園芸支柱とは?|立てる意味や種類、立て方のコツを徹底解説!【プランターOK】
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野菜を健康的に育てるサポート役を担う「園芸支柱」。大きな実がなる野菜や、ツルが伸びる野菜の栽培には欠かせない資材です。
しかし支柱の重要性や立て方のコツを知らないからなんとなくで立てているという人も多いのではないでしょうか?
本記事では、園芸支柱を立てる目的や選び方、具体的な立て方やコツなどを、元種苗メーカー勤務の筆者が徹底的に解説します。
目次
園芸支柱とは?
園芸支柱とは、植物の生育をサポートするために使われる支柱です。
さまざまな種類の支柱がありますが、もっとも基本的な形状はまっすぐな棒状の直線支柱です。
主に実が大きくなる、またはツルが伸びる野菜を支えるために使われます。プロの生産者はもちろん、家庭菜園やプランター栽培でも必須級のアイテムです。
ここでは、園芸支柱の基礎知識となる3点を解説します。
- 支柱を立てる意味・目的
- 支柱を立てる時期・タイミング
- 植物に合う支柱を選ぶポイント
支柱を立てる意味・目的
園芸支柱を立てるのには伸びたツルや実の重さを支えるため以外にも、意味や目的があります。
【園芸支柱を立てる意味・目的】
- 風通しをよくして、病気・害虫の被害を減らす
- 日当たりをよくして、生長促進、収量・品質アップにつながる
- 野菜の管理、収穫などの作業が格段に楽になる
様々なメリットがありますが、もし支柱を立てずに栽培したらどうなるでしょうか?
まず、ツルが密生して好き勝手に伸び、風通しや日当たりが悪くなります。その結果、病気・害虫被害が多発。
農薬で対策しても、薬剤が届かない場所には効果がありません。
日当たりも悪いので生長は遅く、実の収量・品質も低下、そのうえ普段の管理や収穫作業にも大変な時間と苦労がかかるでしょう。
一見すると「支柱を立てるだけ」ですが、栽培の成功・失敗を左右するほど重要な工程なのです。
支柱を立てる時期・タイミング
支柱立てには「仮支柱」と「本支柱」の2つのタイミングがあります。
仮支柱とは、まだ活着していない植え付け直後の苗を補助するための支柱です。長さ30cmほどの直線支柱に、苗を固定して支えます。
植え付けから2週間ほど経過して活着したら、徐々に本支柱へと移行していきましょう。
本支柱は、活着から栽培終了までの生育を助けるための支柱です。植物や栽培規模に合わせて、支柱の種類や立て方を変えていく必要があります。
本支柱を立てるタイミングは「植え付けの邪魔でなければ植え付け前、邪魔になるなら仮支柱後」と覚えておきましょう。
植物に合う支柱を選ぶポイント
支柱選びで重要なポイントは、支柱の「長さ」と「太さ」です。野菜の草丈や、栽培場所に合った長さの支柱を選びましょう。
【各野菜に適した支柱】
太さ(mm) | 11 | 16 | 20 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
長さ(cm) | 90 | 120 | 150 | 120 | 150 | 180 | 210 | 120 | 150 | 180 | 210 |
ナス | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||
ピーマン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||||||
トマト | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||||||
ミニトマト | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||||
キュウリ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||||||
ゴーヤ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
ミニカボチャ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||||||
小玉メロン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||||||
小玉スイカ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||||||
エンドウ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||||
インゲン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
上記よりも長さ・太さのある支柱を取り扱っているお店もあります。長すぎる分には問題ないため、迷った際は長めの支柱を選ぶのがおすすめです。
ただし小さなプランター栽培の場合は、長すぎたり太すぎたりすると栽培の邪魔になりかねません。細く短いものを選び、野菜も支柱の高さに合わせて栽培しましょう。
園芸支柱の種類
園芸支柱にはまっすぐなもの以外にもさまざまな種類があり、形状や用途が大きく異なります。中でも代表的な3種類を紹介します。
- 直線支柱(イボ竹)
- アーチ支柱
- トンネル支柱
直線支柱(イボ竹)
直線支柱は、まっすぐな棒状のもっとも基本的な園芸支柱です。表面に突起がついているため、「イボ竹」と呼ばれています。
イボがないものもありますがヒモがずれにくく、ツルも絡まりやすいイボ竹のほうが便利でおすすめです。
1本をまっすぐ挿したり、複数本やネットなどと組み合わせたりと、さまざまな植物の栽培に応用できます。
アーチ支柱
アーチ支柱は、名前のとおりアーチ状の園芸支柱です。ネットやビニールシートと合わせて使います。
- 菜園ネットを張ってキュウリなどをネット栽培
- ビニールシートを張ってトマトの雨よけ栽培
- 防鳥ネットを張って鳥害防止
1本で利用できるものから、ジョイントで支柱同士をつなげて使う、大型のパイプ支柱などもあります。
トンネル支柱
トンネル支柱は、高さがないトンネル状の園芸支柱です。基本的には、ビニールシートと合わせてトンネル栽培に使われます。
稲・野菜などの生育初期の苗や、地這い栽培の野菜にトンネルをかけることで、効果が期待できます。
- 防寒
- 保湿
- 雨よけ
- 害虫防止
トンネルで栽培すれば、さまざまな野菜の栽培・収穫が、秋冬〜春の寒い時期でも楽しめます。
園芸支柱の立て方4種類【プランターもOK】
支柱の立て方にはさまざまな種類があり、代表的なのは4種類です。
- 直立型
- 合掌型
- あんどん型
- ピラミッド型
上記4種類は、すべて直線支柱を使った立て方になります。
植物や栽培場所によって支柱の長さ・太さは変える必要がありますが、立て方は基本的に同じです。プランターでも、もちろんOKです。
1:直立型
直立型は支柱をまっすぐに立てる、もっとも基本的な立て方です。トマトやピーマンなど、1本仕立てで栽培する野菜に適しています。
強度はやや心もとないように見えますが、補強次第では十分頑丈に組むことが可能です。
【直立型の組み立て手順】
- 1株につき1本の支柱を株元にまっすぐ挿す
- 立てた支柱上部に横方向の支柱を当てて固定
- 両端または中央部に支柱を斜めに固定
横向きに支柱を数本追加して「交差組み型」にしたり、菜園ネットを張ってキュウリやエンドウ、インゲンなどを栽培したりと、さまざまな野菜栽培に応用できます。
【直立型が適した野菜】
- トマト
- ピーマン
- ナス
- キュウリ
- インゲンなど
2:合掌型
合掌型は、直立型と並ぶ基本の立て方で、お手軽ながら非常に高い強度が特徴です。
実が重くなる野菜はもちろん、風に強いため、ぐらつきを嫌うゴーヤやキュウリ、インゲンなどの栽培にも適しています。
【合掌型の組み立て手順】
- 2本の支柱が交差するように斜めに挿して固定
- 交差した点に横向きの支柱を当てて補強
両面に菜園ネットを張ると、小玉メロンや小玉スイカ、ミニカボチャなども栽培可能です。直立型にも劣らない汎用的な使い方ができます。
【合掌型が適した野菜】
- トマト
- ミニカボチャ
- 小玉メロン
- ゴーヤ
- インゲンなど
3:あんどん型
あんどん型は別名「やぐら型」とも呼ばれ、支柱とヒモで苗を囲む立て方です。小学生の朝顔栽培などは、このあんどん型を使っています。
強度は申し分なく、実が重いトマトや風に弱いインゲンなどの栽培に適しています。
【あんどん型の組み立て手順】
- 野菜を囲むように支柱をまっすぐ挿す
- 支柱を囲むようにヒモを結ぶ(30cm間隔で3〜5段)
- 支柱上部に横方向の支柱を当てて固定
③でしっかりと支柱で補強すれば、ミニカボチャや小玉メロン、小玉スイカなどの栽培も可能です。
【あんどん型が適した野菜】
- トマト
- ミニカボチャ
- 小玉スイカ
- エンドウ
- インゲンなど
4:ピラミッド型
ピラミッド型は、苗1株を3本の支柱でピラミッド型に囲む立て方です。合掌型のミニバージョンと考えると分かりやすいでしょう。
手軽で安定性も高く、株数が少ない場合や小さな畑・プランターで栽培する場合におすすめです。
【ピラミッド型の組み立て手順】
- 支柱3本が上部で交差するように斜めに挿す
- 交差した点をヒモで固定
なお、交差する位置を苗の10cm上にすると「クロス型」となり、ナス栽培に利用できます。
【ピラミッド型が適した野菜】
- トマト
- ミニトマト
- キュウリ
- エンドウ
- インゲンなど
頑丈に支柱を立てるコツ
支柱立てにおいて何より大切なことは、倒れない・落ちないように頑丈に組むことです。作業中に倒伏したら、苗はおろか、作業中のあなた自身にも危険が及びます。
コツをしっかり理解して、頑丈な支柱を組み立てましょう。
- 尖っているほうを深く挿し込む
- 風の影響を意識して補強する
- 交差部分のヒモを頑丈に結ぶ
- 植物と支柱はゆるめに固定する(誘引)
尖っている方を深く挿し込む
支柱は上下の向きが決まっており、十字のキャップや丸みがあるほうが上で、尖っているほうが下です。
支柱が挿しにくいと感じるなら、方向が間違っているかもしれません。向きをよく確認して、尖っているほうを挿しましょう。マルチの上からでもスッと挿せます。
支柱立ての際には、尖っているほうを下にして、地中20〜30cmほどまで深くまっすぐ挿し込んでください。挿し込みが甘いと風で倒れてしまうので、なるべく深めを心がけましょう。
風の影響を意識して補強する
基本的には支柱の数が少ないほど不安定になるため、風で倒れないような工夫が必要になります。
補強のやり方にはさまざまな方法がありますが、支柱を斜めや横向きに固定するのが1番簡単かつ確実な方法です。
形にこだわる必要はなく、倒れなければなんでも大丈夫です。
支柱をよく観察し「どこが風に弱そうか、どこを補強すれば倒れないか」と仮説を立てて、あなたなりに工夫してみてください。
交差部分のヒモを頑丈に結ぶ
支柱立てのコツでもっとも重要なのが、交差・連結部分を頑丈に結ぶことです。
もし支柱が崩れたら苗だけでなく、あなた自身にも危険が及ぶため、頑丈な結び方をしっかり覚えておきましょう。
なお、交差・連結部分を結ぶときは、PPヒモや誘引ヒモを使います。
【頑丈な結び方】
- 交差した支柱にヒモを2〜3周巻きつけ、キツく絞る
- 別の角度からも2〜3周巻きつけ、キツく絞る
- 最後に片蝶結びまたは蝶々結びで縛って完成
1つ注意点として、栽培面積が広い場合はヒモを結ぶだけでも大変な時間・労力がかかります。
その場合は、支柱の交差・連結部分をがっちり固定するための留め具を買いましょう。ヒモで結ぶよりもはるかに簡単、そして効率的に固定できます。
植物と支柱はゆるめに固定する(誘引)
支柱に野菜を固定していく作業を「誘引」と呼びます。誘引の際は支柱の結び方とは逆に、ゆるめに固定することがポイントです。
植物がずれないようキツく誘引してしまうと、太く生長した茎に食い込んだり生長点を傷つけたりして、野菜の生育を阻害してしまうからです。
ヒモで結ぶ場合は支柱と茎で8の字を書くように結ぶと、ずれ落ちることなく誘引できます。
植え付け本数が多い場合は、誘引がはかどる便利道具「テープナー」を使いましょう。1本1本ヒモで結ぶよりも、圧倒的なスピードで作業を進められます。
まとめ
園芸支柱を立てる目的や選び方、具体的な立て方やコツなどを解説しました。
支柱は立てるだけで病害虫被害が減り、収量・品質アップ、さらに作業も楽になる一石四鳥のアイテムです。
支柱に対する理解を深め、よりよい野菜を栽培してください。