赤玉土とは?鹿沼土との違いや基本的な使い方を知って利用する

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赤玉土

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赤玉土は、ホームセンターや園芸店で手に入る有名な土の1つです。家庭菜園やガーデニングを始める場合、使い勝手の良さから赤玉土が選ばれることが多いでしょう。

基本の土としてだけではなく、種から育てる育苗や清潔さが必要な挿し木にも向いています。しかし万能のように考えられる赤玉土にも特徴や使い方があり、全ての用途に向いているわけではありません。

赤玉土の特徴や使い方、向いている用途を知ることで、より植物を育てやすくなります。「赤玉土の使い方がわからない」「家庭菜園を始める」という方は、今回の記事を参考にしてみてください。

赤玉土とは

赤玉土

赤玉土は、火山灰が蓄積してできた土壌から採取された土です。関東ローム層にあり、他にも鹿沼土が同じ場所から採取されています。

採取した赤土を乾燥させ、ふるいにかけてから粒の大きさごとに分けられ、赤玉土として販売されます。

赤玉土は全体的にバランスのよい土なので基本用土として使われることも多く、初心者でも安心して使える土と言えるでしょう。

赤玉土の特徴

土壌

赤玉土は非常に優れた土です。しかし特徴を理解していない場合、使いやすい赤玉土でも植物の育成などに失敗する可能性もあります。

赤玉土の特徴を理解することで、より使いやすくなるでしょう。

 

通気性や保水性のバランスがよい

植物を育てる上で、土の通気性などのバランスは重要です。赤玉土は通気性や保水性だけではなく、排水性も一般的な土より優れています。

全体のバランスが非常に良いため、初心者でも失敗が少なく家庭菜園などを楽しめます。また、肥料の成分を保持する保肥性にも優れていることも大きな特徴です。

 

基本用土として使用できる

赤玉土は全体的にバランスのよい土なので、植物を育てる際の基本用土として利用できます。

赤玉土には栄養分が含まれておらず、単体での利用だと植物は育ちにくくなります。そのため、基本的には他の土との組み合わせが必要です。

 

無菌に近い土

赤玉土は無機なので、虫や菌の発生がほとんどありません

有機を含んでいる場合には、有機をエサにする虫が土について植物の生育を邪魔したり、菌を繁殖させたりしてしまいます。

虫の発生を抑えられると、室内での観葉植物なども育てやすくなります。

pHは弱酸性

pHと呼ばれる、土の性質を測る数値があります。植物に合ったpH値に土を合わせることが重要であり、大きくずれた場合には生育不良の可能性が高くなります。

  • 多くの植物が好むpH値:6.0から6.5ほどの弱酸性
  • 赤玉土のpH:5.5から6.5ほど

赤玉土は植物が好むpH数と一致しています。赤玉土を使うことで、ほとんどの植物は育てやすくなるでしょう。

 

粒の大きさで用途が変わる

赤玉土は完全な土ではなく火山灰が元になっているため、基本的には粒状の形をしています。粒が崩れることで様々な大きさに変化します。

粒の大きさは大きく4つほどに分類されており、それぞれ大きさによって用途が異なります。赤玉土は粒の大きさごとに分けられて販売しているため、用途を決めてから購入しましょう。

赤玉土の種類

畑とシャベル

赤玉土の種類は、粒の大きさによって変化します。赤玉土が何種類もあるわけではなく、成分は同じで粒の大きさが異なると考えてください。

それぞれの大きさで異なる特徴を解説します。

 

大粒

赤玉土の中で一番大きな粒で、1cmから2cmほどです。大粒のみを使用した場合には、隙間が大きくなるため、排水性が非常に高くなります。

もともと赤玉土は排水性に優れていますが、大粒は中の空洞が多いため、より排水性に優れていることが特徴です。

大粒は土というよりも軽石に近いため、利用方法も鉢植えの底に敷く底石などが向いています。

 

中粒

中粒は1cmほどの大きさです。単体の利用であれば底石などが向いています。

大きめの果樹を鉢植えする際にも使われますが、単体ではなく小粒や他の土と混ぜ合わせます。中粒を混ぜることで排水性の向上が見込めるため、根腐れなどを懸念している場合にいい方法です。

 

小粒

小粒は5mm前後の大きさです。保水性が大粒や中粒よりも高くなり、排水性も優れています。

赤玉土のいい特徴をバランスよく持っており、土に近い大きさからも使いやすいでしょう。中粒以上ほどの排水性は持っていないため、程よく保水させたい場面では有効な大きさです。

 

細粒・微塵

細粒と微塵は最も小さな赤玉土で、大きさは一般的な土と変わりません。他の大きさと比べると排水性が低く保水性が高くなっています。

単体で利用した場合には、根腐れに注意が必要です。ただし、水を切らしたくない育苗などでは、保水性の高さが有効になります。

他の大きさと混ぜることで、程よい排水性や保水性を得られます。

 

改良された「硬質赤玉土」

赤玉土を高温で焼き、改良したものが「硬質赤玉土」です。赤玉土のデメリットの1つは、粒が潰れやすい点です。

粒が潰れると、本来期待していた排水性や通気性が低下してしまいます。硬質赤玉土は硬度が高くなっているため、粒が潰れにくくなっています。

赤玉土の特徴である排水性などを長持ちさせたい場合には、硬質赤玉土の利用も1つの方法です。

赤玉土の使い方

赤玉土の使い方

赤玉土の使い方は難しくありません。基本的な使い方を紹介します。

 

基本用土として使う

赤玉土はpH値もほとんどの植物に適しているため、基本用土としての利用に向いています。ただし、赤玉土を単体で利用するのではなく、他の土との配合が必要です。

【基本的な用土の配合】

  • 赤玉土7:腐葉土3

粒の大きさは育てる植物に合わせます。排水性を高めたいのであれば小粒以上を一緒に混ぜましょう。

 

栄養分を配合する

赤玉土は基本用土になりますが、無機の土になるため栄養分を含んでいません。

有機肥料や化学肥料を配合することで、植物も成長しやすくなります。

種から育てる育苗などでは、セルトレーで赤玉土のみを利用することもあります。ただし、ある程度成長した後は栄養分を含んだ土への植え替えが必要です。

アクアリウムの底砂にも使える

赤玉土は植物の栽培のみではなく、水槽などアクアリウムの底砂としても利用できます。見た目だけの問題ではなく、弱酸性の性質を持った赤玉土の利用で、水質が酸性に近くなります。

酸性に近い水質は藻の発生を抑えるため、水質の向上にもつながり、メダカなどの飼育にも最適です。ただし、赤玉土をそのまま使った場合には水が濁ってしまうため注意しましょう。

まずは濁りの原因になる微塵をふるいで取り除き、後は濁りがなくなるまで水洗いを繰り返します。

赤玉土と鹿沼土の違い

畑とクワ

赤玉土と同じ関東ローム層で採取されている、「鹿沼土」があります。この2つは同じ地層で採取されているため特徴も似ており、どちらも使いやすい土です。

しかし似てはいるものの、同じ使い方はできません。それぞれの違いを解説します。

 

pH値の違い

  • 赤玉土のpH:5.5から6.5ほど
  • 鹿沼土のpH:4.0から5.0ほど

赤玉土は弱酸性ですが、鹿沼土は強い酸性になっています。植物の多くは弱酸性のpH値を好むため、鹿沼土では酸性が強すぎることが多いです。

また鹿沼土は、赤玉土と同じように栄養分を含んでいません。鹿沼土を土作りの中心にするのではなく、他の土を酸性に傾けるために使用することが多くなっています。

ただし無菌状態が必要な育苗時や挿し木を行う際には、鹿沼土のみを使用することもあります。

その際は長く同じ場所で植え続けるのではなく、安定したら植え替えるようにしましょう。植え替えが遅くなれば、酸性が強すぎる影響で生育不良を起こす可能性が高くなります。

 

保肥力の違い

鹿沼土は土よりも軽石に近いため、土のように他の成分を保持する力に欠けています。一方で赤玉土は鹿沼土よりも保肥力に優れており、栄養分を長く土の中に保持しておけます。

鹿沼土は全体のサポートに近く、赤玉土は中心的な役割であると考えるといいでしょう。

 

乾いた時の色の違い

乾いているとき 水分を含んでいるとき
鹿沼土 白っぽい色 黄色
赤玉土 赤めの色 あまり変化しない

赤玉土は赤色をしており、乾いていても水を含んでいても色に大差はありません。反対に鹿沼土は、乾いているときと水を含んでいるときの色がはっきりと変化します。

見た目で水を含んでいるかが判断できるため、水やりのタイミングがわかりやすいのも鹿沼土の特徴です。

赤玉土が向いている用途

新芽

赤玉土が使える用途は多いですが、中でも向いている用途を解説します。

 

混ぜることでほとんどの植物に使える

赤玉土は栄養分を含んでいない無機の土なので、単体での利用はおすすめしません。しかし、腐葉土やバーミキュライトを混ぜるとほとんどの植物に使えるようになります。

赤玉土は土作りの基本になっており、初心者にも向いている土です。

 

挿し木や挿し芽

赤玉土は無菌に近いため、菌や虫による植物の被害を最小限に抑えられます。そのため、清潔に保つ必要がある挿し木や挿し芽に向いています。

ただし他の有機を含む土や肥料と混ぜた場合には、菌や虫も発生するため注意が必要です。挿し木などで使用する場合には、赤玉土のみを使い、安定したら栄養分を含んだ土へ植え替えましょう。

 

観葉植物や多肉植物

観葉植物や多肉植物は、室内で育てることの多い植物です。しかし室内でも虫が繁殖してしまうことはあり、悩みになっている人も多いでしょう。

赤玉土は無機で無菌に近いため、虫の発生を抑えられます。全てを赤玉土にすると栄養が足りないため、土の表面に赤玉土を敷くことがおすすめです。

虫のエサとなる有機が土の表面になければ、虫が発生することも少なくなります。

赤玉土の注意点

畑

優れた特徴を持つ赤玉土ですが、問題がないわけではありません。赤玉土を使う上での注意点を解説します。

 

カビに注意

赤玉土にカビが生えるのは、主に観葉植物を室内で育てているときに起こります。赤玉土は排水性に優れた土ですが、小粒や細粒、微塵になってくると保水性が高くなります。

湿度が高い室内であれば水はけが悪くなり、カビが生えてしまうことも少なくありません。カビを生えさせないためには、赤玉土の小粒以上を組み合わせたり、水やりの頻度を調整しましょう。

鉢の底に大粒の赤玉土を敷くと排水性が高くなり、カビを発生させないためにも有効な方法です。

 

粒のつぶれに注意

赤玉土は大粒になるほど軽石のような形状をしており、高い排水性や通気性を発揮します。しかし石ではないため、使用していくうちに形はつぶれてしまい、細粒や微塵になります。

細粒や微塵は保水性が高く、反対に排水性は高くありません。排水性を期待して赤玉土を使用していた場合、年数が経過すると、思っている効果を発揮していない場合があります。

赤玉土の排水性が必要な場合は、定期的な交換が必要です。また、少し価格は高くなりますが、粒がつぶれにくい硬質赤玉土の利用も検討してみてください。

まとめ

赤玉土は、様々な用途で使える基本用土です。ただし赤玉土のみでは栄養分を含んでいないため、腐葉土や有機肥料と組み合わせてください。

挿し木や挿し芽は赤玉土のみ、育成には他の土などと組み合わせるといった使い分けをしましょう。また、粒の大きさによっても用途が変わってくるため、どのような用途で使用するかを明確にしておく必要があります。

赤玉土は他の土と組み合わせることで簡単に利用できるため、初心者にもおすすめの土です。今回の記事を参考に、赤玉土を使ってみてください。