民税」
所得税と住民税の税額は譲渡所得の金額によって決まります。そのため、節税して譲渡所得を低くすれば、納めるべき税額も少なくなります。一方で印紙税は減らせません。印紙税は、土地の契約価格に対してかかるからです。
節税方法2選
数ある中でもおすすめできる節税方法は、“長期譲渡所得の税率を使う方法”と“特別控除を使う方法”です。
所有期間が5年を超えてから売る
譲渡所得には、長期譲渡所得税率と短期譲渡所得税率、いずれかの税率が適用されます。ふたつの違いは税率の高さです。
短期譲渡所得税率は39.63%ですが、長期譲渡所得税率は20.315%です。約2倍の差があります。条件が大きく変わらないのであれば、長期譲渡所得の税率を適用させた方が手取りは多くなります。
特別控除を活用する
条件を満たせば、数千万円の特別控除を利用できます。すべての条件が同じな場合、控除の有無で支払う税額は以下のように変わります。
- 3,000万円控除あり:(8,000万円-3,000万円)×20.315%=1,015万7,500円
- 3,000万円控除なし:8,000万円×20.315%=1,625万2,000円
税率が低い長期譲渡所得税率を適用させました。それでも約600万円の差が生まれます。特別控除を使うのにお金はかかりません。そのため、適用できる控除は積極的に活用しましょう。
まとめ
今回は、8,000万円の土地を売却した場合、いくらの税金がかかるのか説明しました。土地の売却価格が8,000万円だと数百万円の税金がかかります。場合によっては、高級車が買えるほどの税金が発生します。
少しでも手取りを増やしたい人は、節税を行ってください。長期譲渡所得税率を適用させたり特別控除を活用したりすれば、数十万円~数百万円も手取りが増える場合があります。