新規就農を福島市&センパイ農家が全面サポート。「あぐりっしゅサポートパッケージ」とは
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農林水産省が行った「令和3年新規就農者調査 」によると、2021年の新規就農者数は5万2,290人。これは前年度より2.7%少なくなっています。農業人口の減少を食い止めるために、新規就農者を安定的に確保していくことは喫緊の課題です。行政はさまざまな工夫を凝らして、青年層の就農を後押ししようとしています。
この記事で紹介する福島市の「あぐりっしゅサポートパッケージ」は、地方自治体の新規就農者支援施策の中でも画期的な特徴をもっています。就農希望者からの相談受付や、研修中・独立後に使える助成金等の案内はもちろん、「農業メンター」制度による支援施策で、就農検討から定着までを総合的にサポートしてくれます。
「農業をしたいけれど何から始めたら良いかわからない」「就農場所や栽培作物を何にしようか迷っている」「就農先の地域に馴染むにはどうしたらよいのだろう」など、新規就農に不安を感じている方は、ぜひこの記事をご一読ください。
参考:農林水産省
あぐりっしゅサポートパッケージ
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目次
「あぐりっしゅサポートパッケージ」の概要と特長
「あぐりっしゅサポートパッケージ」は、福島県福島市の新規就農者支援制度です。
就農検討から農業経営が安定するまでの各段階で国や福島市等が提供しているさまざまな制度を、”パッケージ”として1つにまとめることで、就農希望者に支援体制をわかりやすく案内できるようになっています。
この章では、あぐりっしゅサポートパッケージの支援内容を、新規就農をとりまく課題と共に説明します。
新規就農への長い道のり
日本で農業を始めるためには、下記のようなステップを踏むのが一般的です。
新規就農のためにやること
- 就農相談
- 営農形態を決める
- どこでなにを作るかを決める
- 農業の知識技術を身につける
- 営農計画や新規農業開始経営計画を作成
- 農地を確保
- 設備資金や生活費などの自己資金を確保
- 交付金や補助金など各種制度の調査と申請
当然ながら、「農業をやりたい」という気持ちだけで農家になれるわけではありません。特に、農家の家系でもなく、農業ができる土地を持っているわけでもない人にとって、独立就農はとても難易度の高い挑戦だといえます。
農業の知識や技術はもちろんのこと、どこでどんな作物を生産して生活していくのか、そのためにはどれくらいの初期投資や運転資金が必要なのかといった経営の知識・計画や、家族の理解や協力を得る、地域の一員として溶け込むといった人間関係の調整力も必要です。
新規就農者を増やすために行政はサポート体制を敷いていますが、それらにアクセスして活用するのは、あくまでも就農希望者自身。さまざまな情報の中から自分が利用できる支援を選択して、自ら手続きをしなくてはいけません。
「農業経営者になるのだからそれくらいは当然」といえばそうかもしれません。しかし、農業人口が超高齢化し年々減少していく中、新規就農者数を増やせずにいるのが日本の現実です。 日本の食料生産や農村地域を維持していくためには、農業を志した人の目標達成をできる限りサポートすることが必要です。
参考:農林水産省
福島市は就農相談から営農定着までをワンストップで支援!
福島市の取り組みは、すでにある助成金等の制度を効果的に利用できる体制を整えただけでなく、就農へのハードルや、独立後の離農率を下げることにも焦点を合わせている点で画期的です。
あぐりっしゅサポートパッケージの特長① 国や自治体の支援施策の全体像がわかりやすい
新規就農者に対する資金面でのサポートには、国の助成金だけでなく地方自治体独自の助成金や支援制度等もあり、比較的潤沢です。しかし、自治体によって支援内容や体制が異なるため、どの自治体で就農するかが成否を左右する可能性があります。
あぐりっしゅサポートパッケージでは、国や福島市等の各種施策がワンパッケージにまとめられています。新規就農の検討開始から営農定着まで、福島市ではどのような支援を受けられるのかが一目でわかり、農家になるための道のりを具体的にイメージするのに役立ちます。また、市の新規就農者確保に対する積極的な姿勢もわかります。
あぐりっしゅサポートパッケージの特長② センパイ農家がメンターとして支えてくれる
あぐりっしゅサポートパッケージの最大の特長は、福島市独自の施策である「農業メンター事業」です。
農業メンター事業とは、福島市で農業をしている「センパイ農家さん」が、独立したばかりの新規就農者をサポートをしてくれるというものです。農業の知識・技術の相談だけでなく、農業経営や農地取得のアドバイスが欲しい時や、地域の人とのつながりを作りたい時などにも気軽に相談でき、問題解決へ導いてくれます。
センパイ農家さんは、同じ栽培品目の農家から福島市が選んでマッチングします。新規就農には、お金だけではカバーできないさまざまな課題がつきものですが、この仕組みにより、地域で実績のある農家から技術面・精神面・人脈面など全方位的なサポートを受けられます。
メンター側の農家も、自己成長・地域貢献や仲間を増やす機会となり、やりがいに繋がります。まさに、新規就農者・既存農家・地域行政の”三方良し”の制度といえます。
あぐりっしゅサポートパッケージの特長③ 未経験歓迎!オンライン相談・農業体験からスタート
あぐりっしゅサポートパッケージでは、農業を志す人なら農業未経験でも「フレッシュ農家さん」と呼ばれます。フレッシュ農家さんはオンライン就農相談から制度を活用でき、福島市での就農を検討する人には市内農家での日帰り農業体験も用意されています。
農業体験は3日間まで利用可能です。福島市名産の果物を育てる果樹農家での作業も体験できます。作業に関することだけでなく、就農のアドバイスや農業経営の厳しさなどを直接農家さんに質問でき、就農のイメージを具体化するのに役立ちます。
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あぐりっしゅサポートパッケージで受けられる支援内容
あぐりっしゅサポートパッケージでは、就農検討段階から研修、農業経営開始、定着までの各ステップで、必要な支援を提供しています。
就農検討中に受けられる支援
「農業やってみたい!」と思ってから計画が具体化するまで、就農検討中の段階で受けられるのは、こちらの2つの支援です。
支援内容 | 支援を受ける人 | |
---|---|---|
就農相談 | 支援事業の紹介、オンライン相談など | 就農希望者 |
農業体験 | 市内の農家で1日単位で農業体験を実施 |
就農相談はオンラインでも可能なので、気軽に利用できます。農業体験では福島市特産の農作物の作業を体験でき、農業未経験者や営農形態が決まっていない段階の人にもおすすめです。
農業研修中に受けられる支援
農業の研修を受けたい方や、研修を受け入れるための資金の支援は以下のものが用意されています。
支援内容 | 支援を受ける人 | |
---|---|---|
長期研修のための資金 を交付 |
新規就農者育成総合対策・就農準備資金の交付(50歳未満対象. 年間150万円を最長2年,研修機関には要件あり) |
就農希望者 |
農業研修生受入のための 資金を交付 |
新規就農者育成総合対策・雇用就農資金の交付(50歳未満の就農希望者を雇用. 年間60万円を最長4年) |
研修先の農家 |
1年以上に及ぶ研修期間中最大の心配事は生活資金だ、という人は多いでしょう。国は就農希望者と研修先の双方に対して助成金制度を設けています。あぐりっしゅサポートパッケージを活用して、少しでも研修の不安を和らげてください。
営農開始後に受けられる支援
営農を開始した新規就農者には、これらの手厚い支援が用意されています。
支援内容 | 支援を受ける人 | |
---|---|---|
営農資金を交付 | 国の支援:新規就農者育成総合対策・経営開始資金の交付 (経営開始5年以内の50歳未満が対象. 年間150万円を最長3年) |
就農希望者 |
市の支援:農業経営開始支援事業による独立就農資金の交付 (経営開始3年以内の65歳未満が対象. 月額5万円を最長2年,申請期間6月30日まで) |
||
農業用機械購入資金 を補助 |
国の支援:新規就農者育成総合対策・経営発展支援事業による補助 (取得経費の4分の3以内, 最大750万円, 経営開始時期の要件あり) |
|
市の支援:農業用機械等導入支援事業による補助 (取得経費の3分の1以内, 上限30万円,経営開始3年以内, 申請期間6月30日まで) |
||
農業用機械購入資金等 の融資 |
(株)日本政策金融公庫・青年等就農資金による無利子貸付 (償還期限17年以内, 据え置き期間5年以内, 限度額3700万円) |
|
農地取得資金 | 農地流動化支援事業により農地賃借料の一部を交付(年間賃借料の2分の1を3年間), または農地購入費用の一部を交付(10アールあたり2万円, 上限20万円) |
|
農業メンター事業 の利用 |
新規就農者(フレッシュ農家さん)が農業全般について 相談できるメンター農家(センパイ農家さん)を紹介 |
|
新規就農者を雇用する 場合の補助 |
農業経営開始支援事業による雇用就農資金の交付 ( 正規従業員として雇用した場合. 月額5万円を最長2年) |
就農者を雇用した法人 |
助成金や補助金だけでなく、福島市独自の農業メンター制度も活用して多角的なサポートを受け、農業経営を軌道に乗せていきましょう。
あぐりっしゅサポートパッケージ
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あぐりっしゅサポートパッケージで日帰り農業体験をしてみよう!
あぐりっしゅサポートパッケージの中では、たとえ農業未経験でも、福島市に行ったことがなくても、就農に興味を持ったら誰でも「フレッシュ農家さん」の仲間入りです。ぜひ時間を作って福島市を訪れ、農業体験をしてみましょう。
この章では、フレッシュ農家さんが日帰りで利用できる農業体験制度を紹介します。
福島市で体験できる農作物と作業時期
福島市で体験できる主な農作物と作業を下表にまとめました。
作物の種類 | 作業内容 | 作業時期 |
---|---|---|
もも | 摘果 | 7月上~中旬 |
収穫 | 7月中旬~9月 | |
剪定 | 12月~1月 | |
梨 | 摘果 | 7月中~下旬 |
収穫 | 8月下旬~10月上旬 | |
剪定 | 1月~2月 | |
ぶどう | 摘果 | 6月中~下旬 |
収穫 | 9月上旬~10月上旬 | |
剪定 | 12月~1月 | |
りんご | 摘果 | 8月上旬~9月上旬 |
収穫 | 11月上~下旬 | |
剪定 | 1月~2月 |
農業体験ができる時期は作物と作業内容により変わるため、ご確認ください。
この他の農作物についても、体験が可能な場合があります。
日帰り農業体験の流れ
農業体験の流れを、ある日の一例として紹介します。実際の流れや時間は、作業内容や時期によって変わる可能性があります。
9:00|現地到着、農家さんにご挨拶
体験先の農家さんの園地に到着して真っ先にすることは、お世話になる農家さんへのご挨拶です。緊張しているかもしれませんが、農家さんもあなたがどんな人かと心配しているかもしれません。安心して指導してもらえるよう、元気よく誠実な態度を心がけましょう。
9:10|体験スタート
顔合わせが終われば、さっそく農業体験スタートです。
体験中は農家さんの指示や指導をよく聞いて、安全に気を付けて作業をしましょう。作業中にわからないことがあれば、自己判断でやらずに必ず質問・確認をしましょう。
畑にあるものは全てが大切な商品・設備・備品です。作物を傷つけたり、畝を踏んで荒らしたり、道具等を壊したりしないように、十分に注意を払ってください。
16:30|後片付け
農業体験に使用した資材や道具等を、元の場所に片付けます。道具をきれいに保つことや、作業場を整理整頓しておくことは、農業経営をする上で大切な習慣です。慣れない作業で疲れているかもしれませんが、最後まできちんとやり遂げましょう。
17:00|体験終了・農家さんからのフィードバック
体験終了後には、農家さんが気づいたことをフィードバックしてくれる時間があります。体験者から質問もできるので、作業中に聞けなかったことや、就農や農業経営の気になること・疑問をぶつけてみましょう。
農業体験は何度もできるわけではありません。農家さんと直接話せる貴重な機会を、最大限に活用してください。
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「センパイ農家さん」も募集中!
あぐりっしゅサポートパッケージでは、センパイ農家さんとして新規就農者に伴走してくれる農家さんを募集しています。
センパイ農家さんの仕事
センパイ農家さんの仕事には3つの担当領域があり、領域によってセンパイ農家さんになるための要件が違います。
支援内容 | 仕事内容 | センパイ農家になる要件 |
---|---|---|
就農相談 | 耕作のノウハウや就農時の 心得などを教える |
経験年数不問 |
農業体験 | 農業体験の受け入れ | 1日あたり3時間以上の 農業体験が可能、など |
農業メンター | 農業経営定着のために 必要なサポートを実施 |
概ね認定農業者の水準にあることなど |
あぐりっしゅサポートパッケージで就農への一歩を踏み出そう!
あぐりっしゅサポートパッケージは、就農したいあなたの夢の実現を福島市と地域農家さんがバックアップしてくれる魅力的な制度です。
就農相談や農業体験、センパイ農家への立候補など、あぐりっしゅサポートパッケージに興味を持った方は、こちらのお問い合わせ先から福島市にご連絡ください。
センパイ農家さんになると、新規就農者を育成して自己成長や地域貢献ができるだけでなく、福島市から交付金も受け取れます。
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参考資料
福島市は就農希望の方を支援します【あぐりっしゅサポートパッケージ】
新規就農支援パンフレット あぐりっしゅサポートパッケージ in 福島市
農林水産省ホームページ>平成26年度 食料・農業・農村白書(平成27年5月26日公表)>(3)担い手の動向