苦土石灰とは|使い方や注意点、実際の効果をメリットとデメリットで紹介
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苦土石灰は石灰という言葉から、大体の想像がつく人も多いかもしれません。
読み方は「くどせっかい」です。>難しい言葉ですが、畑の土壌改良に重要な役割を持っています。
今回の記事では、「苦土石灰について」だけではなく、使い方や代用品まで、幅広く紹介していきます。
また、野菜を育てるには「土」がとても重要です。良い土作りを行うための土壌改良についてこちらの記事でも詳しく説明しています。併せて参考にしてみてください。
目次
苦土石灰の概要
最初に苦土石灰の概要を解説していきます。
成分や、どういった場合に必要かを見ていきましょう。
苦土石灰の成分
苦土石灰の成分は苦土と石灰に分けられます。
苦土がマグネシウムで石灰は炭酸カルシウムになっています。
言葉自体は難しい苦土石灰ですが、成分は単純な構成です。
原料は「ドロマイド」という岩石で、苦土石灰はドロマイドを粉砕した石灰になります。
土壌のpH(酸性度)調整に必要
苦土石灰は土壌のpHを調整するために必要です。
pHは土壌の酸性やアルカリ性を示す数値で、野菜の育成には欠かせない基準になります。
野菜によって適したpHは異なりますが、基本的には5.5〜6.5までの範囲が適正になります。
pHは全部で14段階あり、0に近いほど酸性、14に近いほどアルカリ性です。
苦土石灰は、土壌をアルカリ性に近づけます。
育てたい野菜の適正値から極端に酸性へ偏っている場合には、苦土石灰などを利用して調整しましょう。
基本的に日本の土壌は酸性に偏りやすいため、苦土石灰のみでpHの数値を調整できます。
露地栽培に苦土石灰は必須
先ほどの項目で、日本の土壌は酸性に偏りやすいと解説しました。
これは降雨量の問題で、日本は雨の影響を受けて土壌が酸性に偏りやすくなっています。
特に露地栽培であれば雨の影響を直接受けるため、苦土石灰によるpHの調整が必須になります。
反対にビニールハウスであれば土壌が酸性に傾きにくいため、苦土石灰を使用し、アルカリ性へ偏りすぎないように注意しましょう。
もし、pHの数値がアルカリ性に偏っている場合には、雨にさらすことでpHを下げて酸性にできます。
他の石灰との違い
石灰の種類は苦土石灰だけでなく、様々な種類があります。
代表的なものは消石灰と有機石灰でしょう。
まず、消石灰は生石灰と水を反応させて作ったもので、中和力が強いです。
中和力が強い分、効果の現れが早いため、施しすぎると根が痛む可能性が高くなります。
有機石灰は貝殻など、動物由来の石灰です。
中和の力は弱いため、pHをアルカリ性にするために使うのではなく、土壌の栄養として使われます。
土壌のpHを調整するには他の石灰ではなく、苦土石灰が最適と考えてください。
苦土石灰の効果
苦土石灰の主な効果は、土壌のpHをアルカリ性に近づけることです。
しかし、他にも効果やメリットがあります。
効果やメリットだけではなく、デメリットも確認していきましょう。
効果とメリット
苦土石灰の効果とメリットを順番に解説していきます。
pHの中和
苦土石灰1番の効果とメリットは、「pHの中和」です。
日本は降雨量の多さから、土壌が酸性に偏ってしまいます。
多くの野菜に適正なpHは前述した通り、5.5〜6.5ほどの弱酸性です。
雨などで酸性に偏った土壌を苦土石灰で中和できます。
また、消石灰でも土壌の中和はできますが、中和性が強いため、扱いが難しくなります。
苦土石灰は中和が穏やかに進むため、初心者にもおすすめです。
カルシウムとマグネシウムの補給
苦土石灰はpHの中和を目的に使われることが多いですが、カルシウムとマグネシウムの補給にも使えます。
カルシウムは根の成長に欠かせず、マグネシウムは葉緑素の生成に必要です。
例えば、葉っぱが黄色くなっている植物はマグネシウムが不足しています。
苦土石灰はpHの中和だけではなく、カルシウムとマグネシウムの補給にも使えます。
ただし、pHをアルカリ性に近づけるため、もともと土壌のpHが7.0を超えている場合には注意しましょう。
pHが極端に酸性やアルカリ性に偏ると、植物自体が育成しにくくなってしまいます。
苦土石灰のデメリット
続いて苦土石灰のデメリットを紹介していきます。
正しい使い方であればメリットしかありませんが、間違った使い方は土壌に悪影響を及ぼします。
肥料と同時には使えない
苦土石灰だけではなく、石灰は肥料と同時には使えません。
全てではありませんが、石灰と肥料や堆肥は、合わさることで化学反応を起こします。
発生するアンモニアガスが肥料の効果を失くすだけではなく、植物に必要な酸素も奪うため、枯らしてしまう可能性があります。
苦土石灰と肥料は同時に使うのではなく、最低でも1週間以上の間隔をあけましょう。
すぐに植え付けできない
苦土石灰はpHを調整する中でも、ゆっくりと効果を現す緩効性です。
しかし、ゆっくりでも土壌のpHは変化を続けています。
土壌で変化が起きている最中に、苗の植え付けや種をまくと正常に育たないかもしれません。
念の為に苦土石灰をまいてからは、1週間以上の間隔をあけて、苗の植え付けや種まきをしましょう。
土壌の消毒には向いていない
石灰は消石灰のイメージが強く、土壌消毒にも使えると考えられるでしょう。
しかし、苦土石灰は消石灰と比べてアルカリ成分が低く、土壌に与える影響もゆっくりです。
アルカリ成分が低い分、土壌消毒には不向きです。
あくまで消毒は消石灰、pHの調整とカルシウムやマグネシウムの補給は苦土石灰、といった使い分けが必要になります。
苦土石灰の使用量【目安】
苦土石灰の使用量は土壌のpHなどに左右されますが、目安を解説しておきます。
基本的には1㎡に100g、土1kgに対して1.5gほどが目安です。
上記の量で土壌のpHは0.5ほどアルカリ性に近づきます。
少しわかりにくいですが、大体、片手で握ると1㎡分ぐらいと考えてください。
苦土石灰の使い方
苦土石灰の使い方に難しいことはなく、まいて混ぜ込むだけです。
順番に確認していきましょう。
1.適量の苦土石灰をまく
まずは適量の苦土石灰を畑にまきましょう。
畑であれば、一握りの苦土石灰をまきながら進むイメージです。
立ち止まってよりも、歩きながらだと、まんべんなくまけます。
家庭菜園であれば、土1kgに対して1.5gほどをまきましょう。
2.土と混ぜ合わせる
最後に土と苦土石灰を混ぜ合わせていきます。
畑であればトラクターですきこみ、家庭菜園などのプランターであれば、スコップで混ぜていきましょう。
ポイントは苦土石灰が一箇所にかたまらないようにすることです。
まんべんなく混ざれば問題ありません。
家庭菜園初心者の方のために、プランター栽培でも簡単に育てられる野菜を季節ごとに紹介しています。併せて参考にしてみてください。
苦土石灰を使う注意点
苦土石灰は初心者でも使いやすい部類に入りますが、注意すべき点もあります。
主な注意点を2つ紹介します。
施しすぎに注意
苦土石灰は効果がゆっくりと現れる緩効性です。
苦土石灰は失敗の少ない石灰肥料ですが、ゼロではありません。
施しすぎた場合には、土壌がアルカリ性に偏ってしまったり、ヨウ素欠乏症になってしまいます。
アルカリ性に偏りすぎると、植物の生育に悪影響を与えてしまうため、pHを計測しながら適量を施しましょう。
圃場で使い分ける
苦土石灰は粉と考えられがちですが、粒状も販売されています。
基本は粉状の苦土石灰を使いますが、露地であれば粒状が使いやすくなります。
石灰は軽く、風で飛ばされやすいため、露地で粉状苦土石灰を使うと上手くまけません。
反対に粒状の苦土石灰であれば、風が吹いても飛ばされにくいため、必要量をまきやすくなります。
ビニールハウスなどであれば、粉状でも問題はありません。
苦土石灰の価格
ここまで苦土石灰について解説してきました。
必要性がわかってきたと思いますが、問題は価格です。
高すぎる場合には家庭菜園などでは使いにくくなります。
20kg=1,000円ほどが相場
苦土石灰はホームセンターなどで購入でき、価格は20kgで1,000円ほどが相場になっています。
大手の通販サイトでも購入可能なので、「持って帰るのが大変」という人は利用しましょう。
また、10kgや1kgなど、20kgよりも割高にはなってしまいますが、家庭菜園向けに少量でも購入できます。
苦土石灰の値段は高くないため、気軽に利用できる土壌改良剤です。
100円均一のダイソーでも買える
苦土石灰は100円均一のダイソーでも購入できます。
他の100円均一でも購入はできますが、ダイソーは園芸商品の種類も豊富なのでおすすめです。
ダイソーの苦土石灰は600g入って100円なので、割高にはなりますが、家庭菜園にはぴったりでしょう。
少量の苦土石灰が必要な場合にはダイソーでの購入もおすすめです。
苦土石灰の代用
苦土石灰は値段で考えると、10kgや20kgといった大容量がお得になります。
しかし、使いきれずに放置してしまったり、使う予定でも保管する場所に困ってしまいます。
もし、身近なもので代用が利くのであれば便利でしょう。
一般的に苦土石灰の代用として使われているものを紹介していきます。
卵のから
最初に紹介するのは、苦土石灰の代用として有名な、「卵のから」です。
しかし、卵のからはカルシウムを含みますが、マグネシウムは含んでいません。
つまり、カルシウムを含む石灰の役割は果たしますが、苦土石灰の苦土にあたるマグネシウムは含まれないので注意が必要です。
ただし、pHの調整には使えます。
使い方はシンプルです。
1.薄皮を取って洗う
2.乾燥させる
3.丈夫な袋やすり鉢で粉上になるまで砕く
あとは石灰と同じ使い方で大丈夫です。
にがり
「にがり」は主成分が塩化マグネシウムなので、土壌の改良に優れています。
農業用でも販売されているため、安心感は高いです。
ただし、カルシウムは含まれていないため、にがりのみでの効果は薄くなります。
おすすめは、卵のからと合わせて使うことです。
カルシウムを含む卵のからとマグネシウムを含むにがりで、苦土石灰に近い効果を得られます。
ただし、にがりにも高額な商品があるため、選び方によっては苦土石灰のほうが安くなるため注意しましょう。
重曹と乾燥剤は注意
重曹と乾燥剤も石灰の代用として耳にすることがあります。
ただし、この2つは注意が必要です。
まず重曹ですが、pHの調整が可能です。
しかし、ナトリウムが豊富に含まれているため、過剰に施しすぎると塩分過多の土壌になり、生育不良の可能性が高くなります。
強いナトリウムを含むことから、除草剤として使われることもある重曹は、基本的に苦土石灰の代用にはならないでしょう。
もう1つの乾燥剤は、海苔などに入っているものです。
乾燥剤は水に触れると熱を発するため、土壌に使った場合は植物の根が焼けてしまう可能性があります。
材質としてはpHの調整が可能ですが、リスクのほうが高いので使用は避けましょう。
重曹は100円均一でも購入できますが、ダイソーでは同じ価格で苦土石灰の購入が可能です。
重曹と乾燥剤は基本的に、苦土石灰の代用品と考えないほうが良いでしょう。
まとめ
苦土石灰は土壌のpHを調整するために重要な役割を果たします。
日本は降雨量が多く、土壌が酸性に偏ってしまうため、植物が生育しやすいpH値に苦土石灰などで調整します。
苦土石灰は酸性の土壌をアルカリ性に傾けるため、土壌の改良に必要な存在です。
ただし、植物ごとに適正なpHがあるため、注意しましょう。
苦土石灰は緩効性で初心者にも使いやすく、土壌も改善できるため、野菜などの植物を育てやすくなります。
家庭菜園などであれば、ダイソーの苦土石灰でも十分な量になるため、一度、苦土石灰を使ってみてください。